鹿鳴館主義再び

> 業界は、「医療機器は規制を別にしろ!」とか、「FDAが認めたものは、もう審査いらない!」とか騒いでます。一方、FDAは510Kというme too deviceの審査が「いいかげんすぎただろ?」と消費者団体から批判されているようです。面白いなあと思っています。

添付したのは,長崎大学で学生の講義(医学部ばかりでなく,全学講義と称して、医歯薬学以外の学生(教育学部・水産学部・工学部・環境科学部・経済学部)向けの講義もあり)に使っているスライドです.

太平洋の両側,どちらも幼いままで,いつまで経っても成熟できませんねえ.建築基準法緩和→耐震偽装事件→建築基準法強化の典型事例に見られるように,規制緩和は,それまで規制当局が引き受けていてくれたリスクを,結局自分たちで引き受ることに他なりません.今や学生でもやっているそんな基本的な学習さえできていないのですから.

幼いという点では永田町の先生方も同様です.選挙を勝ち抜いて立法府に入ったのに,行政の人間にべったり依存して,法律一つ作れないんですから.そんな体たらくで政治主導とは,臍が茶を沸かします.

--------------------------------------
薬事法改正案、今国会提出「断念」 Risfax 2012/3/13
政府・民主党 政治主導を盾に、厚労省も「やる気」なし

 政府・民主党は今通常国会での薬事法改正案の提出を断念した。厚生労働省医薬食品局の重要幹部も認めた。「社会保障と税の一体改革」を勝手に最優先している野田佳彦首相と、法案処理ができない民主党の作業量を慮りながら、先に延ばそうとする厚労省の思惑が一致。7日の衆院厚労委員会で小宮山洋子厚労相は、02年度の薬事法改正を“経験”した公明党の坂口力元厚労相が薬事法改正案の提出時期を聞いたのに対し「今国会はなかなか難しい。何とか約束通り『今年中』には出せるようにしたい」と、今年いっぱい民主党政権が続くかどうかもわからないなかで誤魔化した。
 民主党は09年に政権交代を果たした。政治主導で官僚支配の打破を謳い文句に、厚労行政では、福田衣里子氏など薬害を経験した人物を国会に送り、薬事政策の全面的な見直しを“売り”にしてきた。当初は、政権交代の象徴のひとつとして、B型肝炎訴訟の解決策を決断できた。だが、政権自体が弱体化するなか、薬事行政の全面見直しという意欲を失った。(後略)
---------------------------------------

---------------------------------------
医療機器は「別枠」審査となるか  国家戦略会議でも議論
Medifax digest 2012/3/15
http://mfd.jiho.jp/servlet/mfd/forum/article/1226567267560.html

 2日に官邸で開かれた国家戦略会議(議長=野田佳彦首相)では「イノベーションによる新産業・新市場創出」がテーマの一つとなった。ネット上で公開された会議の議事要旨(http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120308/yousi.pdf)を見ると、医療機器の審査手続きをめぐって興味深いやり取りがある。
 民間議員の岩田一政・日本経済研究センター理事長が医薬品医療機器総合機構(PMDA)の職員数に触れ、増えてはいるものの米国と比べてまだ少ないと問題視し、特に医療機器を担当する職員数について「73人しかおらず、米国の10分の1しかいない。経済規模で考えれば半分くらいあってもいいところが、まだまだ足りない」と語っている。

(中略)

●医機連「PMDAは高度機器審査に集中を」
 2月24日に官邸で開かれた医療イノベーション会議(議長=古川元久国家戦略担当相)にも医機連は要望書を提出し、「例えば、リスクの程度が明らかな、あるいは大きくない従来品については、個別品目の審査制度を改め、国際標準に基づいて企業が行う品質管理システム(QMS)を民間審査機関が審査する仕組みを導入して民間に任せ、PMDAは革新的技術による高度な医療機器審査に集中するように分担すれば、日本の全体的な競争力を高めることができる」と強調した。
 医機連などが作成した資料によると、国内の医療機器の承認申請のうち、約8割はモデルチェンジなどの改善・改良品であるという。こうした改善・改良品などについて民間に任せられる部分は任せ、新規性の高い機器をPMDAが審査すべきというのが医機連など関係団体の考え方だ。
 医療イノベーション会議は5月をめどに、医療イノベーション5カ年戦略をまとめる姿勢だ。革新的な医療機器の創出もテーマの一つとなるが、審査手続きを含めてどのような戦略が描かれるのか注目したい。(栗田賢一)
---------------------------------------

目次へ戻る