刑事裁判官の品質管理
矯正施設を福祉施設化しているのは、検察庁と裁判所のでっち上げ複合体である。裁判には会計検査院が入らないのをいいことに、無駄な裁判を自分達ででっち上げ、認知症患者を刑務所に送り込んでおきながら、忙しいだの人手が足りないなどと文句を言っている。「自分の転勤を理由に認知症患者を刑務所送りにする裁判官に比べたら、自分の方がよっぽどましだ」 私を藪医者呼ばわりした河村俊哉,柴田雅司,小暮紀幸の3人の裁判官はそう思っているのだろう。
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精神鑑定実施、地裁で差 高知拒否、大阪は自ら提案 毎日新聞2018年1月13日 大阪朝刊
認知症患者が被告となる刑事裁判で、精神鑑定の実施を認めるか否かの対応が裁判所によって分かれている。高知地裁では、弁護側が医師の意見書を示して鑑定を求めたのに裁判官が拒否し、控訴審で「法令違反」と批判を浴びた。一方、大阪地裁では裁判官が被告の言動をみて自ら鑑定を提案。認知症についての理解の温度差が判決にも影響している。【原田啓之】
2015年8月、女性(71)は高知市内の青果店でブドウなどを万引きしたとして逮捕された。女性が事件直前、他の2店舗でも万引きを繰り返していたことを弁護人の林大悟弁護士(東京弁護士会)が不審に感じ、医師に面会させると、診断は「認知症」だった。翌年1月、林弁護士は高知地裁の公判で、「認知症で心神喪失の可能性があり、正式な精神鑑定が必要」とする医師の意見書を提出。地裁に鑑定の実施を求めた。しかし、年配の男性裁判官は「転勤間近なのに、今ごろ言われても」と顔をしかめ、検察官の意見を聞いただけで却下。地裁は2月、鑑定をしないまま、認知症の影響を「仮にあったとしても限定的なものに過ぎない」と判断し、懲役8月の実刑判決を下した。裁判官は4月1日付で、別の裁判所へ異動した。
この裁判の進め方を控訴審は厳しく批判した。高松高裁は16年6月の判決で「認知症の有無や影響を明らかにする必要があったのに、地裁が鑑定を実施しなかったことは法令違反」と断じ、審理を地裁に差し戻した。差し戻し審では鑑定が実施され、医師が「軽度の認知症で犯行に大きく影響した」と指摘。17年8月の判決は「認知症で判断能力が低下した」として罰金50万円に引き下げた。一方、大阪地裁の対応は対照的だった。15年に大阪市内の漬物店で万引きしたとして窃盗罪に問われた男性(72)の公判。弁護側は医師の診断書を提出し、男性の認知症が事件に影響したと主張していた。裁判官は、男性が法廷で家族の年齢を間違える様子を見て「精神鑑定をした方がよい」と提案。地裁の鑑定で、医師は「認知症で行動の抑制が困難だった」と診断し、地裁は17年3月、心神喪失の疑いがあるとして無罪を言い渡した。元東京高裁判事の門野博弁護士は「裁判官は万引きなど軽微な事件では時間と労力がかかる鑑定を避けがちだ。ただ、認知症を理由に責任能力が否定される例もあり、裁判所は積極的に鑑定の実施を認めるべきだ」と指摘する。
検察、内規で決めず
認知症患者が関わる事件について、検察庁や弁護士会の対応も地域や個人によって差があり、一様ではない。法務省によると、検察が認知症の影響を調べる精神鑑定をどのような場合に実施するかは内規などで決まっておらず、事件ごとに検察官が判断している。一方、起訴しなかった場合に、検察が自治体や社会福祉士と連携し、医療や福祉手続きを支援する取り組みは各地で広がりつつある。ただ、ある社会福祉士は「積極的かどうかは検察官によって個人差がある」と話す。大阪弁護士会は、知的障害や認知症に関する研修を受けた弁護士を当番弁護士として派遣する制度を独自に設けている。だが、こうした対応は地域でまちまちで、北陸地方の弁護士は「地方は都市部に比べて取り組みが遅れがちだ」と明かす。
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刑務所「介護」が重荷…毎日 個別リハビリ/階段 2人で背負う 読売新聞 2018年1月14日
鳥取刑務所では、高齢受刑者らを対象に、平日のほぼ毎日、個別に約30分間のリハビリが行われている。寝たきりになることなどを防ぐのが狙いだ。
「何本に見えますか」。女性の介護福祉士(26)が頭上に指2本を掲げた。「3本」。約2年半前に入所し、物忘れなどの症状が進む男性受刑者(74)がこう答えると、介護福祉士は「2本ですよ」と優しく声をかけた。
男性受刑者は指示に従って体を伸ばしたりするが、時折、「あっ」と痛そうな声を漏らしていた。
受刑者の高齢化を受け、国は今年度から、約30人の介護スタッフを全国の刑務所に配置。鳥取刑務所も介護福祉士1人を採用し、平日に30~40分、受刑者に運動などの指導を行っている。
