タイトルだけ&つぶやくだけ-2014まで古いもの

以前は、最低限、要約だけでも読んでコメントしていたのですが、時間はないし、果たしてそこまで読み込んでも自分のためになっているのか、 アウトカ ムが不明なので、タイトルだけ見て、つぶやくだけで、あとは皆さんにお任せしようかと。奇特な方から教えてもらえる利点もあるでしょう


高血圧症 の診断には自由行動下血圧測定が必要/USPSTF案 Biotoday 2014-12-25 -

18歳以上の成人は全て高血圧検診を受け、高血圧症の診断前には自由行動下血圧測定で血圧が高いことを確認すべきとの方針案を米国予防医療 特別委員会(USPSTF)が発表しました。 USPSTFは高血圧検診の間隔も提案しています。高血圧リスクが高い人や40歳以上の人は毎年、39歳以下でリスク因子がない正常血圧の若い人は3-5 年毎の検診を受けるべきとされています。

USPSTF Issues Draft Recommendation on Screening for High Blood Pressure / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw109669/2014/12/23/uspstf-issues-draft-recommendation-screening-high-blood

High Blood Pressure in Adults: Screening
http://www.uspreventiveservicestaskforce.org/Page/Document/RecommendationStatementDraft/hypertension-in-adults-screening-and-home-monitoring


MIT(と いってもマサチューセッツとは関係ない、多分・・・)

恒例のBMJ Christmas issueから。著者の性別を含めてCOIには言及がありません。
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Darwin Awardは男性が多い〜男性はより間抜けという仮説と一致 Biotoday 2014-12-15
人類の遺伝子資源(gene pool)から愚者を減らして人類を存続させるために愚かな危険な振る舞いで世を去っていった1ダースほどの人に毎年贈られるDarwinAwardは男 性の方が女性より有意(P<0.0001)に受賞しやすいことが男性研究者によって確認され、年末のBMJ誌に報告されました。男性は 女性よりバカであるという仮説に今回の結果は一致すると研究者は言っています。

‘Men Are Idiots’, New Study Says
http://time.com/3631350/men-are-idiots-new-study-says/
Need scientific proof men are stupider? We got that
http://www.cnbc.com/id/102262905

The Darwin Awards: sex differences in idiotic behaviour. BMJ 2014;349:g7094
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g7094


Young at heart
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実年齢より若いと思っている人は死亡率が低い Biotoday 2014/12/18
英国の研究者が52歳以上の高齢成人およそ6500人をおよそ8年間追跡調査した結果、自分は実際の年齢より若いと感じている人の死亡率 (14%)は、自分が実際の年齢より老けていると思っている人の死亡率(25%)より低いという結果が得られました。死亡原因別に見ると、減 少していたのは心血管死で、癌死には差が見られませんでした。

Young at Heart: Feeling Younger Than Your Actual Age Linked to Lower Mortality
http://www.jwatch.org/fw109641/2014/12/16/young-heart-feeling-younger-your-actual-age-linked-lower
Feeling Younger Than Actual Age Meant Lower Death Rate for Older People
http://media.jamanetwork.com/news-item/feeling-younger-than-actual-age-meant-lower-death-rate-for-older-people/

Feeling Old vs Being Old: Associations Between Self-perceived Age andMortality. JAMA Intern Med. Published online December 15, 2014.
doi:10.1001/jamainternmed.2014.6580
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2020288
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アカデミアの責任
「バカなマスコミ」はアカデミア自身が作っている
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健康関連科学ニュースの誇張の多くは大学発プレスリリースに既にある
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生物医学や健康関連の科学的成果に関する大学発プレスリリースでの誇張とそれらを紹介しているニュースでの誇張が関連することが示されまし た。健康関連科学ニュースにおける誇張の多くは大学のプレスリリースに既に存在しており、プレスリリースの正確さの改善が科学ニュースの正確 さの改善ももたらすだろうと著者は示唆しています。
The association between exaggeration in health related science news and academic press releases: retrospective observational study. BMJ 2014;349:g7015
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g7015


健康情報番組の責任者
お医者さんも,みのもんただけを攻撃するわけにはいかないようですね.
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たとえ医師がホストでも…健康情報番組には気を付けろ?! MTpro 2014/12/18
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1412/1412053.html

BMJクリスマス特集
 日本国内でも一般に人気の一方,しばしば医療者の批判の的となるテレビの健康情報番組。医師が出演していると,その内容がより信頼できるも ののように見えるが,実際はどうなのか。カナダ・University of AlbertaのChristina Korownyk氏らは,医師がホストとして出演する人気健康情報番組の内容を検証。番組が勧める健康情報のうち,エビデンスによる裏付けが確認されたの は半分程度だったとの報告がBMJクリスマス特集で紹介された(BMJ2014; 349: g7346)。同氏らは視聴者に対し,こうした番組の放映内容をうのみにしないよう呼びかけている。

米国で制作の人気番組を検証
 今回検証の対象とされたのはThe Doctor Oz Show(Dr Oz)とThe Doctors(Doctors)。いずれも米国で制作され,国際配給されている人気番組だ。前者はUniversity of Colombiaの心臓外科教授Mehmet Oz氏が,後者は救命救急医Travis Stork氏の他,産婦人科医や小児科医,家庭医,性科学者ら6人の医師が日替わりでホストを務める。 Korownyk氏らによると,特にDr Ozで取り上げられる健康情報には,これまでにも医療者から疑問や批判の声が挙がっている。しかし,こうした番組で扱われる医学情報が全体的 に適切かどうかは分かっていないとして今回の検討を実施した。

54%になんらかのエビデンス「エビデンスがない」または否定的な内容も
 昨年(2013年)始めに両番組で放映されたエピソードをそれぞれ40件ランダムに選び,その中から番組で推奨されていた健康情報にエビデ ンスによる裏付けがあるかなどを評価した。
 ちなみにこの研究,家庭医学を専門とするKorownyk氏をはじめ,薬学,生物統計学,リサーチアシスタントなど複数の医療・専門職14 人からなるDoctors顔負けのチームが著者として名を連ねている。
 検討期間中の各番組40エピソードで放映されていた推奨内容(1つの話題につき約4〜5件の推奨が含まれている)からそれぞれ80件,計 160件の推奨をランダムに抽出した。このうち,少なくとも1例報告,あるいは比較的質の高いエビデンスが見つかったのは全体の54% (95%CI 47〜62%)だった。番組別では,Dr Ozで放映された80件の推奨のうち,エビデンスの裏付けがあったのは46%。一方,エビデンスに反していたものが15%,エビデンスが見いだせなかった ものが39%に上っていた。Doctorsで放映された80件のうち,エビデンスの裏付けがあった推奨は63%。エビデンスに反していたもの は14%,エビデンスが見いだせなかったものは24%だった。

