トンデモ横断研究事例

結局,「MRを大切に」っていう,怪しげなステルスマーケティング.こんな「解析」とやらがどんどん出てくるのも,ビッグデータと称するゴミ集積場とAIのおかげ.製薬企業も営業部門にも生物統計家を置いて,とんでもないイカサマ商品を売りつけられないようにしないと.(→AIの忖度・爺様の直言
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ディテール反応性が低い医師、優秀MRに伝えて改善を  エイザスのAI解析 日刊薬業 2018/9/13 20:30
 エイザスは、同社の数理モデルAI「Forecast-A1」を用いてMRによるディテールの医師反応度解析を行った結果、「優秀なMR」がディテールへの反応性が高い医師だけでなく、低い医師も数多く担当していることが分かったと発表した。
 解析では、ディテールへの反応性が高い医師を数多く生み出せるMRを「優秀なMR」と定義(*1)。優秀なMRは全体的にカバー医師数と活動量が多いため、ディテール反応性の高い医師だけでなく低い医師も数多く担当(*2)しており、優秀なMR1人当たりのディテール反応性の高い医師数は平均の2.6倍、低い医師数は平均の2倍だった。
 同社は、「優秀なMRに(数理モデルAIによる解析結果に基づいて)ディテール反応性の低い医師を知らせることで、すぐにディテール内容の修正対応が行われ、多くの医師で反応性の改善が期待される。下位MRへの指導も重要だが、優秀MRに改善ポイントを伝える(*3)方が早期に結果が得られる可能性が高い」としている。
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老婆心(今時はセクハラワード?)に基づく注.学生向けの臨床研究の講義で,この記事を教材として使うに時,参考にしてください.
*1この定義は妥当か?本当にMRがディテールへの反応性が高い医師を「生み出している」のか?
*2単に数をこなしているというだけという可能性を排除できない,というよりそちらの可能性の方がはるかに高い
*3上記1,2は,このインチキ横断研究が抱える問題点のごく一部に過ぎない.だから仮に1,2の問題点が両方クリアできたとしても,「優秀MRに改善ポイントを伝える」という介入の妥当性は決して担保されるものではない.

参考:この記事に関するエイザスの報道発表(2018/9/12)

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