小児での今様全般改善度
Parent-reported outcomeの提案
マイコプラズマ肺炎と確診された小児に対して、抗菌薬を投与すると有症状期間(*)が短縮するか?という臨床疑問に対して、
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これまでの経験から、マイコプラズマは下気道炎の原因菌となり、感受性のある抗菌薬があることは分かっているが、小児に対する抗菌薬による治療が有益であるかどうかはまだ分かっていない。という結論を導いた下記のシステマティックレビュー
Biondi E, McCulloh R, Alverson, Klein A, Dixon A. Treatment of mycoplasma pneumonia: A systematic review. Pediatrics 2014;133(6);1081-1090. doi: 10.1542/peds.2013-3729
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この「有症状期間」はどのように定義されるのでしょうか?もう少し一般的な言い方をすると、小児の肺炎治療のハードエンドポイントって,どうやって設定するんでしょうか?エンドポイント設定の難しさが、ハードエビデンス取得の壁になっていないでしょうか?成人ならば「職場復帰までの日数」(急性気管支炎に対するアジスロマイシンの有効性検証試験における主要評価指標 Lancet 2002;359:1648)のようなハードエンドポイントが考えられるんですけど。
臨床的に疑わしければどうせ治療を始めるのだから、それほど躍起になってエビデンスを取りに行く必要はないと考える向きもあるやもしれませんが、薬が効いているのかどうか?また効いたとしてもいつ止めるのか?の判断にもハードエビデンスは必要です。この時、純粋な客観的指標にこだわると苦しくなりますが、主観を交えた指標がハードエンドポイントにふさわしくないとは限りません。「職場復帰までの日数」だって主観です。
小児の臨床試験では、PRO:patient-reported outcomeならぬparent-reported outcomeを考えてもいいのでは?
PROはその性質上、プライマリケア場面での臨床研究で使いやすい指標ですが、下記の資料をご覧になれば、すでに企業治験の主要評価指標にPROが使われていることがわかり、「患者の主観を入れた指標なんて使ったら臨床研究の質が低く見られてしまう」との時代錯誤は、一瞬にして雲散霧消します。
参考資料
PRO解説簡易版
PRO解説詳細版
PROに関するFDAのガイダンス(これが出たのは8年以上前です)
追伸:「PROは謂わば今様全般改善度」なんて説明の意味がわかってくれるのは、臨床医ですと五十代後半以降かな。
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