家族の宿舎一つとっても

ある利用者(入所者)の方が悪性腫瘍で余命数カ月となったので,両親が子供のそばにいてやりたくなりました.そのため,自分の家を引き払って,施設の中の職員宿舎に移り住みたいという希望を出しました.職員宿舎は大分空きがあるのです.

しかし,施設側は,職員宿舎は県社会福祉事業団の設備であり,事業団の職員以外に貸し出すことはできないと難色を示しました.そこで業を煮やしたある職員(管理職ではないヒラ職員)が個人的に事業団本部に掛け合って,何とか無料で借りることができました.しかし,表向きではなく,内緒にしておいてくれということになりました.

どうして空いている宿舎なのに貸してくれないのでしょう.規則で貸せないのなら,この機会を利用してその規則を変えればいいのです.宿舎が空いているのは無駄であるから活用方法を考えるようにと,県の監査でも度々指摘されていることなのです.子供のそばにいてやりたいという,親の希望を実現させ,かつ休眠施設を活用するという,一石二鳥の名案ではありませんか.このような提案が評価されなくて,何の組織でありましょう.

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