腰抜け薬剤師会
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↓ こういうご時世にもかかわらず,医師会の尻の穴を舐めることしかできない日本薬剤師会,日本病院薬剤師会の両会長は,医師会長よりも早く去るがいい.
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特集・2019参院選 横倉・日医「終わりの始まり」羽生田氏15万票で薬剤師にすら〝敗北〟 医薬経済 2019/8/1
(前略)
10万票減の衝撃
参院選の全国比例区は名簿順を定めない「非拘束名簿式」で、各党の議席数が確定すると、各党名簿内の候補者の得票順で当選者が決まる。自民党は今回、過去最高の33人の候補者を立てた。そのうち、厚生労働関係の候補は10人超。日医連は、羽生田氏の「医療界トップ」当選を掲げ、選挙戦に臨んできた。
結果は、表1のとおりだ。今回から、優先的に当選が決まる「特定枠」が設けられ、自民党が2枠に活用した。それを含めて、日本看護連盟が推す石田昌宏氏が12位で医療界トップ。日本薬剤師連盟の本田顕子氏が14位、製薬業界や福祉業界などが支援する衛藤晟一氏が15位と続き、羽生田氏は16位に終わった。医療関係団体の組織内候補という意味では、看護師、薬剤師に先を行かれ、まさかの3番手だった。
得票数も、関係者の予想をはるかに下回る。羽生田氏は初当選した13年の参院選で、24万9818票を獲得していた。1月の記者会見で、横倉会長は「最低でも20万票」とコメントしていたが、日医連関係者によると「自民党本部からは『25万票以上獲り、医療系でトップ当選を』と発破を掛けられていた」という。
期日前投票でのNHKの出口調査などから、「20万票割れの危機」にあるとの認識は広がっていたものの、蓋を開けてみると、20万票には程遠い15万2807票止まり。7月23日に日医会館内で行われた報告会で、羽生田氏は、13年の約25万票から「10万票も減らし、申し訳ありません。私と事務所の力不足です」と頭を下げるしかなかった。
「まさか薬剤師より(順位が)下とは……。しかも、こちらは現職なのに、向こうは知名度の低い新人候補だ」(日医連関係者)
(後略)
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薬剤師自ら出鼻を挫いた「タスクシフト」「新味なし」「心に響かない」慎ましやかな提案内容 医薬経済2019/8/1
「せっかくの大チャンスを最初から潰してしまっている。もっと医師や厚生労働省の医系技官に対してガツガツ攻められないものか」
薬剤師や薬局業界はもちろん、与党国会議員関係者からも落胆の声が聞かれる。厚労省が力を入れている「医師の働き方改革」に絡んだ、薬剤師関係団体の「控え目な振る舞い」に対してだ。
7月17日。厚労省がタスク・シフティングの実現に向けて開いた医療関係団体へのヒアリングの場に、日本薬剤師会の安部好弘副会長と、日本病院薬剤師会の桒原健専務理事が出席。両者が提出した連名の意見書が「心に響かない」(都内病院薬剤部長)と業界内で話題になっている。資料は、医師の業務負担に向け、医師から薬剤師への「タスク・シフティング」に関する要望を示したものだった。それが、あまりにも平凡すぎた。
医師の働き方改革をめぐっては、すでに24年から原則年960時間までの時間外労働規制を導入することが決まっている。厚労省はそれに伴い、医師の業務をほかの医療従事者に移管するタスク・シフティングの可否も議論している。
「医師の残業時間を減らさなくてはならない」という最優先課題を前に、これまで業務移管に強く抵抗してきた日本医師会も態度を軟化させ、検討自体は容認した。
そして、もちろんその業務移管の検討の対象には薬剤師も入ることになった。日本は医師の処方権、薬剤師の調剤権を分離させる医薬分業を掲げているとはいえ、医師による薬剤師の抑えつけは著しい。医師による調剤報酬批判をはじめ、薬剤師への処方権の一部委譲のような構図となるスイッチOTC薬化も主要な品目はNG、再診なしに複数回薬局で薬を受け取れる「リフィル処方箋」もダメ。長期収載品を後発品に変更調剤するというより細かい業務でも、医師が処方箋で「変更不可」と意思表示すれば、薬剤師は覆せない。業界として、医師との対立を覚悟して声を上げてこなかったとも言える。
10年ほど前には、「チーム医療の推進」が大きなテーマとなり、現在と似たような多職種に関する議論も行われた。10年4月の医政局長通知で、処方提案やバイタルチェックなど「薬剤師を積極的に活用することが可能な業務」が示され、その後の病棟業務の普及にもつながった背景はあった。
