患者申し出人体実験
ー規制緩和のリスクは誰が引き受けるのか?多分誰も引き受けないー
治験という名の人体実験
あなたのおとうさんが、肺癌でひどく苦しんでいたとします。その時に担当医が息せき切ってあなたのところにやってきて、以下のような説明を受けました。
「とてもいい薬が手に入りました!私と非常に親しいノーベル賞級の研究者が昨年見つけた薬で、ネズミの肺癌にはとてもよく効いて副作用も全く見られません。私が肺癌で苦しむ患者さんを担当していることを彼に話したところ、その薬を送ってきてくれました。彼の研究室は病院ではないので、まだ人間には試したことがないが、病院に勤務する私のところで患者さんに試して、医学の進歩に役立ててくれと、何と無料で分けてくれたのです。おとうさんにはこの事情を説明して治療を受けることを了解する署名をもらいましたが、念のため、あなたの署名もいただきたいのです。」
さて、あなたはどう判断し、行動しますか?あなたの判断と行動について、担当医に対して、どう説明しますか?そしておとうさんに対して、あなたの判断と行動をどう説明しますか?
私
は、治験・臨床試験について学生に講義をする際、冒頭で、こう問いかける。そして「全ての治験は人体実験である」と宣言し、ジェンナー、華岡清州から治験
を説き起こす。どうだ、かっこいいだろう。私の講義を聴いてみたくなるだろう。教授になって、こんな講義をしてみたいと思うだろう。衆院厚生労働委員会に呼ばれれば,いつでも御進講仕る.
患者申出療養の欺瞞:金持ちを騙して人体実験の被験者にする試み(誰もそこまでバカじゃないと思うが・・・)
患者申出療養を巡っては,この制度が混合診療に他ならないという問題だけが大きく取り上げられ、肝心の論点が全く議論されていない.「患者申出療養は未承認薬を購入できる金持ちだけが優遇される政策だ」という主張は,喜劇的な時代錯誤に過ぎない.なぜならば,この主張は次のような台詞が出てくる時代劇の中でしか通用しないからだ.
1.「病気のおっかさんのために朝鮮人参を買う金が欲しかったんでさあ」←もはやドラッグ・ラグは実質的に消失し、”「いい薬」なのに厚労省のおかげで日本では手に入らない”という状況はすっかり過去のものとなったから、こんな台詞は現代日本ではもはや聞くことはできない.国民の皆様が「ドラッグ・ラグはけしからん.厚労省はけしからん」とさんざん大騒ぎしてくれたおかげで,必要な薬はみんな承認されちまったんだよ.
2.「これは当家にだけ代々伝わる秘伝の調合じゃ.どうだ,試してみるか,ちと値段は張るがな」←ほとんどの新規承認薬でさえ、古い既承認薬との直接比較で優越性が検証されて承認されているわけではない。ましてや未承認薬の方が既存の治療法よりも明らかに優れているというエビデンスは地球上に存在しない(最新医療は本当に“最もいいもの”か?)。「患者申し出療養は金持ち優遇政策だ」という主張は,このような地球上に存在しないものを想定する豊かな想像力の上でしか成り立たない.
以上の2点を踏まえれば、患者申出療養を巡る衆院厚生労働委員会での議論は,頭の中まで中世になっている人々による暇潰しに過ぎないことがわかる.
患者申出療養の最大の論点は、金持ち優遇政策云々なんかでは絶対にない.「”規制緩和”という名の思考停止のリスクは誰が引き受けるのか?」という問いかけである。すなわち,
患者申出療養とは、自分にとってどういう結果が出るか全くわからないことを覚悟した上で、患者自身が金を払って自主的にやる、カスの役にも立たない人体実験に他ならない。その人体実験のリスクを誰が引き受けるのか?という問いかけである.