推奨内容のCOI開示は全体の0.4%
 健康情報に関する推奨が最も多かったカテゴリーはDr Ozでは「食事に関するアドバイス」,Doctorsでは「医師の診察を受ける」ことに関するものだった。検討対象期間に放映された924件の推奨のう ち,推奨内容の利益相反情報が開示されたのは4件(0.4%)にすぎなかった。

ホスト医師本人による推奨は26%のデータも
 医師たちがホストを務めるとはいえ,全ての推奨を本人たちが伝えているとは限らない実態も分かった。Dr OzではOz氏本人による推奨は26%(479件中125件)に対し,ゲストによる推奨は65%(同310件)に上っていた。Doctorsでは医師らに よる推奨は65%(445件中290件)に対し,ゲストによる推奨は33%(同146件)だった。
「ベネフィットある」具体的な説明ないまま放映されることも
 健康情報に関する推奨によるベネフィットに言及していた割合は各番組で90%以上と高かった。 しかし,その推奨によるベネフィットが明ら かでなかったものは両番組内容の57.4〜58.7%に上っていたとKorownyk氏らは指摘,Dr Ozでの1例を紹介している。それによると「ビタミンEによる脳力アップがベネフィットと考えられる」との見方を示す一方,そのベネフィットが目に見え る,あるいは測定可能なものなのかは検討されておらず,脳力の増加の程度についても触れられていなかったと説明している。 同氏らは今回の検 討から,健康情報番組で放映される推奨内容はベネフィットに関する適切な情報に欠けることが多いと結論。視聴者はこうした番組で流される健康 情報をうのみにしないよう呼びかけている。
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卒後教育のアウトカム評価

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米国の医師免許更新プログラムの患者治療改善効果認められず Biotoday 2014-12-12

JAMA誌掲載の2試験の結果、米国の10年毎の医師免許更新に必要なプログラムMOC(Maintenance of Certification)と患者治療指標の改善は関連しませんでした。ただし1つの試験ではMOCと医療費低下の関連が示されています。

Studies Examine Effect on Patient Care and Costs of Requirements for Mai
ntaining Board Certification
http://media.jamanetwork.com/news-item/studies-examine-effect-on-patient-care-and-costs-of-requirements-for-maintaining-board-certification/
Benefits of Maintenance of Certification Unclear
http://www.jwatch.org/fw109617/2014/12/10/benefits-maintenance-certification-unclear

Association Between Imposition of a Maintenance of Certification Requirement and Ambulatory Care■Sensitive Hospitalizations and Health Care Costs. JAMA. 2014;312(22):2348-2357. doi:10.1001/jama.2014.12716.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2020369
Association Between Physician Time-Unlimited vs Time-Limited Internal Medicine Board Certification and Ambulatory Patient Care Quality. JAMA. 2014;312(22):2358-2363. doi:10.1001/jama.2014.13992.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2020370
Certifying the Good Physician: A Work in Progress. JAMA. 2014;312(22):2340-2342. doi:10.1001/jama.2014.13566.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2020354
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プレガバリンは高齢成人の慢性腰痛に無効 Biotoday 2014-12-12

 患者29人の小規模プラセボ対照クロスオーバー無作為化試験の結果、高齢成人の最も一般的な慢性腰痛にPfizer社のLyrica (リリカ;pregabalin、プレガバリン) は効きませんでした。 腰部脊柱管狭窄症と関連する神経性跛行を有する患者の痛みや身体機能制限の緩和効果は認められませんでした。Lyricaの腰痛治療は承認されていません が、医師の裁量でしばしば処方されています。

Commonly prescribed painkiller not effective in controlling lower back pain / Eurekalert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-12/uorm-cpp120814.php

Pfizer’s Lyrica Doesn’t Help Most Common Back Pain, Study Finds / Bloomberg
http://www.bloomberg.com/news/2014-12-10/pfizer-s-lyrica-doesn-t-help-most-common-back-pain-study-finds.html

Double-blind, randomized, controlled, crossover trial of pregabalin for neurogenic claudication. Neurology 10.1212/WNL.0000000000001168
http://www.neurology.org/content/early/2014/12/10/WNL.0000000000001168.short
電子カルテのアウトカム評価

電子カルテ共有の治療への効果は殆ど調べられていない Biotoday 2014-12-03 - Annals of Internal Medicine誌掲載の系統的レビューによると、治療拠点間で患者データを共有する電子カルテ同期(electronic health information exchange;HIE)の利用は増えているものの、治療への効果については殆ど調べられていません。 HIFと救急科使用やコストの減少の関連が幾つかの試験で示されていますが、その他の転帰への影響は分かっていません。

Evidence Lacking for Electronic Health Information Exchanges / Physcian'sFirstWatch
http://www.jwatch.org/fw109585/2014/12/02/evidence-lacking-electronic-health-information-exchanges

Usage and Effect of Health Information Exchange: A Systematic Review. Ann Intern Med. 2014;16(11):803-811. doi:10.7326/M14-0877
http://annals.org/article.aspx?articleid=1983413


予防的抗生剤使用を否定する 方針後に感染性心内膜炎が増加/英国
感染性心内膜炎を予防するための抗生物質投与を一切やめるように英国NICEが2008年3月に推奨してからそのような抗生剤使用は大幅に 減って感染性心内膜炎が有意に増えていることが示されました。感染性心内膜炎の増加はそのリスクが高い人と低い人のどちらでも有意でした。

Prophylaxis for infective endocarditis: let's end the debate. The Lancet, Early Online Publication, 18 November 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)62121-8/fulltext
Incidence of infective endocarditis in England, 2000-13: a secular trend, interrupted time-series analysis. The Lancet, Early Online Publication, 18 November 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)62007-9/fulltext