だが、刑務官の負担は重い。所内には階段を使わないと行けない面接室などもあり、刑務官が2人がかりで背負って運ぶこともある。食事をのどにつまらせる恐れがあるため、食べ物を細かく刻み、食事中を通して見守る必要がある受刑者もいる。同刑務所の刑務官はこうため息をつく。「『介護棟』のようなものを作らないと対応が難しい」
浜井浩一・龍谷大教授(刑事政策)は、「ヨーロッパでは重大事件を除いて高齢者を刑務所に入れない国が多い。これだけ認知症の受刑者が多いのは日本くらいであり、認知症が進行した場合は刑の執行を停止し、福祉施設に入れるべきだ」と指摘する。
出所後の支援 再犯左右
認知症の出所者らを支援する社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県)などが、2015年~16年7月末に行った追跡調査によると、認知症の疑いがあるとして調査対象とした受刑者72人中、出所時に福祉施設の確保や生活保護の申請などをしてもらえる「特別調整」を使って出所した16人は、調査期間中に罪に問われることはなかった。一方、特別調整を使わず出所した29人中、5人が再び罪を犯したとして起訴され、すでに3人は刑務所に収容された。
法務省は今後、認知症受刑者に特別調整の利用を促し、再犯率の低下につなげたい考えだが、課題は残る。
特別調整は、出所後の孤独感や経済的不安を和らげ、再犯を減らすことなどを目的に09年度から導入されているが、本人の事前の同意が必要だ。鳥取刑務所の別の刑務官は「これまでは、利用を勧めても断られることも多かった」と明かす。
また、そもそも制度について受けた説明を数時間後には忘れてしまう受刑者もいるほか、「会社を始めるから必要ない」などと実現性の乏しい話を繰り返す受刑者に対し、面接を4~5回重ねた末にようやく同意を得たこともあったという。
同省幹部は「認知症受刑者の病状を把握してきめ細やかな処遇を行うとともに、病状が進む前から特別調整の利用を促すなどし、医療機関や福祉施設と連携して再犯の防止につなげていきたい」と話している。
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受刑者に認知症検査 新年度から…60歳以上、入所時 主要8刑務所 読売新聞 2018年1月14日
高齢受刑者の1割超を占めるとされる認知症対策として、法務省は新年度から、東京など主要8か所の刑務所に入所する60歳以上の受刑者に、認知症検査の受検を義務づけることを決めた。
早期の診断、治療の機会を確保するとともに、認知症を抱え、出所しても自立が難しい受刑者に刑務所などが協力して社会福祉施設や医療機関の受け入れ先を見つける「特別調整」の利用を指導するなどし、再犯率を下げる狙いがある。刑務官向けに認知症への対応の研修も新設する。
同省は2015年、全国から無作為抽出した60歳以上の受刑者を検査した結果、13・8%(約1300人)に認知症の疑いがあるとの推計値を得た。ただ、その後、実態把握や統一的な対策は進んでいなかった。
同省によると、新たに受検を義務づけるのは、府中(東京)、大阪、名古屋、広島、福岡、宮城、札幌、高松の8刑務所に4月以降に入所する受刑者。入所直後の受刑者に対し、刑務官が記憶力や計算能力を測る簡易検査を実施。認知症の疑いがある受刑者には医師の診察を受けさせる。
これまでは刑務作業に支障が生じるほどの重症でなければ受診を勧めず、病状が進行するケースもあったという。同省では、今後は認知症と診断された受刑者については刑務作業の時間を短くしたり、負担の軽い作業に切り替えたりするほか、出所後に備えて特別調整の利用などを指導する。
同省によると、14年に刑務所を出所し、特別調整を利用した認知症などの元受刑者のうち、再び罪を犯して2年以内に刑務所に戻った割合は10・0%で、利用を辞退した元受刑者の39・3%と比べて格段に低い。同省は「刑務所では単純作業が多く、軽度の認知症は見過ごされやすかった。早期診断を再犯率の低下につなげたい」としている。
「服役中に症状悪化 多い」
「いつもどうやっているか覚えている?」
収容者の約2割が60歳以上の鳥取刑務所(鳥取市)。廊下の手すりを伝いながらリハビリ室に現れた男性受刑者(74)の耳元で、男性刑務官が大きな声で語りかける。受刑者はしばらくの沈黙の後、こうつぶやいた。「忘れた」
この受刑者は覚醒剤取締法違反で実刑が確定し、約2年半前に入所。2年前から物忘れなどの症状が表れ、他の受刑者と一緒に刑務作業ができなくなった。今では手すりなどにつかまって歩くのがやっとの状態だ。単独室にある男性受刑者の布団には防水カバーが掛けられていた。便器への移動が間に合わないこともあるためという。
同刑務所の刑務官は、「週末などは室内にこもりがちになるせいか、服役中に認知症の症状が悪化する受刑者も多い」と話す。
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