ドラッグ・ラグ事例検討

このような記事を読むと、ああ、またドラッグ・ラグが新たに生まれる とだけ嘆き悲しんで思考停止するだけではもったいない。なぜドラッグ・ラグが生まれるかを考える格好の事例検討だ。

下記の記事を読めば、オーファンドラッグ、地域の開発環境、企業の開発体力、市場性といったキーワードを考えるだけで、”時間差開発”が、企業にとって極めて合理的な判断であることがわかるだろう。

ドラッグ・ラグ解消とは、その、企業にとって極めて合理的な判断を、無理矢理ひっくり返すことである。

なのに、その企業自身が、ドラッグ・ラグ解消と声高に叫ぶとは、一体どういうことなのだろうか?自らの判断が誤っていたと認めることに他ならず、決して仮想的としての規制当局を攻撃することにはならないのではないか?

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日本化薬  スパニジン、仏社に海外開発権を供与
日刊薬業 2010/12/21
日本化薬は20日、免疫抑制剤「スパニジン」(一般名=グスペリムス塩酸塩)について、オーファン薬に特化して開発と販売を行っているフランスのノルディック・グループ社と日本以外での開発製造販売権に関する契約を10日付で締結したと発表した。ノルディック・グループは、ウェゲナー肉芽腫症などの自己免疫疾患の治療薬として、欧州やロシアから開発を進める予定。
ウェゲナー肉芽腫症は、全身に壊死性・肉芽腫性の血管炎が生じる自己免疫疾患。日本化薬によると、欧州の患者数は約2万人、米国では約1万人と推定されている。
日本化薬は、ウェゲナー肉芽腫症を適応としてスパニジンの販売承認申請を欧州で行ったが、欧州医薬品審査庁(EMEA、当時)から既存治療と比較した試験を実施するよう指摘されたため2008年に申請を取り下げている。ノルディック・グループは、日本化薬が欧州で実施した臨床第2相試験の結果に既存治療との比較データを加えて申請を目指すという。
スパニジンは日本化薬と微生物化学研究所、宝酒造が共同開発した免疫抑制剤。国内では、腎移植後の拒絶反応に対する治療剤として1994年に発売を開始した。ウェゲナー肉芽腫症を適応とした国内での開発予定はないという。
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