ただ、現行制度の解釈レベルの考え方を示しただけで、本質的な権限拡大や業務追加は行われていない。その後、薬剤師の病棟配置は進み、医薬分業率も70%を超えた。そんな状況で、めぐってきたタスク・シフティングのチャンスに「今こそ提案すべき」という業界内の期待も高まっていた。
ところが、業界の代表は、せっかくの好機にもかかわらず、のっけから及び腰の姿を見せてしまった。
予防接種は夢のまた夢
「これらを推進することで、タスクシフトの伸びしろが期待できる」
話は戻り、7月17日のヒアリング。日薬の安部氏が推進の必要性を謳ったのは、概ね10年の医政局長通知で「実施可能」とされた業務内容の範囲にとどまった。
具体的には、表にある7項目。すべて現行法下で実施可能であり、法の解釈の変更さえも必要ない業務だ。ではなぜ、この場で要望したか。それは10年の通知発出以降も、こうした業務の実施率に大きなバラつきがあったためだ。
安部氏らの提出した資料によると、医政局長通知業務の実施率は、要望の①や②などに関わる「薬物療法プロトコルについて提案、医師と協働で作成、協働で進行管理」が最も低い17.6%。これは、日病薬が「PBPM」と呼んで普及をめざしているもので、薬剤師が予め決めた手順に沿って、「処方監査・入力支援」「検査オーダーと投与量の適正化」「術前術後の検査や処方支援」などを行う。病院によっては、医師と薬剤師の抗がん剤治療レジメンの共同管理や、外来への関与に踏み込む事例もある。
また、「患者の状態に応じた積極的な処方の提案」の実施率が40.6%、「薬物療法の経過確認及び同一処方継続可否の提案」が43.5%、「患者の状態観察に基づく薬効・副作用の確認と結果の医師への伝達」も45.2%と低かった。
通知で薬剤師の積極的な活用が謳われながら、実施率が5割を切る。さらに、これらの業務の推進で負担が縮減したデータも存在する。だから、こうした業務を普及させるよう厚労省に要望する――。確かに流れとしてはまったく問題はない。
失望感の源泉は、すでに認められている業務の「紹介」しかできなかった点にある。これらの業務の普及に向けて必要となるのは、薬剤師の人員充実や配置基準の導入、それを裏付ける診療報酬の手当てである。実際に、両団体はこれらを課題に挙げているが、そもそもヒアリングの主催者は、診療報酬を扱う保険局でなく、医政局。新たにどういう仕事を医師から薬剤師にシフトできるかが論点だ。
そこで、何も“新しい球”は投げずに帰ってしまった。あえて挙げるのであれば、注射が認められていない薬剤師が、患者に自己注射の実技指導をする際に難しい実態があることを説明した程度だ。
一方、今回のヒアリング以前に、自民党の一部も薬剤師の権限拡大に興味を示していた。わざわざ厚労省医薬・生活衛生局から資料を取り寄せ、英国の一部の薬局で予防接種や、緊急時に処方箋薬を提供できるサービスがあることなども確認済み。推進派のひとり、小泉進次郎厚労部会長も「医師から業務を移さなければ働き方改革なんてできっこない」と話していた。
その裏では、アクセス改善が叫ばれる「緊急避妊薬」の議論も出ていた。一定条件下でのオンライン診察による処方の枠組みは用意されたが、いまだに「市販薬にすべき」「医療用のままでも薬局で買える仕組みを整備してほしい」といった声は厚労省に届いている。
ただ、日薬と日病薬はヒアリングで、カナダや英国で、軽症薬の処方や予防接種などが、薬剤師に一部認められている実態だけを「参考」として示すにとどめた。
制度改正や、解釈の変更を伴うような提案を行わなかった理由について、日薬の安部氏は7月24日の会見で、医師の時間外労働規制が24年に導入される「タイムリミットがある」と説明。新たな業務を実施するには、薬剤師の教育も必要になるため、「間に合うものを前提に」示したと話した。
日病薬の桒原氏は、翌25日の会見で、厚労省の吉田学医政局長が、6月17日の第1回ヒアリングで「現行制度のもと」でのタスク・シフティングを進める方向と話したことなどを背景に挙げた。
ただ、第1回目のヒアリングで、「法令改正や現行法解釈の変更による業務拡大をするのであれば、適正なプロセスを経て行うべき」と圧力をかけたのは、日医。ほかの団体から、「現行法では認められていない」業務の提案もあるなかで、薬剤師業界は「日医、医師への忖度甚だしい内容」(自民党議員関係者)を示すことになった。
こと薬に関してだけでも、医師と対等な立場をめざそうとする薬剤師はいないのだろうか。何ともお行儀のよろしい業界である。
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