チオプリン製剤感受性検査
−安全性の温故知新を考える−
Key Words: 6-mercaptopurine:6-MP, azathioprine, NUDT15 (nucleoside diphosphate-linked moiety X-type motif 15), thiopurine
アザチオプリン、メルカプトプリンいずれも安価かつ有用な薬剤で臨床で古くから使われています。これらのチオプリン製剤の重度の副作用である急性白血球減少と全脱毛を予見し、回避する検査が保険適用となっています。もしこのことをまだご存じない方が周囲にいらっしゃいましたら、どうぞ周知願います。(独り言:再審査期間が疾うの昔に過ぎて、先発品企業が存在しないため、関連学会が学会員に周知する以外には、医療者に遍く周知する組織が存在しない?妊婦への投与を禁忌から外すのは安全対策課マターでも、この問題はならない?)
新規実施項目のお知らせ (SRL NEWS No. 2019-05)
リウマチ性疾患に対するアザチオプリン使用に関する通知 (NUDT15 遺伝子多型検査の保険承認を受けて)(日本リウマチ学会 2019/2/22)
チオプリン製剤の重篤な副作用のリスクを回避する世界初の事前診断用キットを開発、販売を開始しました(AMED 2018/7/23 報道発表)
チオプリン製剤の重篤な副作用の予測に有用であるNUDT15 Arg139Cys遺伝子多型を検出する世界初の体外診断用医薬品(MEBRIGHT NUDT15 キット)の開発に成功(AMED 2018/4/13 報道発表)
チオプリン感受性については患者要因の探索が行われてきており,欧米人ではチオプリン代謝酵素の1つであるチオプリン S-メチルトランスフェラーゼ(thiopurine Smethyl transferase:TPMT)の活性がその因子となっている. しかし,アジア人では TPMT 活性低下の頻度が低いため,他の遺伝要因の探索がゲノムワイド関連解析によって行われ、近年,NUDT15遺伝子多型がアジア人においてチオプリンによる骨髄抑制の重篤化に関連することが報告された.(Nature Genet. 2014;46:1017, J Clin Oncol 2015;33:1235) (田中庸一 アジア人に特徴的なチオプリン感受性要因:NUDT15 多型)
参考
NUDT15 の遺伝子型の違いによって、チオプリンによる造血幹細胞や白血病細胞の障害が大きく異なることを解明(滋賀医科大学 報道発表 2019/10/21)
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