小さな政府

何でもグローバルスタンダード(=超大国の独断と偏見)を受け入れることにすれば,自国の規制など要らない.規制がいらなければ,その規制で飯を食っている役所も要らないから,小さな政府なんて簡単にできるし,またそう考えている人は多い.

小さな政府,それはフィリピンに典型的に見られる.フィリピンには,FDAに相当する役所はない.グローバルスタンダードを素直に受け入れているからだ.FDAの決定をそのまま丸飲みにしているからだ.

フィリピンと全く同様に,規制当局をなくして,FDAの承認をそのまま受け入れることになっても,それで何が悪いというのだろうか.そもそも,日本で行われている臨床そのものが,西洋医学ではないか.漢方医学と西洋医学の違いに比べたら,個々の薬の用量の違いなんてかわいいもんだ.それこそ,個々の医者の判断と患者の要望に任せるがよかろう.

製薬企業の育成を国家安全保障の一環として捉えている鬼畜米英と張り合おうとすること自体,正気の沙汰とは思えない.日本にFDAを作るなんて,大東亜戦争の二の舞だ.いくら大本営とはいえ,そんな大それたことを考るほど厚労省の人間は馬鹿じゃない.今自分の座っている席に,2年後には考えも行動も全く違う赤の他人が座っている役所で,誰がそんな長期展望を持つものか.

米国の国家戦略を考えれば,”日本にもFDAをという主張は”,武器も兵隊も自前で養成するから,進駐軍は出ていけという主張と同じで,滑稽極まりない幼稚な国粋主義に過ぎない.事実,米国は戦後一貫して日本の航空機産業の芽を潰してきた.それもこれも,航空機技術が,安全保障上,最重要のノウハウだからだ.今や,医薬品は,平和時も,戦時も戦略物資であるという点で,航空機以上に重要な安全保障の対象になっている.

日本も小さな政府を目指すならば,グローバルスタンダードを目指すならば,日本のFDAなんて要らない.グローバルスタンダードの障害物の最たる物,PMDAがなくなれば,喜ぶ人はたくさんいる.

もし,あなたが,PMDAがなくなると困ると思う,日本では極めて稀な集団に属するならば,それこそ,PMDAが潰されないようにするために,ひいては,PMDAの機能障害をより少なくするために,何ができるか考え,行動すべきである.そうでなければ,PMDAの機能障害は一層ひどくなり,役に立たないならば潰してしまえという声が,全てを決定するようになるだろう.

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