検診のアウトカム評価
そもそも、成人にせよ、小児にせよ数多行われている検診のアウトカム評価自体が非常に困難であるという背景があるわけです。しかし、この点は 医療者でも思考停止している人が大多数。裏を返せば、この問題は、医療者と一般市民の双方にとって、health
literacyを育成するための良質な双方向学習教材になるというわけです。検診のアウトカム評価の試験デザインを考えるのは、降圧剤のア ウトカム評価の試験デザインを考えるより、はるかに効率的な臨床研究の学習になるし、検診のアウトカム評価の大切さがわかれば、コホート研究 の意義も、治療のアウトカム評価の意義もすんなりと理解できる。論文のネタ同様、臨床研究の教材もどこにでも転がっているのです。
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就学前小児の言語発達遅延の検診は支持も否定もできない/USPSTF 2014-11-18 -
裏づけが不十分なので、プライマリーケアでの5歳までの就学前小児の発話/言語発達遅延を検出する検診を支持も否定もできないとの最終的見解 を米国予防医療特別委員会(USPSTF)が示しました。プライマリーケアでの積極的な監視の正確さや検診が発話や言語能力の改善をもたらす ことを裏付けるデータは不十分とUSPSTFは判断しています。また、社交性や学歴などの言語以外の転帰への検診の有益作用も示されていませ ん。最も効果的な検診手法を同定する試験が必要とUSPSTFは言っています。

USPSTF Draft Statement: Evidence Insufficient to Recommend Screening Young Kids for Speech Delay / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw109544/2014/11/18/uspstf-draft-statement-evidence-insufficient-recommend

Final Recommendation Statement: Speech and Language Delay in Preschool Children: Screening
http://www.uspreventiveservicestaskforce.org/Page/Document/RecommendationStatementFinal/speech-and-language-delay-in-preschool-children-screening
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検 察官が羨ましい
因果関係の判断って、業務上過失致死みたいに単純にできないんですよ。それがわかればみだりに他人を藪医者呼ばわりできないはずなんですがね。

Biogenの多発性硬化症薬TECFIDERA初のPML症例についてFDAが警告2014年11月25日
FDA(米国食品医薬品局)は、Biogen Idec社の多発性硬化症(MS)薬TECFIDERA(dimethyl fumarate)治療患者の一人が脳の稀な重病・進行性多病巣性白質脳障害(PML)を発現して死亡したとの警告を発しました。TECFIDERA治療 患者において初めて確認されたこのPML症例の記述が同剤ラベルに追加されます。脱力(weakness)の悪化や発生、四肢を動かしたとき の違和感、思考・視力・筋力・バランスの異常等のPMLかもしれない症状を認めたTECFIDERA服用患者は医療専門家に相談すべきと FDAは言っています。

FDA Drug Safety Communication: FDA warns about case of rare brain infection PML with MS drug Tecfidera (dimethyl fumarate)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm424625.htm
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あ ちら立てば
まあ、当然なのですが。

PCI患者の抗凝固治療の効果と安全性は両立せず/メタ解析 BioTodayニュースレター 2014年11月14日
無作為化試験をメタ解析した結果、経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受けるST上昇心筋梗塞(STEMI)患者の抗凝固治療のうちヘ パリン+GpIIb/IIIa阻害剤は重大心血管イベント抑制効果が最も高いものの出血リスクが高く、かたやBivalirudin(ビバリ ルジン) は出血率が最も低くて安全ではあるものの重大心血管イベント発現率が高いことが示されました。今回のデータを考慮してPCI患者の抗凝固治療を選ぶべきと 著者は言っています。

Anticoagulant therapy during primary percutaneous coronary intervention for acute myocardial infarction: a meta-analysis of randomized trials in the era of stents and P2Y12 inhibitors. BMJ 2014;349:g6419
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g6419


患者引き継ぎ
この問題は研修医に限ったことではありませんが。
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研修医の患者引き継ぎ改善プログラムで医療ミスや有害事象が減少 BioTodayニュースレター 2014年11月6日
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米国とカナダの9つの小児科研修医トレーニングで患者引き継ぎ改善プログラムを実施したところ医療ミスや回避可能(preventable) 有害事象が減少しました。引き継ぎ完了にかかる時間の増加や研修医が患者と直接接触する時間の減少は認められませんでした。

Resident Handoff Program Linked to Reductions in Medical Errors, Adverse Events
http://www.jwatch.org/fw109500/2014/11/06/resident-handoff-program-linked-reductions-medical-errors

Changes in Medical Errors after Implementation of a Handoff Program. N Engl J Med 2014; 371:1803-1812November 6, 2014DOI: 10.1056/NEJMsa1405556
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa1405556


救急科で避けるべき5つの検査/処置を 米国救急医学会が新たに追加 Biotoday 2014-10-30
不要な医療を減らす取り組みChoosing Wiselyの一環として、救急科(ED)で避けるべき検査/処置をAmerican College of Emergency Physiciansが新たに5つ示しました。 失神・非有意な外傷・神経評価が正常な無症状成人の頭部CTを避けること等が新たに加わり、今回の推奨をあわせて合計10の推奨が示されています。

American College of Emergency Physicians: Ten Things Physicians and Patients Should Question / Choosing Wisely
http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/american-college-of-emergency-physicians/

Choosing Wisely: 5 More Practices to Question in the Emergency Department / Physcian'sFirstWatch
http://www.jwatch.org/fw109472/2014/10/30/choosing-wisely-5-more-practices-question-emergency


提灯持ち
へっ、また、こんなカスみてえなイカサマ薬の提灯持ち、飛んで火に入る夏の虫を、誰がやるのか見物だぜ。
 PARADIGM- HFとやらを一言で説明すると、Neprilysin阻害薬sacubitrilとやらは、バルサルタンの助けを借 りないと、エナラプリルには勝てないことがわかった ということに過ぎない。また、バルサルタンと sacubitrilの配合剤に過ぎないLCZ696とやらは、降圧剤として製造販売承認申請すれば十分である。心不全について改めて開発する必 要なんぞこれっぽっちもない。なんとなれば、営業の際は「頑迷な日本の厚労省はグローバルで有効性が認められている心不全について効能効果を認め ない」と言えば(この台詞に捏造は一言もない。全て事実であるからノバルティス社におかれましてはどうぞご安心を)、国民皆保険制度を死守するわ が国のお医者様達は、薬の専門家として、心不全患者様のことを考え、て高血圧の保険病名をつけて、この期待の新薬を売ってくださるだろうから。
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ノバルティス ファーマ 慢性心不全治療薬開発 厚労省と協議(化学工業日報 2014年10月08日)
 ノバルティスが慢性心不全治療薬として年末から来年にかけて欧米に申請する予定のアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNi) 「LCZ696」の日本での開発が注目されている。ノバルティスの日本法人であるノバルティス ファーマは降圧剤を目指したアジア治験のみに参加 しており、心不全適応を目指すには厚労省との調整が必要になるためだ。
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Novartis社CEOは期待の心不全薬年間売り上げを20-50億ドルと予想 Biotoday 2014/10/28

