医師主導治験と企業の資金援助

○そもそも医師主導治験は、データを企業が買って承認申請するというコンセプトだったはず。ということは最終段階にせよ、結局は企業のお金が入ることを規制当局が認めていることになる。医師主導治験に対する企業の資金援助は駄目だというと、この当初のコンセプトと矛盾するので、いつ、どこで、どのように企業の資金が入るのかを規制し、透明性を確保するのが規制当局の仕事ではないのか?

○医師主導治験導入当初は、小児での効能追加や、希少疾病の未承認薬など、たとえ未承認にせよ、企業が持っているものだから、医師主導治験を隠れ蓑によからぬことをやらないように、企業からの資金援助を駄目と言った経緯があるのだろう。
しかし、大学発のシーズを、その大学の医師が医師主導治験でやるのと、既承認薬の効能追加を医師主導治験でやるのと一緒くたにして、企業の資金援助を一切駄目というのは、日本のシーズを育てるという国の方針と矛盾しているのではないのか?

○特に、大学のシーズを育てる場合、医師主導治験より質の落ちる自主臨床研究ならば、企業から資金援助を受け放題なのに、より質の高い臨床試験を目指して医師主導治験をやろうとすれば、企業からの援助を一切受けられなくなるというのは、治験活性化という厚労省の方針とも決定的に矛盾しているのではないのか?

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