利益相反オムニバス

その1
1611(慶長14)年に徳川家康が豊臣秀頼が二条城での会見を申し出た際、淀殿が白井龍伯に秀頼上洛の吉凶を占わせました.龍伯は淀殿は秀頼を行かせたくないに決まっているので,当然龍伯は「大凶」を出そうとするわけです.そういう事態をこれまた当然予想した片桐且元は,事前に龍伯に迫るわけです.
http://ameblo.jp/kumikaroom/entry-11084019667.html

「占いの結果は?」
「どんなことをしても大凶が出ます」
「ふーん,でも,この際,占いは関係ねーんだよな.主要評価指標をどうするかって問題なんだ」
「えっ?」
「とぼけんじゃねーよ.おめーだって,秀頼が上洛しなかったら,どんなことになるか,わかってるだろーに」
「・・・・・」
「茶々のご機嫌取りなんて,超短期の代用エンドポイントだろ.そんなことより,俺たちの運命ってい.う,真のエンドポイントのことを考えたら”大凶”なんて書けるわけがねえだろ.いいから黙って”吉”って書けよ」

その2
「オートノミーは危ないから買うな」と親切に助言しようものなら,買収の手数料が入らなくなるから,「買え」っていうに決まっているじゃないですか.「市場のプロ」ってそんな程度でしょう.これでデロイトが空売りしていたら笑える.
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HP不正会計、的中した「空売り王」の警告(NY特急便) 米州総局・川上穣 日本経済新聞 2012/11/24 8:34

 「度重なる買収で企業価値が破壊されている」――。今から4カ月前、そう言い放ってある大型株の空売りを宣言した人物がいた。ニューヨークで運用残高約60億ドル(約4900億円)のヘッジファンドを運用するジム・チェイノス氏。2001年に経営破綻したエンロンの不正会計を見抜いたことで一躍有名になり、「空売り王」として名をはせてきた。

 パソコン事業の苦境を覆い隠すように巨額買収を繰り返しているが、実質的なキャッシュフロー(現金収支)はほとんど増えていない。指標面から株価は割安に見えても、決して株価が上がらない「バリュー・トラップ(割安のワナ)」の状態にある。ある金融会合でそう強調したチェイノス氏の冷徹な表情が印象的だった。

 名指しされたのは、他でもない米IT(情報技術)大手のヒューレット・パッカード(HP)だ。HPでは今週、約110億ドルを投じて昨年買収した業務用ソフト大手の英オートノミーの不正会計が表面化。8?10月期決算で実に88億ドルの減損処理を迫られ、2四半期連続で大幅な最終赤字を計上した。

 打撃は大きい。HPの自己資本比率は10月末時点で21%と、1年前から約9ポイントも急低下。株価は年初から半値の水準まで売り込まれている。HP側の主張によれば売上高の水増しや費用計上の操作などで、実態より高収益の企業と見せかけていたという。

 不思議なのは、買収にかかわった市場のプロたちが不正を見抜けなかったということだ。オートノミーの監査を担当していたデロイト、HPに雇われオートノミーの資産査定を担当したKPMG。世界有数の監査法人はなぜ不自然な会計処理に気付くことができなかったのか。

 買収には英バークレイズ・キャピタルや米ゴールドマン・サックスをはじめ米欧を代表する金融大手が何社も助言にかかわった。文句の付けようがない「オールスター」の顔ぶれ。だが巨額買収の手数料に目がくらみ、企業の細部に目をこらす動作がないがしろになっていたのではないか。そんな疑念が膨らんでも仕方ない。

 チェイノス氏も不正会計そのものを指摘したわけではなかった。だが、HPの巨額買収に危うさを感じていたのは事実だ。「経営者が伝える言葉をうのみにせず、(空売りで)真実を明らかにするのが自分の役目」。その強固な信念が、新たな投資収益を生んだともいえる。

 本来ならチェイノス氏が登場する前の段階で、不正は見抜かれるべきだった。大きな痛手を負ったHPが、監査法人などを訴える可能性もささやかれている。HPの巨額買収を巡るスキャンダルが、資本市場全体の問題に発展するシナリオも現実味を帯びている。
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その3
透明性GLにいちゃもんつけてるオヤジも,それこそ利益相反みえみえ.「多大な精神的苦痛」は,表だって言えないことを表現する時の常套句です.「利益相反会議」って利益相反まみれの御仁が大きな声でわめく会議なんでしょうか.
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製薬会社の透明性GL  医療界から懸念相次ぐ(日刊薬業 2012年11月22日 )
 製薬企業が支払った医療機関への研究開発費や、医師への講演料などが来年度から公開されるのを前に、医療界から懸念の声が上がっている。日本医師会館で22日に開かれた日本医学会分科会利益相反会議で、日本糖尿病学会常務理事・利益相反委員長の加来浩平氏(川崎医科大教授)は、日本製薬工業協会の透明性ガイドライン(GL)について「強引な実行で研究者に多大な精神的苦痛を与えている」と批判。各企業による透明性GLの実効化を一時凍結するよう訴えた。
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問題の本質は、製薬企業から不明朗な金をもらう医師は一般市民から信用されないってことなんです。だから、どこの医者が誰からいくらどんな目的でお金をもらっているかを、一般市民がわかるようにしようってことなんです。それがなぜ、「多大な精神的苦痛」になるんでしょうか?
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利益相反の積極公開で社会的信用を  日本医学会シンポ(Medifax digest 2012/11/27)

http://mfd.jiho.jp/servlet/mfd/scene/article/1226570972251.html

 日本医学会は22日、同分科会利益相反会議として東京・本駒込の日本医師会館でシンポジウムを開き、「医学研究における産学連携の透明化とCOI(Conflict
of Interest:利益相反)マネージメント」をテーマに議論した。企業との関係性を明確にすることで、社会的な信用を高めるべきとの意見が上がった。
 日本医学会利益相反委員会の曽根三郎委員長は、日本医学会がまとめた「医学研究のCOIマネージメントに関するガイドライン」の柱として▽産学連携に伴う金銭関係に対し、社会から疑惑を招かない仕組みをつくり、説明責任を果たす▽医師は、発表内容に関連する製薬企業からの金銭的関係を、論文の読者や聴講者に開示する―の2点を挙げた。関係企業との透明性を確保することが重要と強調し、学会での教育講演を例に挙げて「(COIを開示して)連携する企業が多いほど、高く評価される環境をつくっていくことが大事」とした。COI指針を策定したのは2012年度現在で62学会(55%)とし、指針の策定を進めるよう求めた。
 文部科学省や製薬企業からもCOIマネージメントについて発表があった。日本製薬工業協会が策定した「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」に疑問を示す発表もあった。
 日本医師会では「日医COI指針策定検討委員会」をプロジェクト委員会として設置し、指針策定に向けて検討を進めている。
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