予想を上回る3Q決算発表においてNovartis社CEO・Joe Jimenez氏は、死亡抑制効果を第3相試験で証明した期待の心不全薬LCZ696は年間売り上げ20-50億ドルを達成しうると見込んでいます。 80-100億ドルに達しうると考えるアナリスもいますが、それは楽観的すぎるとJimenez氏は言っています。LCZ696は12月まで にFDAに承認申請され、来年中に審査結果が判明しうる見込みです。

Novartis sees new heart failure drug as 'multi-blockbuster'
Novartis results top forecasts as new products gain momentum
Novartis delivered solid sales growth with strong margin expansion and major innovation in the third quarter
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ノ バルティス、心不全治療薬「LCZ696」承認申請へ Wall Street Journal 2014 年 4 月 1 日 15:41 JST


小径線維ニューロパチー薬
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Araim社 小径線維ニューロパチー薬がFDAのFast Track指定獲得
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2014年10月28日、Araim Pharmaceuticals社は、サルコイドーシスに伴う小径線維ニューロパチー(SFN)のARA290治療がFDA(米国食品医薬品局)の Fast Track(優先承認審査)指定を得たと発表しました。主に肺の肉芽腫の発見を受けて診断されるサルコイドーシスの大部分は自然または治療で解消します が、30%の患者はSFNを呈しつつ慢性化します。ARA290はInnate Repair Receptorを活性化して生体の治癒システムを活性化し、全身炎症を鎮めて治癒を誘導します。同剤の後期第2相試験が進行中です。
Araim Pharmaceuticals Given FDA Fast Track Designation to ARA 290 for the Treatment of Sarcoidosis-associated Small Fiber Neuropathy
http://www.prnewswire.com/news-releases/araim-pharmaceuticals-given-fda-fast-track-designation-to-ara-290-for-the-treatment-of-sarcoidosis-associated-small-fiber-neuropathy-280635872.html


雨後 の竹の子&どんぐりの背比べー17のエボラ治療薬/ワクチン候補の開発状況ー
17の雨後の竹の子&どんぐりの背比べといった状況がわかります。いずれにせよ、何らかの形で有効性を検証し承認まで漕ぎ着けるには年余の時間が かかりますが、17も候補薬があるって、一体どうするんだろ。治療薬はまだしも、ワクチンの開発なんて、ヒトで有効性を検証するのはほとんど不可 能のように思えます。デング熱でさえあれだけ苦労しているのに。
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17のエボラ治療薬/ワクチン候補の開発状況/BioSpaceのまとめ Biotoday 2014-10-21 -
Mapp Biopharmaceuticals社のZMappやTekmira社のTKM-Ebola等の17のエボラ治療薬/ワクチン候補の開発状況をまとめた レポートをBioSpaceが発表しました。

Ebola Clinical Trials: Big Name Players In The Ebola Race
http://www.biospace.com/News/ebola-clinical-trials-big-name-players-in-the/350579
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「臨床研究にもすべからくGCPを適用すべし」と主張する人々はエボラウイルス感染症治療薬/ワクチンの治験にはどのような規制が必要と考え るのでしょうかね。
イ レッサ・福島・そしてエボラ〜薬のリテラシーとは〜


Business as usual
特別な時は経験が無いわけですから、特別な時への特別な対応策はわからない・知らないわけです。だから、特別な時にはいつもと違うことは決し てできない。特別な時にできるのは、いつもと同じことだけです。 よしんば特別なことをやる必要が生じたとしても、いつも通りのことができなければ、特別なことができるわけがない。
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たとえ重度のエボラでもいつのも集中治療で効果的に治療しうる BioTodayニュース レター 2014年10月24日
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シエラレオネでの救援活動の際にエボラに感染し、ドイツのハンブルグで治療を受けた男性患者の経過がNEJM誌に報告されています。この男性 は種々の合併症を発現しましたが大量輸液蘇生、広域抗生剤治療、換気補助によって試験段階治療を使わずに完全に回復しました。たとえ重度のエ ボラでもいつもの集中治療で効果的に治療しうることをこの症例は示していると著者は言っています。
A Case of Severe Ebola Virus Infection Complicated by Gram-Negative Septicemia. NEJM. October 22, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1411677
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1411677?query=featured_home


規制改革と やらの意味
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非営利から営利病院に転換しても医療品質や患者転帰は改善せず BioTodayニュースレター 2014年10月23日
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米国の急病治療病院データを調べたところ、非営利から営利への転換は利幅の改善と関連するものの、医療品質や死亡率を含むその他の指標の変化 とは関連しませんでした。営利型への転換は治療改善へと通じる資源をもたらすと営利病院は言いますが、その主張は今回の試験では裏付けられま せんでした。

Hospital Switch to For-Profit Status Associated With Improvements in Financial Health, But Not With Differences in Quality of Care, Mortality Rates
http://media.jamanetwork.com/news-item/hospital-switch-to-for-profit-status-associated-with-improvements-in-financial-health-but-not-with-differences-in-quality-of-care-mortality-rates/

Association Between Hospital Conversions to For-Profit Status and Clinical and Economic Outcomes. JAMA. 2014;312(16):1644-1652. doi:10.1001/jama.2014.13336
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1917437


死んだふり

蘇生時の言動にはご用心〜心停止時の記憶があるという人が4割 Biotoday 2014-10-19 -
心停止を経験した140人をインタビューしたところ約4割(39%)の人が心停止時の記憶があると考えていました。 NEJM Journal Watchのエディーターは、この試験の解釈で注意すべき点を指摘しつつ、患者に聞こえているかもしれないので蘇生時の言動には注意すべきだねと言ってい ます。

AWARE−AWAreness during REsuscitation-A prospective study. Resuscitation. Articles in Press
http://www.resuscitationjournal.com/article/S0300-9572(14)00739-4/abstract


便移植その後
去年話題になった”便移植”(この時は経鼻十二指腸管から”lavage”を流し込んだ)
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1205037
が飲みやすい(^^;)凍結乾燥カプセル製剤になって登場というわけです.有効性に自信があるとn=20で済むわけです.一方で19,342 例もの,恥も外聞もない「大規模試験」でないと有効性を示せない,そんな惨めな「薬」もあります.
http://circ.ebm-library.jp/trial/doc/c2001495.html
ご丁寧なことに開発・発売元は世界最大の製薬企業だってんですから.
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便微生物凍結カプセル経口服用で再発性CDI患者の90%の下痢が解消 BioTodayニュースレター 2014年10月13日

