「そもそも治験は国際共同が当たり前なのだから、国際共同治験という言葉の存在自体がおかしい」 そういう威勢の良い声は今でもあちこちから聞こえてきます。確かにそうです。しかし、そういう言葉の背景にある、国際共同治験の魅力が変質してきているのも事実です。
国際共同治験には、例数を稼いで開発期間とコストを低減するという短期的な魅力ばかりでなく、世界中の市場に通用する製品を作り出すという長期的な戦略がある(あった)はずです。
しかし、そのグローバルマーケットの輝きは、今やどうでしょう。合衆国を中心とした海外マーケットは縮小しつつあり、海外展開がむしろ収益を圧迫するようになりました。では、新興国のマーケットはどうかというと、医療システムとアクセス、保険償還などの問題が複雑に絡み合うために、その将来性は、自動車や電気製品と同一視できません。
一体何のためのこんなに手間暇と金をかけ、人材を投入し、国際共同治験を推進するのか?そんな疑問が一体、どんな人々の心の中に生まれ、それがどんな時間経過でどのような方向に広がり、どの組織のどの部署にどんな影響を及ぼしていくのか?
あなたは関心ありませんか?