AIが「マッチング」のお手伝い
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AIで臨床試験の進め方を改善するDatavantをテック業界重鎮Travis May氏が率いる Biotoday 2017-09-20
Roivant Sciences社が新たに設立した語尾”vant”企業の一つDatavantをシリコンバレーの情報技術業界重鎮Travis May氏が率います。
Datavantは人工知能(AI)を利用して臨床試験の進行を改善することを目指します。Datavantへの初期投資はRoivantが率いており、それにはTravis May氏の身銭も相当含まれています。
Tech maven Travis May takes the helm of Roivant’s data mining startup
Roivant Sciences Launches Datavant to Improve Clinical Trials with Artificial Intelligence
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参加できる臨床試験を患者が探すのを手伝う技術の会社が1100万ドル調達 Biotoday 2017-09-14
参加できる臨床試験を患者が探すのを人工知能を介して手伝う仕組みMatchを擁するAntidote Technologiesが1100万ドルを調達しました。  この投資はMerck & Coの技術ファンドが率いました。
Clinical trial matching platform raises $11M backed by Merck’s tech fund / FierceBiotech
CORRECTING and REPLACING Antidote Raises $11M in Funding Round Led by Merck Global Health Innovation Fund / BusinessWire
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 この分だと研修病院探しはもとより,婚活にも早晩活用されるだろう.その場合には,AIの「有効性と安全性」を評価するために,対照群,アウトカム評価の指標,観察期間など,臨床試験デザインを考えるコンサルベンチャーが1100万ドルを調達する・・・・ことには絶対ならない.それは以下の理由による.

少なくとも今は「AI」という言葉が非常に強い思考停止力を持っているから,当該AIがどんなインプットを受け,それをどんなアルゴリズムで処理しているか?なんてことには,エンドユーザーは無関心になっている.でも所詮は機械だから,GIGO (garbage in garbage out)のリスクは必ず持っている.

AIのインプット処理過程が不明=AIは何を考えているかわからないから,AIのアウトプットがもたらすリスクは,従来のアルゴリズムで動く機械よりも,AIの方が高くなる.それにAI自身は絶対に自分のアウトプットのアウトカム評価はやらない.

 結婚,医者選び,教授選,開業・・・当事者の判断の結果が,そのまま当事者 (教授選の場合には教授として得らればれた本人はもちろん,教授会というpeerもまた当事者)に返ってくる.人類以前の動物の時代から維持されてきた,この伝統的なやり方は,失敗を糧とする人間を成長させ,失敗を糧にできない人間を駆逐してきた.

では,人類は,今やこの素晴らしい成長の方程式をAIへの依存により放棄すれば大変なこと・・・・には絶対にならない.「自分がすべき判断を他者に依存する」という,伝統的な失敗による学習方法が必ず維持される.おわかりだろう.AIの判断を無批判に受け入れる人間は簡単に駆逐されていく.

AIなんて,所詮,占い師に過ぎない.機械であれ,人間であれ,こちらが投げかけた疑問に対して,決して「わからない」と言わない相手は一切信用できない.たとえそれが医師免許を持った人間であろうとも.

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