ボストンのマサチューセッツ総合病院の再発性クロストリジウムディフィシル感染症(CDI)患者20人中18人の下痢が健常人の便から作った 便微生物入り凍結カプセル経口服用(便微生物移植)で解消しました(奏効率90%)。14人の下痢は最初の治療で解消し、4人の下痢は再治療 で解消しました。便微生物移植に起因する重篤な有害事象は認められませんでした。

..>関連ニュース
Study Shows Feasibility of Treating Clostridium difficile Infection With Oral Administration of Frozen Encapsulated Fecal Material
http://media.jamanetwork.com/news-item/study-shows-feasibility-of-treating-clostridium-difficile-infection-with-oral-administration-of-frozen-encapsulated-fecal-material/

..>関連文献
Oral, Capsulized, Frozen Fecal Microbiota Transplantation for Relapsing Clostridium difficile Infection. JAMA. Published online
October 11, 2014. doi:10.1001/jama.2014.13875
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1916296


背に腹は
NICEが背,NHSが腹というわけです.prohibitiveという単語は生まれて初めて知りました.
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GileadのHCV薬Sovaldiの費用は負担しきれないと英国NHSは判断 Biotoday 
Health Service Journalが得た情報によると、Gilead社の超高価C型肝炎薬Sovaldiによる患者2万人の治療の負担は年間10億ポンドにも達する”法外な もの(prohibitive)”と英国公的医療NHSのトップは判断しています。NICEは同剤治療を推奨していますが、NHSは使用を禁 止するかもしれないと報じられています。

Sovaldi ‘unaffordable’ says NHS documents
http://www.pharmafile.com/news/195112/sovaldi-unaffordable-says-nhs-documents
Exclusive: NHS England could curb access to NICE approved drug
http://www.hsj.co.uk/news/finance/exclusive-nhs-england-could-curb-access-to-nice-approved-drug/5075468.article


ALS治療細胞製品
BrainStorm社 ALS治療細胞製品がFDAのFast Track指定獲得
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2014年10月7日、神経変性疾患の成体幹細胞治療を開発しているBrainStorm Cell Therapeutics社は、FDAが幹細胞製品NurOwnを筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療Fast Track(優先承認審査)対象製品に認定したと発表しました。NurOwnは向神経因子(Neurotropic Factor)を分泌する自己骨髄由来間葉系幹細胞であり、ALS患者を対象にしたプラセボ対照第2相試験段階にあります。

FDA Grants Fast Track Designation to NurOwn? for the Treatment of ALS
http://www.prnewswire.com/news-releases/fda-grants-fast-track-designation-to-nurown-for-the-treatment-of-als-278349201.html


脳性麻痺10代若者の人生の捉え方-QOL- は他の若者と変わらない
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脳性麻痺の小児において示されたのと同様に、脳性麻痺思春期若者が自己申告した生活の質(QOL)がそうでない思春期若者と変わらないことが 示されました。10項目の評価のうち5つについては脳性麻痺の10代若者が一般を上回り、脳性麻痺の10代若者が劣ったのは1項目-社会的支 援/仲間(Social support and peers)-のみでした。仲間との関係の構築/維持の支援は必要ではあるものの、今回の試験で示された脳性麻痺を有する若者とそうでない若者のQOLの 類似性に基づく個人や社会の振る舞いが必要と著者は言っています。

Teens with Cerebral Palsy Have Healthy Quality-of-Life
http://www.jwatch.org/fw109386/2014/10/07/teens-with-cerebral-palsy-have-healthy-quality-life

Quality of life in adolescents with cerebral palsy. The Lancet, Early Online Publication, 7 October 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61599-3/fulltext
Self-reported quality of life of adolescents with cerebral palsy: a cross-sectional and longitudinal analysis. The Lancet, Early Online Publication, 7 October 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61229-0/fulltext


合理的な訴訟
EBMが何の略号だかもわからないような連中に告発するより、こういう訴訟の方がずっと理にかなっている。

医師への賄賂支払いの米国政府訴訟にNovartis社が直面する BioTodayニュースレター 2014年10月2日
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Reutersによると、自社製品処方を引き出すために医師に数百万ドルを支払ったとの米国政府訴訟にNovartis社が直面します。その ような支払いに紐づいた薬剤の請求がメディケイドやメディケアに数百万ドルもの負担を強いたと米国政府は主張しています。

Novartis ordered to face U.S. lawsuit over doctor kickbacks
http://www.reuters.com/article/2014/09/30/novartis-kickbacks-idUSL2N0RV1GK20140930


勤務医の薬物検査を義務付ける法案
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病院に勤務医の薬物検査を義務付ける法案への異議が発表された BioTodayニュースレター 2014年10月1日
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勤務医の薬物やアルコール使用の検査を病院に義務付ける決まりを含むカリフォルニア州法案(Proposition 46)に強く反対する見解2報がAnnals of Internal Medicine誌に掲載されています。偽陽性の恐れ、検査結果が陽性だったらすぐにやめさせられかねない、欠陥医師の逃げ道として悪用されかねないと いった懸念が表明されています。法案の投票日は11月4日です。

California's Prop. 46 Could Lead to Mandatory Drug Testing of Physicians
http://www.jwatch.org/fw109353/2014/09/30/californias-prop-46-could-lead-mandatory-drug-testing

California's Proposition 46 and Mandatory Physician Drug Testing: A Cause for Concern. Ann Intern Med. Published online 30 September 2014 doi:10.7326/M14-1866
http://annals.org/article.aspx?articleid=1910339
California's Proposition 46: A Wolf in Sheep's Wool. Ann Intern Med. Published online 30 September 2014 doi:10.7326/M14-2167
http://annals.org/article.aspx?articleid=1910340


スタチ ンは体重を増やし糖尿病のリスクを高める
ACC/AHAによるスタチン販促ガイドラインは、バルサルタンのようなどうでもいい問題より、はるかにスキャンダラスな話ですが、 ごく一部の人が噛みつくだけで、大騒ぎにはなりませんでした。
いまこそ “スタチン”ペテンの追放を! 
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/11/ahaacccalculator-gate.html


しかし、下記のような研究が論文として日の目を見るようになったのは、「もう、スタチンもみんなゾロ品になっちゃってうまみのある商品じゃな くなったから、データが出ても構わないんじゃないか」という「グローバルな」動きなんでしょうか。まだまだ多くの人は「なかったこと」にした いでしょうが。

