田舎者の臨床試験

うつ病や統合失調症の臨床試験でプラセボは非倫理的だという.ではアルツハイマー病でプラセボ対照試験を行うのは非倫理的なのだろうか.プラセボ対照試験に固執するFDAは非倫理的だろうか.やれグローバルスタンダードの薬だ,やれ海外では広く使われていると言いながら,日本でしか通用しないやり方で臨床試験をするのはどういうわけか?

主要評価項目を全般改善度にして実薬対照非劣性試験をやれば非劣性が証明されるに決まっている.なぜかといえば,全般改善度が極めて感度の低い指標だからだ.実薬対照だと,どの群でも効くから,医者がいずれにせよ,効いているんだと思う.その主観だけで,評価が甘くなる.だから感度が鈍くなる.6年A組とB組の評価で,どちらの組の子も,みんないい子だと思った先生が,80点をつけようと思って,両方の組の平均点が80点になってしまうのと同じだ.

そんな簡単な罠にも気づかずに,あるいは気づかないふりをして,やっているから,いつまでたっても日本独自のローカルルールでしか試験ができない世界の田舎者から脱却できないんだ.

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