あなたのどこが不運なのか?

20世紀に薬の開発に関わった人は本当に運が良かったように見える.確かに19世紀までは「効く薬」なんて見つからなかった.だとしたら,その幸運はいつまで続くのだろうか?すっからかんになってしまった今のパイプラインの中身を考えると,21世紀は茨の道しか残されていないように見える.

しかし,決して悲観的になる必要はない.20世紀の「運」といってもなんぼのもんだったろうか?薬様々で完全におさらばできるようになった病気は一体いくつあっただろうか?一部の感染症に過ぎないではないか.

しかも,結核のように,薬が絶大な効果を示した感染症でさえ,有病率の低下は,貧困の解消,栄養状態や公衆衛生の改善といった,薬以外の要因の方が貢献度が大きい.マラリアだって,蚊帳で激減するじゃないか.

20世紀も実は大した黄金時代でもなかったのだ.だから,今のパイプラインの中身がすっからかんでも,決して自分の不運を嘆く必要はない.22世紀に向かって,行動科学や心理学といった最先端の分野に関われない不運を嘆くことはあっても.

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