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米国のスタチン服用者のカロリー及び脂質摂取量が過去 10 年間で増加

http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20140507.pdf
Different Time Trends of Caloric and Fat Intake Between Statin Users and Nonusers Among US AdultsGluttony in the Time of Statins?
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1861769
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でも,「HMGCoA阻害が寄与」=スタチンの「本来の薬理作用」ってことですから,「なかったこと」にはできませんね.20の無作為化試 験のメタ解析だそうですから,ピオグリタゾンによる膀胱癌云々のような,市販後調査に基づく与太話より,よほど確かとなると,太平洋の向こう 側では訴訟が乱発される??
スタチンとDPP-4阻害剤の配合剤って,マッチポンプだったんですね.高率に浮腫を生じるピオグリタゾンと心不全治療薬であるカンデサルタ ンの配合剤がそうだったように.
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スタチンと糖尿病リスク上昇の関連にはHMGCoA阻害が寄与している Biotoday 2014-09-26
 - 20の無作為化試験のメタ解析の結果、HMGCoA還元酵素(HMGCR)を阻害してLDLコレステロール(LDL-C)を下げるスタチンと2型糖尿病リ スク上昇の関連がこれまでの試験と同様に認められ、続く全ゲノム関連研究(GWAS)の結果、スタチンに期待されるLDL-C抑制効果に必要 なHMGCR 阻害がその関連に少なくとも部分的に寄与していると示唆されました。

今回の結果によると、より特異的なスタチンを作って非特異的な効果を減らしてもその糖尿病リスクは下がらないようです。また、LDLコレステ ロール低下と 2型糖尿病リスク上昇と関連するHMGCR活性抑制遺伝子変化がBMI上昇と関連することも示され、その関連に一致して、スタチンによる体重増加作用も確 認されました。

Statins and type 2 diabetes: genetic studies on target. The Lancet, Early Online Publication, 24 September 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61639-1/fulltext
HMG-coenzyme A reductase inhibition, type 2 diabetes, and bodyweight: evidence from genetic analysis and randomised trials. The Lancet, Early Online Publication, 24 September 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61183-1/fulltext
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「井 戸に毒を入れた」現代版

将来、類似の事故が起こった時、当局・メディア・市民にとって、他山の石になるのでは?と思って。

GSKがポリオウイルス液をベルギーの川に誤って流してしまった BioTodayニュースレター 2014年9月23日
BiospaceによるとGlaxoSmithKline(GSK)社がポリオウイルス液をベルギーの川に誤って流してしまったとのことで す。飲用水供給網への汚染水の侵入はなく、公衆衛生に害が及ぶことはないと判断されています。

GlaxoSmithKline (GSK) Deals With Fallout From Polio Virus Spill
http://www.biospace.com/News/glaxosmithkline-deals-with-fallout-from-polio/347234


高齢女性の乳がん検診
男性の前立腺癌と同様、高齢になるほど、生命予後に影響しにくい初期乳がんの検出率が高くなり、結果的に過剰診断の弊害が増えるようです。
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より高齢の女性全員の乳癌健診は効果に乏しく過剰診断を招きうる Biotoday 2014-09-16
オランダでの69歳から75歳への乳癌検診年齢上限の引き上げで進行乳癌の診断が僅かに減り、初期乳癌の診断が大幅に増えました。著者は次の ように言っています。
・より高齢の女性の乳癌検診プログラムの効果は限られており、過剰診断をもたらしうる。
・70歳を超える女性の大がかりな乳癌検診常用は避けるべきであり、個々の女性ごとに検診の恩恵と害を見積もるべき。

Screening All Women Up to Age 75 for Breast Cancer May Lead to Overdiagnosis
http://www.jwatch.org/fw109287/2014/09/15/screening-all-women-age-75-breast-cancer-may-lead

Effect of implementation of the mass breast cancer screening programme in older women in the Netherlands: population based study. BMJ 2014;349:g5410
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g5410


アドヒアランスを左右する因子
安い薬なら無理なく続けられるという、至極当たり前の結果を示せば、Ann Intern Medに論文が載るという見本です。ちなみに、年収を含めた交絡因子で補正したマッチング集団同士の二次解析(こちらを主解析にすべきだったと個人的には 思うのですが、それはさておき)では、主要評価指標のハザード比が0.97 (0.87-1.07)という非常に「きれいな」結果になっており、先発品と後発品の有効性に差は無いという非常に頑健なエビデンスが示されています。
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スタチン後発品の服薬率や臨床転帰がブランド品に勝利
Biotoday 2014-09-16

大規模コホート試験の結果、スタチン後発品処方患者はブランド品処方患者より服薬率が高く、臨床転帰(急性冠症候群/脳卒中による入院や死 亡)発現率が低いことが示されました。 処方の患者負担額の平均はジェネリック群では10ドル、ブランド品群では48ドルでした。患者の振る舞いを左右したのはジェネリックとブランド品の違いと いうよりは費用負担の差だろうとエディトリアリストは示唆しています。

Cheaper Generic Statins Beat Brand-Name Statins in Adherence and Outcomes / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw109297/2014/09/16/cheaper-generic-statins-beat-brand-name-statins-adherence

Generic Statins: Effectiveness, Affordability, and Patient Adherence. Ann Intern Med. 2014;161(6):447-448. doi:10.7326/M14-1778
http://annals.org/article.aspx?articleid=1905135

Comparative Effectiveness of Generic and Brand-Name Statins on Patient Outcomes: A Cohort Study. Ann Intern Med. 2014;161(6):400-407. doi:10.7326/M13-2942
http://annals.org/article.aspx?articleid=1905128
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最後にオチを
Primary Funding Source: Teva Pharmaceuticals.


