わかっちゃいるから止められない
誰でも知っているさる高名な女性ジャーナリストにお目にかかった時である
「それほど,筋弛緩剤中毒の診断が間違っているのなら,池田先生以外のお医者様達はどうして黙っているのでしょうか?」
「馬鹿馬鹿しいからですよ」
「えっ?!」
「私は神経内科専門医の立場から、丁寧に診療録を読み込んで、国の認定基準だけでなく、国内外の最新の論文も検討し、
何週間もかけて意見書を書いたばかりでなく、さらに英語論文まで書いて国内外の批判に耐えるような考察を繰り返して診断しました。国内ばかりでなく、海外
の専門医もミトコンドリア病という診断の正しさを認めているのです。それを脈の取り方一つ知らない検察官や裁判官が間違っていると言うんで
すから、お医者さんなら、みんな馬鹿馬鹿しくてやってらないと思うでしょう。実際に、一審仙台地裁でA子さんは筋弛緩剤中毒などでは
なく、何らかの脳症に違いないと証言してくださった日本医科大学名誉教授の小川 龍先生や、80歳女性例について決して筋弛緩剤中毒などではな
く、心筋梗塞に間違いないと証言してくださった二階堂先生(北陵クリニックの元院長)も、今は北陵クリニック事件からは身を引いていらっしゃいま
す」
「では、なぜ池田先生にとっては馬鹿馬鹿しくないのですか?」
「いや、もちろん馬鹿馬鹿しいです」
「では、なぜずっと続けていらっしゃるんですか?」
「それは馬鹿馬鹿しいからです。とんでもなく馬鹿馬鹿しいから。私はね、三谷幸喜の大ファンなんです。そして、いつか彼のような作品を作ってみた
いなと思っていました。そうしたら、北陵クリニック事件でしょう。脈の取り方一つ知らない検察官や裁判官が、ドクターGを藪医者呼ばわりす
るんです よ。こんな馬鹿馬鹿しい話は、吉本新喜劇にだって、三谷幸喜のシナリオにだって、地球上どこを探したって出てこない。北陵
クリニック事件には、こう
いうグローバルなギャグネタがてんこ盛りなんです。当事者として、その喜劇に関わる。正に三谷幸喜の向こうを張る脚本家になった気分です。だから
面白くって止められない。こんな面白い話を途中で投げだすなんて、そんなもったいないこと、僕にはできません。」
→二条河原に戻る
→「司法事故を考える」に戻る