迅速承認の末路

「効かない薬」というと,私のような爺が真っ先に思い出すのが,「脳循環代謝改善薬」である.あんな「牧歌的」な承認整理でも,当時は大騒ぎになったものだ.「薬理効果が否定されたわけではない」当時の鶴田康則審議官(審査管理課長?)の迷言をはっきり覚えている.

「迅速承認」も承認には違いないので,処方にあたっては,治験のような同意は,もちろん不要.有効ではなく副作用のみの「悪性腫瘍薬」による健康被害については,患者の自己責任であって,企業もFDAも「そんなもん,知らないよ.訴訟を起こすのなら,どうぞご自由に」ってことなんだろうか.日本では,迅速承認の医薬品も,通常承認と同様に副作用被害救済制度の対象になるのだろうが.
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Lilly 迅速承認された肉腫薬LartruvoがPh3試験で生存改善効果示せず~販促停止 BioTodayニュースレター 2019年1月21日
2年と少し前の2016年10月に米国FDAに軟部肉腫(STS)治療薬として迅速承認されたEli LillyのPDGFR-α活性化阻止抗体Lartruvo(Olaratumab)が、その承認維持に必要な第3相試験(ANNOUNCE)主要目標・生存改善を達成できませんでした。

同剤とドキソルビシン(doxorubicin)併用の生存がドキソルビシン単独と差がつきませんでした。平滑筋肉腫患者に限った解析でも同様に生存に差は認められませんでした。STS患者が臨床試験以外の普段の治療でLartruvoをこれから使い始めることは無理であり、LillyはLartruvoの販促を停止しています。

Lartruvoは去年3Qにはその前年同期より41%多い7690万ドルの売り上げを同社にもたらしましたが、今回のPh3失敗により、今年は一転して同剤はLillyのお荷物となります。1QにLillyはLartruvo関連損失(pre-tax charge)7000-8000万ドルを計上します。また、今年通年の1株あたり利益はこれまでの予想より0.17ドル減る見通しです。最近発表したLoxo Oncology社買収の影響も含めた今年の新たな業績予想一揃えを去年4Qの業績と一緒に後日説明するとLillyは言っています。

Lilly cancer drug fails key trial, will no longer be prescribed
Lilly Reports Results of Phase 3 Soft Tissue Sarcoma Study of LARTRUVO?
On heels of Loxo buy, Lartruvo setback deals a blow to Lilly's oncology hopes
Lilly’s approved cancer drug Lartruvo fails confirmatory study, setting the stage for withdrawal of regulatory endorsement
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