科学にも諸行無常の響きあり(2009/9/15)

かつてあれほど騒いでいたタミフルによる異常行動は、新型インフルエンザの流行とタミフル礼賛の嵐の中で、全く報道されなくなりました.もし,かつ ての報道が真実だったとしたら,タミフルによる異常行動の犠牲者は新型インフルエンザによる死者数をはるかに凌駕しているに違いありません.それを報道し ないというのはジャーナリスト達の怠慢・不作為以外の何物でもないでしょう.

一方、タミフルによる異常行動を見逃して承認した厚労省には天罰をと主張していた方の声も全く聞こえてきません.なぜでしょうか?ジャー ナリスト達が,「タミフルによる異常行動」は,「ねつ造」だったと考えているからでしょうか?それとも,自分たちの仕事は,真実を伝えることではなく,単 なる流行り廃れのお祭り騒ぎの担い手,ファッションの紹介者に過ぎず,「厚労省には天罰を!」と叫ぶ声にはUFO目撃談と同様の価値しかない と考えてい るからでしょうか?

そんな融通無碍なジャーナリスト達の行動を支えているのが,同様に融通無碍な専門家の方々,医療人,そしてそんな専門家の方々や医療人を支持する国民の皆様です.

このように、重篤な記銘力障害されあれば,融通無碍・千変万化の行動・言動は、誰にとっても決して難しいことではありません.決してジャーナリストや政治家達の専売特許ではないのです。

参考:
須山 勉。がん治療薬「イレッサ」副作用禍。効果強調が過剰期待招く。医薬報道に大きな教訓。2004年2月26日 毎日新聞東京朝刊
承認前は,「副作用のない夢の抗がん剤を承認せずにドラッグラグを放置する厚労省には天罰を」,承認後半年経てば「こんな重篤な薬害を起こした厚 労省に天罰を」と、イレッサ承認前後で見事に変身を遂げた無数のジャーナリスト達の中で、たった一人だけが書いた空前絶後の反省文であります。

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