河北新報の記事

筋弛緩剤事件再審請求審 大阪府警、鑑定資料残りを冷凍保存(2013年01月24日)←つまり全量消費(国家公安委員会規則 犯罪捜査規範第186条違反)は嘘だった
  仙台市泉区の旧北陵クリニックで起きた筋弛緩(しかん)剤点滴事件の再審請求審で、大阪府警科学捜査研究所が患者の血清などの鑑定資料を鑑定後、残りを 「試料」として冷凍保存し、一審前に分析していたことが23日、関係者への取材で分かった。検察側は一審から鑑定資料を「全量消費した」と主張してきてお り、弁護側は「検察側は事実上、全量消費を撤回した」と指摘している。
 関係者によると、府警は一審前の2001年2月ごろ、「筋弛緩剤成分のサ ンプルを分析すると、質量電荷比279のイオンが検出される」との知見を得ていた。冷凍保存していた「試料」を分析した結果、279のイオンが検出された という。弁護側も「筋弛緩剤からは279のイオンが検出される」と主張している。
 三審を通じ、検察側は府警の鑑定(00年12月~01年3月)で、「質量電荷比258のイオンが検出された」とする結果を筋弛緩剤が使用された根拠とし、有罪判決の支えになった。
 弁護側は「筋弛緩剤から258のイオンは検出されない」として再審請求し、元准看護師守大助受刑者(41)=無期懲役確定=が同剤を投与したとされた事件の存在そのものを否定している。
 関係者によると、再審請求審で検察側は279のイオンを「血清などに筋弛緩剤が含まれていることを直接示すイオン」と位置付け、検出されたとする証拠を仙台地裁に提出した。
 検察側は「279のイオン検出に用いられたのは鑑定資料ではなく、試料」と強調。「全量消費した」との従来の主張と矛盾しないとの姿勢を示したという。
 弁護側は「こじつけにすぎない」と批判している。
 鑑定資料の「全量消費」をめぐっては、一審から激しい応酬が続いた。検察側は「血清などの鑑定資料から筋弛緩剤以外の毒薬物の含有も調べたためで、理由は合理的」と主張。弁護側は「再鑑定できず、鑑定結果の真実性を追試できなくなった」と反発していた。
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「医学的根拠ない」意見書に反論 仙台・筋弛緩剤事件( 2010年07月21日)
仙 台市泉区の旧北陵クリニックで起きた筋弛緩(しかん)剤点滴事件で、クリニックの実質経営者だった半田康延東北大客員教授が20日、仙台市で記者会見し、 元准看護師守大助受刑者(39)=殺人罪などで無期懲役確定=の弁護団が再審請求の新証拠として提出する医師の意見書に反論した。
弁護団の意見書 は、今も重体の大島綾子さん(21)=事件時(11)=の容体急変について、脳卒中のような発作があり血中乳酸値が高かったとして、筋弛緩剤の点滴投与で はなく、ミトコンドリア脳筋症の悪化が原因だとしている。半田氏は「容体急変直後のコンピューター断層撮影(CT)検査で、脳卒中に似た症状は確認され ず、ミトコンドリア脳筋症ではない。乳酸値もすべてのデータではなく、高い値だけを採用して結論を導き出すなど、医学論文ならば罰則を受ける内容だ」と語った。再審請求については「受刑者の権利であり、再審請求だけならば何も意見は述べなかったが、医学的根拠のない主張を展開し、綾子さんの家族を傷つけているので記者会見した」と話した。 
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「罰を受ける」ではなく「罰則を受ける」という表現は東北の方言でしょうか、私には意味がよくわかりません。なお、私に英文の症例報告にしましたが、罰は受けていません(^^)→Ikeda M. Fulminant form of mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes: A diagnostic challenge. J Med Cases 
2011;2(2):87-90.  

検 察は御両親に「娘さんの診断は筋弛緩剤中毒です。私たちは脈の取り方一つ知りませんが、正義の味方です。娘さんは国の認定基準に合致するミトコンドリア病 であり、適切な治療を受ける権利があるなどという、やぶ医者の世迷い言を決して信用してはなりませんぞ」と、15年もの間、大嘘をついて騙し続け、神経難 病患者の犠牲の上に自己保身と組織防衛を図ってきたのです。公権力の非道ここに極まれりです。