関係性の証明

○○と××が一緒にいるところを写真に撮れば,それで恋愛関係の証拠と断定するような真似は,写真週刊誌の専売特許ではないということ.
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幸福と遺伝子発現の関連を示した注目研究の誤りが指摘された Biotoday2014-08-28 -
幸福の種類と免疫反応関連遺伝子の発現レベルが関連すると主張して注目を集めた2013年PNAS誌掲載研究の解析方法は間違っており、導き 出された結果は無意味な人為的産物との報告が発表されました。

同様の統計解析に基づく他のゲノム研究の再評価の必要性を今回の結果は示唆しており、今回の検討で使われた方法の応用がそのような再評価に役 立つだろうと著者は言っています。

2013 study on happiness and gene expression flawed, new research shows / medicalxpress
http://medicalxpress.com/news/2014-08-happiness-gene-flawed.html

A critical reanalysis of the relationship between genomics and well-being. PNAS August 25, 2014
http://www.pnas.org/content/early/2014/08/21/1407057111


Cherry picking

状態のいい患者だけを選んで組み入れるってのは、お化粧の基本でござんす。 -----------------------------------------------------------------------
心筋梗塞患者の臨床試験結果は実情に即したものとは言い難い Biotoday 2014-8-28
米国データベースの解析によると、心筋梗塞(MI)患者の臨床試験結果は実情に即したものとは言い難いようです。
米国全域のMI患者データベースを調べたところ、臨床試験参加基準を満たす患者の試験参加率は低く(2.8%)、年々低下しており、MI患者 の実情に比べてリスク因子や予後がより良好な患者が試験に参加していました。結果をより広く使用できるようにするために試験への参加を促す対 策が必要と著者は言っています。

Study Questions Generalizability of Findings of Cardiovascular Trials for Heart Attack Patients
http://media.jamanetwork.com/news-item/study-questions-generalizability-of-findings-of-cardiovascular-trials-for-heart-attack-patients/

Clinical Trial Participation After Myocardial Infarction in a National Cardiovascular Data Registry. JAMA. 2014;312(8):841-843. doi:10.1001/jama.2014.6217.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1899189
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検査依存症を研究する
検査依存症は地球上のどこにでもある普遍的な病気だ.ただ,その病識と病態へ興味を持って研究しようという態度には随分と地域差があるように思え る.

乳児細気管支炎管理がパルスオキシメトリに依存しすぎているBiotoday 2014-08-20 -
重度の細気管支炎への進展を予想するパルスオキシメトリ閾値は不明なのに、小児救急科の軽〜中等度の細気管支炎乳児を入院させるかどうかの判 断がパルスオキシメトリに依存しすぎていることを示す無作為化試験結果が発表されました。 試験の結果、パルスオキシメトリの計測値を実際よりも3パーセンテージポイント高くした場合には真のパルスオキシメトリ計測値の場合に比べて入院率が低い ことが示されました(25% vs 41%)。
Findings Suggest Over-Reliance on Pulse Oximetry for Determining Whether Children With Respiratory Infection Should Be Hospitalized / JAMA
http://media.jamanetwork.com/news-item/findings-suggest-over-reliance-on-pulse-oximetry-for-determining-whether-children-with-respiratory-infection-should-be-hospitalized/

Overreliance on Pulse Oximetry in Managing Infant Bronchiolitis? / Physcian'sFirstWatch
http://www.jwatch.org/fw109197/2014/08/20/overreliance-pulse-oximetry-managing-infant-bronchiolitis

参考文献
Effect of Oximetry on Hospitalization in Bronchiolitis: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2014;312(7):712-718. doi:10.1001/jama.2014.8637.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1896981


警告を載せた添付文書は増えている
問題は増えていることの背景・意味なのだが・・・・ それはこの種の横断研究ではもちろんわからない.
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最も重い警告を有する新薬は多い Biotoday 2014-8-20
1996〜2012年に米国で承認された522の新薬を調べたところ、生命を脅かしうる最も重篤な有害事象に関する警告・黒枠警告 (Boxed Warning)をおよそ1/3が有し、Vioxxが販売中止された2004年以降に黒枠警告はより増えていました。医師は黒枠警告の発生状況や数の増加 傾向を認識し、新たな安全性懸念を認めたら引き続き報告を怠らないことが重要と著者は言っています。

Boxed Warnings Common Among Newly Approved Drugs
http://www.jwatch.org/fw109188/2014/08/18/boxed-warnings-common-among-newly-approved-drugs

Trends in Boxed Warnings and Withdrawals for Novel Therapeutic Drugs, 1996 Through 2012. JAMA Intern Med. Published online August 15, 2014.
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1897290
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研究でもパートナー選びは難しい
本来、この手の研究は、アメリカンフットボールとかボクシングとかで、とっくの昔にどんどん進んでいてよかったはずなのだが、業界の利益相反問題 のために、協力が得られなかったのだろう。それに比べて国防総省にとっては深刻な問題だから、いい共同研究相手が見つかったということなのだろ う。なお、脳震盪の重症度を示す血液マーカーとして、タウ、S-100B、neuron-specific enolase (NSE)などが候補として挙がっているが、どれもあ まりはかばかしい結果は示せていない

Abbott 脳震盪の携帯型血液検査を米国防総省と共同開発する Biotoday 2014年8月18日
Abbott社は、軍人の有意な健康懸念である脳震盪(軽度外傷性脳損傷)の携帯型血液検査を米国防総省と協力して開発すると発表しました。
他の即時検査(point-of-care testing)に使われているAbbott社携帯機器Abbott's i■STAT Systemで実行しうる検査が共同開発されます。

Abbott Joins Forces with U.S. Department of Defense to Develop Portable
Blood Tests for Evaluating Concussions
http://www.multivu.com/players/English/7293951-abbott-u-s-department-of-defense-develop-portable-blood-tests-concussions/
高齢者への非定型抗精神病薬の投 与は急性腎障害のリスクにもなる
Researchers performed a population-based cohort study in Ontario, Canada, from 2003 to 2012 to examine the risk for AKI and other adverse outcomes associated with atypical antipsychotic use versus nonuse. Patients 65 years of age or older who got a new outpatient prescription for an oral atypical antipsychotic drug were matched with patients who didn't get an atypical antipsychotic prescription. The study's primary outcome measure was hospitalization with AKI within 90 days of receiving an atypical antipsychotic prescription.
Atypical Antipsychotic Drugs and the Risk for Acute Kidney Injury and Other Adverse Outcomes in Older Adults: A Population-Based Cohort Study. Ann Intern Med. 2014;161(4):242-248. doi:10.7326/M13-2796

手洗いやマスクも同じこと
用法・用量の設定試験の難しさをよく表しています.「風邪の予防」に有効だと称する手洗いやマスクも同じことです.
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歯の磨き方の推奨は一貫性がない〜効果の裏付けが必要 Biotoday 2014-08-12
歯科団体や歯磨き粉メーカーがそれぞれ推奨している歯の磨き方は許容しがたいほど一貫性がないことが示されました。

What's the best way to brush teeth? Even dentists and dental associations don't agree / Eurekalert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/ucl-wtb080714.php
An analysis of methods of toothbrushing recommended by dental associations, toothpaste and toothbrush companies and in dental texts. British Dental Journal 217, E5 (2014)