臨床研究・プロトコル云々といくら言ったって、所詮は人体実験だから、どんな有害事象が出たところで、治験じゃねえんだから、それが、患者が申し出た「期待の新薬」や「最新の医療機器」が原因かどうかなんてわかりゃしねえだろうが。そんなもんに責任もクソもあるもんか。科学もクソもあるもんか。
規制改革の悪夢再び
規
制改革論者達の宿願であった混合診療がようやく解禁されるわけだが,彼らはその結果がどんな悪夢に繋がろうと一切責任を取る気はない.私がそう断言できる
のは,建築確認事務の民間への開放を含めた建築基準法の改正(規制緩和)が招いた耐震強度偽装事件について,事件発覚から今日に至るまで,規制改革論者達
は誰一人として自分たちの事件への関与を語ろうとしないからだ.規制緩和は,それまでの規制が抑制していたリスクを「解放してしまうリスク」をはらんでい
る,そんな当たり前のことを知らないふりをして規制緩和を言い立てる連中が,責任なんか取るわけがない.ちなみに,それまで行政が担当していた建築確認事
務が民間に解放された経緯と耐震強度偽装事件の関係
の詳細については,耐震強度の偽装と建築確認(国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 500)を参考にしていただきたい.なお,当時あれほど騒がれた物件は,東日本大震災でビクともしなかったそうな.
中世裁判で裁かれる「薬害」の悪夢再び
そ
んでもって、患者申出療養で死人が出たら,またまた「責任追及」のための中世裁判ということになるが,めでたく混合診療を実現した規制改革会議とやらのお偉いさん達は,もちろん完全黙秘だ。一方「薬
害」とやらの先行事例を見れば、もちろん患者も、そして医者も、絶対に自分たちに責任があるとは言わない。企業だって未承認の代物を言われるままに出した
だけで、そんなもんに責任を取れと言われても絶対に納得しないだろうから、品物を出すのと引き替えに、事前に免責を要求する制度になるだろう。
そもそも、医薬品・医療機器製造販売許可を持った企業ならば、承認前に自分の大切なシーズを人体実験に提供するわけがない。だって、治験ならぬ人体実験で有害事象が起これば、どんなことであろうと直
ちにその「期待の新薬」の責任にされ、そうして自分の大切なシーズが潰される。しっかりやった治験で消えていくのならまだしも、n=1の人体実験で言いが
かりをつけられて潰されてはたまったものではない。イレッサは承認されていたにもかかわらず、お目出度いお医者さん達の乱用のおかげで散々な目にあった。
ましてや未承認薬を混合診療に提供するなんてとんでもない。まともな会社ならそう考える。
患者申出療養については,国の専門家会議が原則6週間の「スピード審査」により承認することになっているが,安全性の問題が生じた時に会議の委員達に責任が及ぶことになれば,誰もなり手がいなくなるから,彼らも免責となる制度設計になる.
結局は国(厚労省)だけが訴えられて、真相究明能力ゼロの裁判で
国が負けて、オンブズパーソンと毎日新聞がイレッサのリベンジを果たし、従来の薬害裁判と同様に、厚労省の役人が頭を下げる写真を載せたメディアが売り上げを増や
し、国民の皆様は、自分たちの税金が国家賠償金として消えていくことにも気づかずに、溜飲を下げる.そんな筋書きが今から見え見えだ。中世裁判はこうして永遠に維持され続けるのである.
一方で”規制改革”とやらで人体実験解放政策を採りながら、経済財政諮問会議で医療費抑制って、そんな露骨なマッチポンプやっちゃってるんだから,呑気なもんです.
