オゼンピックの謎
2018年8月23日の記事を読んで,「えっ,新薬創出加算は3番手までOKだったんじゃないの?」と我が耳を疑ったのですが・・・その翌日には,そんなアホな・・・それとも,この二つの記事は一つの事実を一方の側面からしか書いていないとか・・・つまり,「そもそも3番手である上に,更に14日ルール制限に違反する承認規格に,そんな高い値段をつけられるわけないでしょ」ってな具合に,厚生労働省財務省支部(「経済課」とも言う)から申し渡されている(「恫喝されている」とも言う)とか・・・・
一方で,ノボを責める前に,不思議なことがまだ残っています.
●一つは,アメリカでは,0.5mg/0.25mg注射用のペン型注射剤が一般的に提供されていること.この規格を,(たとえ日本での開発途中でも),何とか開発トラックに乗せること(例えば長期試験への切り替えの時に2mgの規格から取り替えるとか,承認条件として市販後の何らかの縛りと交換に,0.5/0.25mgの規格を使えるようにするとか)を考えなかったのか?企業の方から提案すれば昔と違ってPMDAも相談に乗ったでしょうに.
●もう一つは,Ozempicは欧州でも2018年2月に承認されて,英国NHSのリストにも載っているのに,eMC electronic medicines compendium には,(2018年8月24日現在)掲載されていない=実際に処方薬として流通してない(可能性が極めて高い)ことです.
どうなっているんだろう.未承認薬に関する情報提供なんてどうでもいいから,こういうことこそ,MRが積極的に情報提供すれば,その会社の評価も高まるのに・・・と思うのは多分私だけなんでしょうね.
以下,フォローアップの記事も含めて.
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オゼンピックの薬価申請取り下げ、製剤を再開発―ノボノルディスク、発売初年度の処方制限ルールに抵触することが指摘 化学工業日報 2018/11/16
ノボノルディスクファーマは、薬価収載待ちとなっていた2型糖尿病治療薬「オゼンピック皮下注2mg」(一般名・セマグルチド)の薬価収載申請を取り下げた。承認された規格と用法・用量では発売初年度の処方制限ルールに抵触することが指摘されたため。同社は処方ルールと適合する規格の製剤を開発し直す方針。薬価自体ではなく、薬事承認の内容を理由に薬価収載が見送られるのは異例。同剤は今年3月に製造販売承認されており、5月、8月の薬価収載も可能だったが見送られてきた。
オゼンピックは週1回投与するGLP−1受容体作動薬で、2型糖尿病治療薬として3月に製造販売承認された。承認された用法・用量は、最初の4週間は有効成分として0・25ミリグラム分を週1回投与し、その後の維持療法では0・5ミリグラム分を週1回投与する。効果不十分な場合は1・0ミリグラムまで増量できる。だがオゼンピックの有効成分の含有量は1筒2ミリグラムであるため、維持用量で換算すると1筒4週間分の処方となり、発売1年目の新薬が対象になる「14日間処方制限ルール」に違反することになる。
ノボによると、薬価収載を申請した後の薬価交渉で問題視され、同社は2ミリグラム製剤による薬価収載は困難と判断し、薬価収載申請を取り下げた。代わりに、1回分のみの用量に対応した規格(0・25、0・5、1・0ミリグラム製剤)を新たに開発する。2ミリグラム製剤の製造販売承認自体は取り下げない。
ノボはこれまで、オゼンピックの薬価収載を見送ってきた理由について、薬価算定組織が提示した薬価が同社の希望と合わなかったためと説明していた。
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↓ 上記と読み比べてみてください.どちらが明快でしょうか?
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収載見送りの「オゼンピック」、新規格開発へ14日間処方制限ルール対応で 日刊薬業2018年11月16日
ノボ ノルディスク ファーマは2型糖尿病治療薬として3月に承認を取得した週1回投与のGLP-1受容体作動薬「オゼンピック」(一般名=セマグルチド<遺伝子組換え>)の薬価収載に向けて、新規格の開発を決めた。承認済みの「皮下注2mg」だけでは新薬の14日間処方制限ルールに対応できないため。同社は「できるだけ早く開発したい」としている。ただ、開発を含めた今後の見通しについては「答えられない」とした。
同剤は「通常、週1回0.5mgを維持用量とし、皮下注射する」とされているが、2mg製剤では28日分が含有されていることになるため、14日間ルールに対応可能な規格の開発が必要と判断した。同社は本紙の取材に、11月の収載を見送ったのは14日間ルールへの対応が壁になったと説明した上で、添付文書の用法・用量の内容に沿う形で0.25mg、0.5mg、1.0mgの各ペン製剤の開発を決めたことも明らかにした。
同剤が薬価収載される場合は、比較薬が新薬創出・適応外薬解消等促進加算品であれば加算分を除いて薬価を算定するなど、より厳しくなった類似薬効比較方式II(新規性の乏しい新薬)が適用されるとみられる。この薬価を巡る見通しが5月、8月の収載見送りにつながったのか否かについては「理由は答えられない」としている。
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ノボの「オゼンピック」、薬価収載見送り 日刊薬業 2018年08月23日
ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与GLP-1受容体作動薬「オゼンピック皮下注2mg」(一般名=セマグルチド)の8月時点での薬価収載を見送った。週1回投与のGLP-1受容体作動薬としては、すでにアストラゼネカの「ビデュリオン」、日本イーライリリーの「トルリシティ」がある。ノボによると、厚生労働省との交渉過程で先行する2品目と同程度の薬価を求めていたが、提示された薬価が著しく低かったという。ノボは「この内容では受け入れるのが難しい」と判断し、今回の薬価収載を見送った。引き続き厚労省と交渉し、次回11月の薬価収載を目指す。
オゼンピックは2017年12月の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で委員から添付文書上の重度腎障害患者への注意喚起について問題提起され、継続審議となり、当初の想定より約2カ月遅れで今年3月23日に製造販売承認を取得した。5月の薬価収載のタイミングは準備が間に合わず、薬価収載申請を行っていなかった。
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理由は14日間ルールの剤形不足か 「オゼンピック」の収載見送り 日刊薬業 日刊薬業 2018年08月24日
8月の薬価収載を見送ったノボ ノルディスクファーマの週1回投与GLP-1受容体作動薬「オゼンピック皮下注2mg」(一般名=セマグルチド〈遺伝子組換え〉)。ノボはその理由について「厚生労働省に提示された薬価が著しく低かったため」としているが、関係者からは「ノボが14日間処方制限に対応するための製剤開発をしていなかったのが理由ではないか」との見方が出ている。
オゼンピックの承認規格は皮下注2mgのみ。同剤の添付文書には、用法・用量欄に「週1回0.5mgを維持用量とし皮下注射する」と記載されている。つまり今回の承認規格では、週1回投与の0.5mg皮下注を4回分まとめて処方することになる。
だが、新薬には14日間処方制限ルールがある。同ルールを順守するなら、0.5mgや1mgの剤形開発が必要。規格が2mgだけしかないと、28日分を処方してしまうことになり、ルールに対応できない。オゼンピックに対する14日間処方制限ルールの運用面は、今後議論を呼びそうだ。最悪の場合、オゼンピックは薬価収載されない可能性もある。ノボは23日、日刊薬業の取材に対し「厚労省と交渉中のため、具体的な内容については答えられない」とコメントしている。
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