医学部の教授になってたまげたことはたくさんあるが、一番不愉快でな問題を指摘したい.あなたも、この不愉快極まりない問題を解消することに協力してもらいたい。
ある大手国内製薬企業から、東京にある本社の社員に対する講演会を引き受けて、非常に驚いたことがある。実は、その講演会は、他の用で東京へ出たついでに、空き時間を利用して立ち寄る形にしたので、旅費も講演料も不要とお願いして、聞き容れてもらっていた。そんな講演会なのに、何と、長崎から東京へお供の申し出があった。
初めは何のことだかわからなかった。
「えっ、つまり、一緒に大崎さんと東京に行くってこと???それって、普通のことなの??お供がデフォルトってこと??」
私の驚きに、向こうも驚いたのだろう。戸惑ってはっきり答えようとしない。こちらも、しまったと思って、穏やかな口調と表情を取り繕って、何とか本当の事情を探り出そうとする。
「長崎特有の習慣なのかなあ、大崎さん、長崎に来る前にどこにいたの?そちらではどうだった?営業所長の方針?それとも会社全体で内規があるの?会社によって差があるのかなあ・・・・」
戸惑った笑いだけで言葉が出てこない。ふん、首を引っ込めた亀ってわけか。
「わかった。大崎さんの立場もあるだろうからね。言いにくいこともあるでしょうね。でも、僕は、他の教授先生とは違って、ガキじゃないから、お供は要らないよ。もし、大崎さんが営業所長から、なぜお供しないんだと詰問されたら、僕が説明するから、遠慮なく言ってね」
そう言って、その場で真相を探るのは諦めた。でも、旅費も講演料も不要な用向きにまでお供がつくのが当たり前のような雰囲気は明らかに感じられた.
後日、薬学部卒業生に密なネットワークのある友人に、「製薬会社関連のイベントへの教授出張に際して製薬会社のお供」が常態化しているのかどうか、全く別の県で働いている同じ会社のMRに問い合わせてもらったところ:
「池田さん(彼は僕のことをこう呼んでくれる)、やっぱりお供はデフォルトですね。断る教授は例外的だそうですよ。そして断る教授は”わけあり”と解釈されるそうで」
「けっ、くそったれ、なめやがって!こんなくだらん習慣、製薬協に掛け合ってでも、絶対に潰してやる!」
製薬企業の幹部社員の方々、営業は、こんな無駄金を使って、貴重な戦力にガキのお守をさせているんですよ!!
○今時、教授先生(それもお供を喜ぶようなガキ!)が薬の売り上げに何ぼの影響力を持っていると思っているのか?教授のお供が、売り上げ向上に貢献すると信じる営業センスで、この時代に勝ち抜けるとでも思っているのか?そんなことやっているから、ガキどもがつけ上がるんだ!
○そもそも、お供の申し出自体が人を馬鹿にしてる!!その上、お供を断れば、「わけあり」だと?この野郎、俺を誰だと思ってる!!PMDA Director Medical Reviewerを張った池田正行だぞ!
というわけで、戦闘開始!!