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患者申出療養、実質は混合診療の自由化 皆保険制度の大転換、M3.com レポート 2015年5月31日(日)配信神奈川県保険医協会(理事会声明)(抜粋)
◆矛盾の集約点、患者申出療養 実質は混合診療の自由化 やはり同床異夢だった「実施計画」
参院の委員会審議では、「患者申出療養」に大半の質疑が集中。制度の矛盾が次々と明らかになり、大臣、局長答弁が支離滅裂となっている。
最たるものは、臨床研究の倫理指針に基づく実施としつつ、「実施計画(プロトコル)」の適格基準外への実施を予定している点にある。このプロトコル逸脱、
倫理違反に関し、患者申出療養では「実施計画=プロトコル」ではなく、「実施計画にプロトコルが含まれる」との方便を駆使。適格基準外へは個別に実施計画
を作成するもののプロトコルは「含まない」とした。つまり、症例データは科学的統計学的に意味がなく、単なる症例報告にすぎず、データ集積、保険収載につ
ながらない。国会ではこの暴露と厚労省の規制改革会議への反論と矛盾すると追及されている。プロトコル作成に至らない先進医療、治験対象外への未承認薬使
用なども、このプロトコルに値しない実施計画でOKとなる仕組みとなる。現在、プロトコルが前提の先進医療A及びBは109技術のうち、保険収載は8技術
に過ぎない(2014年度)。患者申出療養のどこが保険収載につながるのだろうか。
また、現在の先進医療Bと違い、多施設共同研究の形
で2例目以降実施する医療機関の体制は国の審査がなく施設基準も定められず、厳格な安全基準が大幅に緩む。患者登録症例確保のため技量や人員体制のない医
療機関での実施が容易となり、死亡、後遺障害など重篤な医療事故が懸念される。国は体制の「目安」以上のものは示さないため、安全性の担保がない。適格基
準外は事故補償すらない。
実施計画の審査は6週間と、現在の先進医療の6カ月の4分の1であり、安全性・有効性の確認が実質、形骸化す
る。そもそもが、先進医療、未承認薬は未確立な医療だけに危険である。しかも、かかりつけ医、開業医が、「相談」役を担わされ、先進医療への理解・説明や
実施医療機関への紹介などが求められ、リスキーな役目を担わされることになっている。
患者申し出が起点といいながら、「実際は医師の働きかけによ
る理解と同意(納得)」と局長が答弁しており、条文違反であり、ネーミングも怪しければ、現在の評価療養に屋上屋を重ねる合理的理由が何ら示されていな
い。しかも、この患者申出療養のスキームは、先進医療に限定されていない。保険未収載の医療技術も対象となる。
総じて、倫理指針に則らない医療や、便法の実施計画を作成し行う保険未収載の医療技術など、単なる自由診療と保険診療の混合診療となる。国の審査、指針などのタガが外れることになり、混合診療の「自由化」に道を開くことになる。
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費用対効果の優れた日本の医療を崩す Meiji Seika ファルマ・小林社長、諮問会議に懸念( 日刊薬業 2015年5月20日 )
Meiji
Seika
ファルマの小林大吉郎社長は20日の会見で、前日の経済財政諮問会議で民間議員が提示した医療費抑制策の内容に警鐘を鳴らした。小林社長は日本の医療保険
制度について「費用対効果が優れた堅牢な仕組み」と高く評価した上で、民間議員の提案を採用すればこうした日本の医療を崩すことになると非難した。
小林社長は薬価政策への関わりが深く、医療政策にも精通している。会見では民間議員の提言について「今までの諮問会議の内容を飛び越えたものだ。給付制限
など厳しいことが書かれている。骨太方針にどう組み込まれるかが、数年後の製薬企業に大きな影響をもたらす」と警戒した。
さらに小林社長は持論
を展開。「諮問会議の内容は、欧州の医療費抑制策の焼き直しにしか見えない。日本の医療費の対GDP比は10%を超えたが、先進7カ国で言えばカナダ、フ
