代用エンドポイントの毀誉褒貶
>「代用エンドポイント」として実際認められるってどんな状態なのでしょう?何とかの評価ガイドラインとかに載るとかはわかりやすい気もしますが、
でもこれだって後々新たなエビデンスが出てきてひっくり返されることだってありますよね。と疑問に思ってしまったのでした...
初めからハードエンドポイントと密接に関連していることがわかっていれば誰も苦労しないわけです.Total-C、LDL-Cの場合も1987年FDAが
メルクのロバスタチンを承認した時はもちろん,日本でプラバスタチンが承認された1989年の時点でも,ハードエンドポイントを指標にした介入試験は行な
われておらず,疫学データだけで,承認したわけ.今から思えば,随分と度胸がよかったわけだけれど,新しい薬ほど,こういう難しさがある.
> 代用エンドポイントの「負け組」には何があるのでしょう。
うたたかのように現れては消えていく(?)代用エンドポイントの歴史というのも面白いね.
ホモシステインは鮮やかな負け組だよね.あんなに鮮やかなものは,今は思いつかない.ホモシステインは多分,もう再起できないだろうけど,コレス
テロール
だって,スタチン以前は,海のものとも山のものともわからなかっず.フィブラートを使ってハードエンドポイントを指標に勝負した試験もあったけど,こ
とごとく失敗して,結局勝ち残ったのがスタチンだけ.近年でも,確実にコレステロールを下げるエストロゲンが,WHI試験に代表される介入試験で惨敗を喫
しているよね.だから,歴史を見ると,代用エンドポイントの方向から勝ち負けを論ずるより,それを動かす薬剤のうち,どれが勝てるかって観点になるかな.
勝ち負けがはっきりしないまま放置されているものってのありそう.中性脂肪や尿酸なんてのも,古典的な指標なのにはっきりしないよね.
代用エンドポイントの場合,予防だと,みんな侃侃諤諤の議論になるけど,予防ではなくて,目の前にある病気の場合だと,患者さんの状態という,かなり頑健
なハードエンドポイントが目の前にあるから,みんなの目が醒めてしまう.例えば,癌の画像とか,血清マーカーとかがそうだね.この場合には代用エンドポイ
ントという希望的な名前ではなくて,副次的な指標という,ぞっとしない呼び名に降格(?)させられてしまう.ただ,この場合には,ハードエンドポイントと
の関係はある程度認められているわけだから,わくわくした名前ではないけれど,それなりの地位を認められているってことになるね.
→目次へ戻る