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「筋弛緩剤」再審請求へ 守受刑者弁護団、来月にも(2010年07月07日水曜日)
仙 台市泉区の旧北陵クリニックで起きた筋弛緩(しかん)剤点滴事件で殺人、殺人未遂罪に問われ、最高裁で無期懲役が確定した元准看護師守大助受刑者(39) の弁護団が6日までに、8月にも再審請求する方針を固めた。今も重体の大島綾子さん(21)=事件当時(11)=の容体急変の原因が筋弛緩剤の点滴投与で はなく、難病だとする医師の意見書を新証拠として提出する。
 意見書は、綾子さんの容体急変時の症状を検討し、(1)手足のけいれん(2)脳卒中 のような発作(3)高い血中乳酸値―などの点を挙げ、「筋肉が緩んで動かなくなる筋弛緩剤の中毒では説明がつかない」と指摘。神経内科疾患の一つで、持病 のミトコンドリア脳筋症が急激に悪化した、としている。
 確定判決は、綾子さんに筋弛緩剤が点滴されたことで呼吸する際に使われる筋肉の動きが低下し、体内が低酸素状態に陥り、脳に障害が残ったと認定した。
 一審仙台地裁は、起訴された5事件のうち、比較的証拠がそろっていた綾子さんと当時1歳の女児への事件性を認定し、それを支えに状況証拠を評価し、ほかの3事件も守受刑者による犯行と断定。仙台高裁、最高裁とも一審判決を支持した。
 弁護団は再審請求で、綾子さんの容体急変は持病が原因だとして事件性を否定し、ほかの4事件にも波及させて、全面無罪を主張する方針だ。
  ミトコンドリア脳筋症は、細胞内でエネルギーを作り出すミトコンドリアのDNA(デオキシリボ核酸)に異常が生じることで、細胞内でエネルギー不足が起 き、脳や筋肉に異常が起きる難病。症状は意識・視力障害やけいれん、心拍数の減少などがある。血中乳酸値が上昇するのも特徴の一つ。確定診断にはDNA解 析が必要になる。
 医師の意見書は、事件に関連してクリニックの元実質経営者が名誉を傷つけられたとして、阿部泰雄弁護団長(仙台弁護士会)を相手に起こした民事訴訟で、阿部団長側が仙台地裁に証拠として提出、医師の証人申請もしている。

◎まだ家族苦しめるのか被害者側
 元准看護師守大助受刑者(39)の弁護団が再審請求に踏み切る背景には、被害者の血液(血清)や点滴パックの溶液から筋弛緩剤成分を検出したとの鑑定結果に対する不信感がある。捜査段階で鑑定資料が全量消費され、再鑑定できなかったからだ。
 阿部泰雄弁護団長は「検察側の最重要証拠が正しいかどうか確認するすべはなく、証拠能力を信じることができない以上、有罪判決は受け入れられない」と、再審準備を進めてきた理由を語る。
  再審事由の「新証拠」としたのは、被害者の一人で、今も意識が戻らない仙台市泉区の大島綾子さん(21)の容体が急変した際の症状や原因に関する医師の意 見書。2000年10月、11歳だった綾子さんに起きた容体急変について、意見書は筋弛緩剤の中毒ではなく、ミトコンドリア脳筋症が原因としている。
 綾子さんの母恵理子さん(48)は「(意見書は)娘の低身長と低体重もミトコンドリア脳筋症が原因などと言っているが、いいかげんにしてほしい。弁護団の我田引水の解釈と証拠の引用で、何が分かるというのか。娘を病気扱いすることなど到底許すことはできない」と憤る。
 弁護団と守受刑者に対しては「どこまで娘とわたしたち家族を苦しめれば気が済むのか。彼らの言動は理解も容認もできない。自らの誤りを認め、これまでの活動を反省すべきだ」と答えた。
[筋 弛緩剤点滴事件]仙台市泉区の旧北陵クリニック(2002年3月廃院)で1999年以降、患者の原因不明の容体急変が相次いだ。宮城県警は2001年 1~3月、点滴で筋弛緩剤を投与して1人を殺害、4人を殺そうとしたとして、殺人と殺人未遂の疑いで守大助受刑者を逮捕した。守受刑者は逮捕直後、容疑を 認めたが、逮捕4日目に否認に転じ、公判で無罪を主張。仙台地裁は01年7月の初公判以来、156回の公判を開き、04年3月に5件すべてを有罪認定し、 求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。守受刑者は控訴したが、仙台高裁は06年3月に控訴を棄却。最高裁で08年3月、判決が確定した。

[再審請求]刑事訴訟法は、有罪判決確定後に証拠物が変造だったことが証明されたり、明らかに無罪とすべき証拠が新たに見つかったりした場合、再審請求できると定めている。請求を認める再審開始の決定が確定すれば、原判決を出した裁判所で再審が行われる。
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