ランス、ドイツといった薬価制度が厳しいことで有名な国でさえ11%を超えている。一方、日本は平均寿命を見ても、医療費の投下に対して効果を上げてい
る」と指摘。「その根底にある薬剤費の部分から崩していく、そういう民間議員の提言だ」と非難した。小林社長は「医薬品産業の果たす役割などについて時間
をかけて議論すべき。産業育成の視点などもあってしかるべきだ」と指摘した。
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患者申出療養は「臨床研究として実施」 塩崎厚労相( 日刊薬業 2015年5月20日 )
医療保険制度改革法案を審議した19日の参院厚生労働委員会で、塩崎恭久厚生労働相は、法案で新設する患者申出療養について「基本的に臨床研究として実施
される」と述べた。厚生労働省の唐澤剛保険局長は、患者申出療養を手掛ける医療機関に求める実施計画の中にはプロトコルも含まれていると説明した
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患者申出療養、国・医療機関・企業の責任を「明確に」 連合・花井氏( 日刊薬業 2015年4月24日 )
医
療保険制度改革法案を審議した23日の衆院厚生労働委員会で、参考人として意見を述べた連合の花井圭子総合政策局長は、法案で新設する患者申出療養につい
て「患者の安全性を最優先に確保する観点からさまざまな懸念を解消すべき」と主張した。医療事故や有害事象を想定して国・医療機関・企業の責任を明確にす
る必要があるとし「患者の申し出が起点であることを理由に、責任の多くを患者が負うことのない仕組みとすべき」と訴えた。
花井氏は中医協の支払い側委員も務める。この日の厚労委では、保険外併用療養について「患者の安全性確保を最優先に、保険収載を前提として、低所得者が排除されない仕組みとすべき」と主張。その上で、保険外併用療養を安易に拡大すべきではないとの考えを示した。
法案では保険外併用療養として、従来の評価療養、選定療養とは別に、患者申出療養を創設する方針となっている。患者申出療養として初めての医療を実施する
場合、専門家による会議で了承されれば、原則6週間で実施に至る。前例がある医療を、他の医療機関が実施する場合は、前例を取り扱った臨床研究中核病院が
審査し、了承されれば原則2週間で実施する仕組みだ。
花井氏は審査体制について「患者の安全性が担保できるのか、非常に不安が残っている」と懸
念を述べた。患者が安全性・有効性を十分に理解した上で自己決定できるようにするため「患者の申し出段階から医療の実施段階まで、医療機関における十分な
情報提供と相談体制を確保すべき」と主張。実施状況は年に数回は報告すべきだとの考えを示した。
●市長会・岡崎氏、保険医療での対応「課題がある」
厚労委に同じく参考人として出席した岡崎誠也・全国市長会国民健康保険対策特別委員長(高知市長)は、患者申出療養で実施する医療が最終的には保険給付範囲に影響を及ぼすとし、どこまで保険医療で対応していくかについては「課題がある」と述べた。
また、参考人の福田富一・全国知事会社会保障常任委員長(栃木県知事)は患者申出療養について「どういうふうに国民にプラスになっていくのか見定めていく
必要がある」と述べた。「お金のある人が十分な医療を受けられて、そうでない人が受けられない」という事態に至らないよう、行政としての対応も必要との姿
勢を示した。岡崎氏と福田氏は、岡本充功氏(民主)の質問に答えた。【MEDIFAX】
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下
記は参考関連記事.「医療上の必要性が高い」という条件がハードルってことは,医療上の必要性が高い医薬品は,みんな承認されちまったってことさ.それは
国民の皆様が「ドラッグ・ラグはけしからん.厚労省はけしからん」と大騒ぎしてくれたからに他ならない.それでもまだ文句を言いたい奴がどこかにでもいる
のだろうか?
