先日,午後4時半過ぎに外来にN君が連れられて来ました.浣腸の時,彼のお尻が腫れていると気づかれたからでした.診てみると,肛門周囲が腫れています.肛門周囲膿瘍という病気でした.肛門周囲は小さな傷でもバイ菌が入って膿みがたまりやすいのです.外科で切開して膿みを出して治療します.
今回よかったのは大変発見が早かったことです.普通,この病気は熱が出てからさんざんいろいろな検査をして,それでもわからなくて手遅れになることが多いのです.N君の場合には熱が出る前にわかりました.
大変診断がむずかしい肛門周囲膿瘍の早期発見は下の世話がきっかけでした.職員が下の世話に積極的に関与しているからこそ,医者よりも早く病気が見つけられたのです.職員の毎日の仕事一つ一つが人間を診る科学です.