今時国粋主義

2008年5月に、「中国製MRIがやってくる」とHPに書いたが、それから2年も経たないうちに、物じゃなくて、人でなくて、人が作り出すサービスそのものがやってくる時代になった。そりゃあ、あんな馬鹿でかくて重い機械を運んでくるより、ずっとお手軽だ。

日本医学放射線学会は何を懸念するというのだろうか?これこそ、国際化、国際競争ではないのか?日本の国技でさえ、関取の3人に1人が外国人という時代に、日本医学放射線学会は国粋主義に走ろうというのだろうか?

ついこの間まで(そして今でも)仕事量が膨大で自分たちも医療崩壊の被害者だと喚いていた画像診断医達は、今度は、彼らが言うところの「現場を知らない」お役所に、「質の悪い中国人画像診断医が仕事ができないように取り締まってください」と平身低頭お願いするしか能がないのだろうか。

いつの時代、どこの国、どんな商売でも、最後に物を言う商売道具は、(言語性・非言語性両方含めた)コミュニケーション能力だ。

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CT診断を格安・中国へ下請け…国内医師ら懸念 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞2010/4/6)

医師不足などの影響で、患者の検査画像の診断をインターネットで外部に依頼する医療機関が増えるなか、一部で格安サービスをうたい中国の医師への委託も始まっている。これに対し、放射線科医らで作る日本医学放射線学会などは、診断は日本の医師免許を持つ者に限るとの指針を作成。8日から開かれる学会でも議論になりそうだ。
遠隔画像診断と呼ばれ、病院や診療所で撮ったCT(コンピューター断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像)の画像を、放射線科医のいる施設などに送り、報告書を返信してもらう。
中国人医師による画像診断を行っているのは「日本読影センター」(大阪府)。日本人医師による診断の傍ら、2008年に中国への依頼を始めた。CTなどの診断を外部に依頼した場合、国内では1件当たり3000円前後が相場だが、700?900円で請け負う。
現在は総合病院や診療所など8施設と契約して、月約800件を中国側に依頼。吉村英明社長は「契約している中国人放射線科医は約15人おり、診断力はあらかじめテストしている。ただし、日本の医師免許はないため、あくまで『参考所見』という位置づけ」と話す。
厚生労働省医事課は「最終的な診断は依頼した日本の医師が下すとすれば、医師法に触れるとは言えない」との見解だ。
しかし、日本医学放射線学会などは、診断の質や個人情報の安全が保証されない可能性を強く懸念。「医師でない者(外国の医師免許のみ有する者も含む)が行うことは日本の法規に違反する」などとする指針を昨年11月に作成した。
これに対し、吉村社長は「個人名は消すなど情報の取り扱いにも注意を払っている」などと学会の指針に異議を唱えている。
国内のCT、MRIの合計数は約1万7000台と、人口当たり先進国中で最多。一方、専門医は5000人程度。民間調査会社矢野経済研究所によると、遠隔画像診断を利用する医療機関は昨年、1944施設と、10年で8・2倍に増えた。
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