適応外使用の特定療養費化

以前,混合診療と審査の問題に言及した.適応外使用と自由診療は表裏一体の関係である.適応外使用は,本来自由診療だが,海外を含めて広く認められているものについては,限定的な保険給付をしようという動きがある.この限定的な保険給付が特定療養費制度なのだが,この制度の問題点について武見議員が指摘したのが,下記,JPN (JMA Press Network)からの転載である.

保健と自由診療の境界領域にあるから,役所の中でも一つの部門が担当すればいい話ではない.そうなると,縦割りと縄張りの重なり合い,押し付け合いが起こる.しかも,お金の動きが絡んでくるので,余計話がこじれやすい.しかし,これからますますこの手の話は増えてくるから,目を背けてばかりいられない.

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特定療養費化で患者負担が増加 医薬品適応外使用で武見氏が問題提起
                                                 2004-03-18 20:16:39
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 参院議員の武見敬三氏(自民)は18日あった参院厚生労働委員会で、適応
外使用されている医薬品が特定療養費制度の対象になったことで、患者負担が
増えたケースがあることを指摘。医療現場で混乱が起きているとして、見直し
を求めた。
 
 医薬品の適応外使用とは、保険で認められている以外の効能・効果で患者に
投与することをさす。適応外使用が行われた場合は、その医薬品に限らず、診
察、検査、処置、注射などを含む、すべての診療行為が自由診療となり、かか
った医療費全額を患者が負担しなければならない。
 
 患者の負担を軽くしようと、厚生労働省は今年1月1日、海外などで安全性
・有用性が確認され、治験を省略してもよいとされた適用外使用医薬品に限っ
て、効能追加の承認がおりるまでの間を特定療養費制度(保険診療と保険外診
療の併用を例外的に認める仕組み)の対象に追加。医薬品以外の部分は保険が
適用されることになった。
 
 しかし、適応外使用をめぐっては、旧厚生省が80年に薬理作用上問題がな
いケースは保険給付対象にする、との通達を審査支払機関あてに出している。
問題は、この通達通りの運用がされていた地域で、武見氏によると、従来患者
はかかった医療費の3割を負担すればよかったが、特定療養費化されたことで
、医薬品の部分が全額自己負担になり、かえって負担が増えてしまったという

 
 今回の特定療養費化は、新薬を対象にした仕組みを準用したもの。武見氏は
、はじめて保険に導入する新薬と、適応外で使用されるとはいえ、すでに保険
に導入されている既存薬の取り扱いは区別すべきだと主張。「既存薬はあくま
でも3割負担にして、迅速に審査をする。新薬は(特定療養費として)10割
負担とすれば現場も混乱がない」と見直しを促した。
 
 厚労省は、既存薬であっても、新しい効能を追加するには副作用の可能性な
どを審査する期間が必要で、その間は保険適用外にせざるを得ないと説明。坂
口力厚生労働相は、「たとえば外国で安全性が十分に確認されているものなど
は1からすべて見直す必要はない」と従来通りの取り扱いにすることに理解を
みせつつも、「ただ効くらしいということだけでどの病気にもどんどん使って
いると整理がつかなくなる」と、一定の歯止めが必要だとの認識を示した。
「JPN」
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