先見の明:オノアクトの場合
FDA/EMAのいずれでも未承認のランジオロール(日本での商品名はオノアクト)の敗血症治療に対する有効性に否定的な結果となりました。しかしオノアクトの日本での効能が、このSTRESS-L試験結果に影響を受けることは決してありません。そう私が考えるのは以下の理由に拠ります。
オノアクトが敗血症に対する効能を2019年8月に日本で申請した際の臨床試験の主要評価項目は、SOFAスコアではなく、ましてや死亡でもなく、「登録24 時間後における心拍数を60~94 回/分に調節できた被験者の割合」(オノアクト インタビューフォーム)。つまりあくまで代用エンドポイントに過ぎませんでした。
(生命予後や重症度は改善しないけれども)「頻脈は改善する」という極めて「控え目な」申請通り、承認効能も「敗血症に伴う頻脈性不整脈」に留まりました。4年後を見据えた先見の明があったと申せましょう。
Landiolol and Organ Failure in Patients With Septic Shock: The STRESS-L Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023 Nov 7;330(17):1641-1652. doi: 10.1001/jama.2023.20134
Among patients with septic shock with tachycardia and treated with norepinephrine for more than 24 hours, an infusion of landiolol did not reduce organ failure measured by the SOFA score over 14 days from randomization. These results do not support the use of landiolol for managing tachycardia among patients treated with norepinephrine for established septic shock.
→目次へ戻る
→表紙へ戻る