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いまだ申請「ゼロ」の背景は? 先進医療ハイウェイ構想 Medifax digest 2015/4/10
http://mfd.jiho.jp/servlet/mfd/forum/article/1226580805981.html
ハイウェイ構想は先進医療実施までの期間短縮を図る制度だが…
2013
年11月に鳴り物入りで始まった先進医療の最先端医療迅速評価制度(先進医療ハイウェイ構想)だが、1年4カ月以上たった現在も医療機関による申請が「ゼ
ロ」の状況が続いている。抗がん剤を対象に、保険外併用療養費制度である先進医療を始めるまでの期間を短縮させるための新たな仕組みとして導入されたが、
実際の運用につながっていない。「高速道路を造ったものの走る車がない」(厚生労働省関係者)という状況が、なぜ生じているのだろうか。
基本を
おさらいしておくと、健康保険法などでは厚労省が定める「評価療養」「選定療養」について保険診療との併用を認めている。評価療養の一つが先進医療だ。保
険診療として認められていない先進的な医療技術について、安全性や有効性を確認した上で保険診療との併用を認め、将来的な保険導入に向けて評価する、とい
うのが先進医療の大まかな理念だ。
先進医療を手掛けたい医療機関が厚労省の先進医療会議に申請した後、審査により実施が認められたとしても、保
険診療との併用が始まるまで6カ月程度かかる。先進医療ハイウェイ構想では、専門的な評価体制を整備して、この期間を3カ月程度に短くすることを目指して
いる。最初に運用が始まった抗がん剤については、評価業務を国立がん研究センターに委託する形で審査のスピードアップを図る仕組みにした。
●候補に上った抗がん剤「3薬剤5案件」
ハイウェイに乗せる抗がん剤については▽厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が医療上の必要性が高いと判断していること▽特定機能病院など、一定程度の安全性が担保される医療機関が申請していること―が条件になっている。
これまでに候補として浮上した抗がん剤は▽ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤(対象疾患は多発性骨髄腫)▽3-ヨードベンジルグアニジン(131I)
(神経芽種)▽同(褐色細胞腫)▽同(甲状腺髄様がん)▽パクリタキセル(胃がん、1週間間隔投与の用法・用量追加)―の3薬剤5案件。
ドキソ
ルビシンについては、未承認薬・適応外薬検討会議で患者会が開発を要望していたが、多発性骨髄腫に対する他の薬剤の開発が進んだ事情などがあり、患者会が
要望を取り下げた経緯がある。3-ヨードベンジルグアニジンは企業が開発することになった。パクリタキセルは公知申請が認められ、保険適用されることに
なったため、先進医療で実施する意味がなくなった。以上のような理由から、医療機関が先進医療に手を挙げることはなかった。
●「医療上の必要性が高い」というハードル
そもそもハイウェイ構想の候補に上がる抗がん剤が少ないという見方もできるが、これは未承認薬・適応外薬検討会議の判断を条件にしていることが大きく影響
している。昨年11月の先進医療会議で藤原康弘構成員(国立がん研究センター企画戦略局長)は、ハイウェイ構想が進んでいない理由について「医療上の必要
性が高いと判定されるのが結構大変なハードル」と分析している。
こうした状況を踏まえ、厚労省は3月18日の中医協総会で、未承認薬・適応外薬
検討会議が医療上の必要性が高いと判断していなくとも、特定機能病院などが抗がん剤の適応外使用を伴う医療技術を先進医療として申請した場合は、ハイウェ
イ構想の候補にする案を示した。実績として、そうした申請は年間5件前後あるという。
しかし、中医協の花井十伍委員(連合「患者本位の医療を確
立する連絡会」委員)は、医療上の必要性が低い抗がん剤が対象になる可能性などを指摘。先進医療が拡大して治験の空洞化が生じる恐れもあるとして、厚労省
案に懸念を示した。中川俊男委員(日本医師会副会長)も、これまでハイウェイ構想の運用がないことについて「他のシステムが機能していると考えられる」と
述べ、慎重な態度を示した。このため厚労省は案をいったん取り下げ、今後の対応をあらためて検討することになった。
●再生医療・医療機器も対象に
ハイウェイ構想は今後、再生医療と医療機器も対象とすることになっている。再生医療では特定認定再生医療等委員会の意見を聴いた上で厚労省に再生医療等提
供計画が提出された第1種再生医療等、医療機器では「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で早期導入が妥当とされた品目が候補になる。
先進医療会議はすでに再生医療評価委員会と医療機器評価委員会を立ち上げ、審査の迅速化を図る体制を整えた。いよいよ高速道路を走る車が現れるだろうか。
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参考資料
患者申出療養(仮称)の枠組みについて
Q&A「患者申出療養」って~混合診療なし崩し的解禁の危険性~
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