ドラッグラグがなぜ生じるかという問い掛けではなく,なぜ企業は開発を遅らせるのか?という問い掛けにしないと,ドラッグラグが生まれる背景は理解できない.
あれだけの遅れは,後から開発すれば開発リスクも少なくて済むという消極的な判断だけでは説明がつかない.開発を遅らせれば収益が確保できるという積極的な理由があるはずだ.
開発を遅らせれば収益が確保できるなんて,そんな馬鹿な話があるかものかと思う人は以下を読まなくてもよい.
海外市場では特許が切れて後発品が続々出てきて,全く収益を生まない環境になっても,日本の市場には「待ちに待った期待の新薬!」として登場すれば,再審査制度が収益を保証してくれる.drug lagはprofit lagを生み出す魔法の杖というわけだ.
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世界製薬大手6社 日本事業が好調(化学工業日報 2012年02月13日)
世界の製薬大手6社の2011年決算が出揃った。大型買収・合併があった?年に比べ多くの企業が小幅な伸びにとどまる中、日本事業の好調が目を引いた。日本で前年比2〜3割増の増収を記録した米メルク、仏サノフィを筆頭に、特許切れに喘ぐ欧米市場の低迷を吸収。各社の開発ラグ解消が進んでファーストイン・ベストインクラスの新薬が日本に相次ぎ投入され、国内シェアを大きく伸ばしている。今年も大型品の特許切れが続く各社にとって、安定成長が見込める日本の存在感がさらに高まりそうだ。
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