Als-Nielsen B, Gluud LL, Gluud C. Non-absorbable disaccharides for hepatic encephalopathy: systematic review of randomised trials. BMJ. 2004 May 1;328(7447):1046.
日本でも肝性脳症の治療によく使われているラクツロースの有効性を否定するシステマティック・レビューが出た。この薬は薬価収載が1975年だ。私が高校を卒業した年だ。大学時代、確立した治療として教わったのもはっきり覚えている。肝性脳症の原因となる芳香族アミノ酸を産生する悪玉細菌叢を善玉細菌叢に置き換えるという、まことしやかな病態生理と理論的な対抗策を交え、なるほど、医学とは、このように体系付けられた学問なのだと、うぶな医学生を納得させる、見事な講義だったので、よく覚えているというわけだ。
この品目については、もちろん日本では再審査期間はとっくの昔に終わっているから,承認取り消しにはならないが、何しろ者がBMJだから、現場への影響は大きく、徐々に使われなくなっていく可能性が高い。ただ消え去るのみというわけだが,こういう,ものすごーく安い薬でも,丁寧にシステマティックレビューをするという態度と,それを掲載するBMJの態度は,大いに見習わなくてはならない.