首の矯正術は頸動脈解離リスクを高める Biotoday 2014-08-08
カイロプラクター等が施す首の矯正術(cervical manipulative therapy)は頸動脈解離(Cervical Arterial Dissection)リスクを高め、ひいては脳卒中をひきおこしうるとの見解を米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)が発表しました。 首の矯正術が頸動脈解離を引き起こすと結論できるほどの裏付けはないものの、首の矯正術と脳卒中の関連が示されています。頸椎矯正を受ける患 者には頸動脈解離と首の矯正の関連を知らねばならないと著者は言っています。

Neck Manipulation Linked to Cervical Dissection / Physcian'sFirstWatch
http://www.jwatch.org/fw109151/2014/08/08/neck-manipulation-linked-cervical-dissection

Cervical Arterial Dissections and Association With Cervical Manipulative Therapy: A Statement for Healthcare Professionals From the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. published online August 7, 2014;
http://stroke.ahajournals.org/content/early/2014/08/07/STR.0000000000000016.abstract


またもや過ぎたるは及ばざるがごと し
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免疫調節成分豊富な経腸栄養は無益〜むしろ有害/無作為化試験  Biotoday 2014/8/7

集中治療室(ICU)の人工呼吸患者が参加した無作為化試験の結果、グルタチオンやω‐3脂肪酸等の免疫調整成分が豊富な高タンパク質経腸 栄養をしても標準的な高タンパク質経腸栄養を上回る感染予防効果やその他の有益効果は認められませんでした。免疫調整成分が豊富な高タンパク 質経腸栄養は内科患者の死亡率上昇と関連し、一部の患者にはむしろ有害かもしれません。

Enriching Feeding Tube Nutrition With Immune-Modulating Nutrients Does Not Reduce Risk of Infection Among ICU Patients
http://media.jamanetwork.com/news-item/enriching-feeding-tube-nutrition-with-immune-modulating-nutrients-does-not-reduce-risk-of-infection-among-icu-patients/

High-Protein Enteral Nutrition Enriched With Immune-Modulating Nutrients vs Standard High-Protein Enteral Nutrition and Nosocomial Infections in the ICU: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2014;312(5):514-524. doi:10.1001/jama.2014.7698.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1892247


CJDの簡易診断
鼻腔上皮や尿検体でクロイツフェルトヤコブ病を診断しうる Biotoday 2014/8/7

折り畳み異常のプリオン蛋白質を増幅する技術を使うことにより、現状では脳組織解析を必要とするクロイツフェルトヤコブ病(CJD)や変異 型CJDを鼻腔上皮や尿検体を使って正確に診断しうることが示されました。鼻腔上皮ブラッシング検体での孤発性CJDや遺伝性CJDの検出感 度は97%、特異度は100%でした。尿検体での変異型CJDの検出感度は93%、特異度は100%でした。

New Methods May Make CJD Testing Easier
http://www.medpagetoday.com/Neurology/GeneralNeurology/47092

A Test for Creutzfeldt■Jakob Disease Using Nasal Brushings. N Engl J Med 2014; 371:519-529August 7, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1315200
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1315200
Prions in the Urine of Patients with Variant Creutzfeldt■Jakob Disease. N Engl J Med 2014; 371:530-539August 7, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1404401
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1404401


電話トリアージのアウトカム評価
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即日診察要求患者への電話サポート/助言の負担軽減効果示せず Biotoday 2014-08-04
クラスター無作為化試験(ESTEEM試験)の結果、即日の対面診察を求めて電話をしてきた患者に折り返し電話してサポート/アドバイスを提 供するトリアージ(Telephone triage)をしても通常の対面診察に比べて全般的な診療負担や費用は減りませんでした。 電話トリアージはむしろ患者とのやり取り(patient contact)を増やすという結果が得られています。

Primary care telephone triage does not save money or reduce practice workload / Eurekalert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/uoe-pct073014.php

Telephone triage for management of same-day consultation requests in general practice (the ESTEEM trial): a cluster-randomised controlled trial and cost-consequence analysis. The Lancet, Early Online Publication, 4 August
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61058-8/fulltext


小児虫垂炎診断時のCT利用を減らす
簡単なアルゴリズムで小児虫垂炎診断時のCT利用を減らしうる Biotoday 2014-08-02
虫垂炎が疑われる小児の診断支援アルゴリズムを使うことで診断精度を下げることなくCT利用を減らしうることが示されました。 このアルゴリズム使用によって診断精度に影響が及ぶことなくCT使用が半分以下に減りました。

Algorithm reduces use of CT scans when diagnosing children with appendicitis / Eurekalert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-07/mc-aru073114.php

A simple algorithm reduces computed tomography use in the diagnosis of appendicitis in children. Surgery Volume 156, Issue 2, August 2014, Pages 448-454
http://www.surgjournal.com/article/S0039-6060(14)00140-8/abstract


パーキンソン病のワクチン開発中
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AFFiRiS社 パーキンソン病ワクチンの有望なPh1試験結果発表 BioTodayニュースレター 2014年8月1日
2014年7月31日、AFFiRiS社は、パーキンソン病治療抗αシヌクレインワクチンAFF008の第1相試験で開発続行を後押しする結 果が得られたと発表しました。安全性や良好な忍容性が示され、50%の患者にαシヌクレイン特異的抗体をもたらしました。また、身体機能の安 定化傾向も認められました。

First Clinical Data of Therapeutic Parkinson's Disease Vaccine Encourages Continued Development
http://www.prnewswire.com/news-releases/first-clinical-data-of-therapeutic-parkinsons-disease-vaccine-encourages-continued-development-269390241.html


出血リスクを予想するアルゴリズム

消化管や頭蓋内の出血リスクを予想するアルゴリズムができた BioTodayニュースレター 2014年7月30日

抗凝固薬使用患者や患者一般の消化管出血や頭蓋内出血のリスクを予想するアルゴリズムQBleedが開発され、その信頼性が確かめられまし た。このアルゴリズムを使った場合の臨床転帰や費用対効果を調べる必要があると著者は言っています。

Predicting risk of upper gastrointestinal bleed and intracranial bleed with anticoagulants: cohort study to derive and validate the QBleed scores. BMJ 2014;349:g4606
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g4606


アルブミン輸注は敗血症に無効
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アルブミンでは敗血症患者の死亡は防げない/メタ解析 BioTodayニュースレター 2014年7月24日
無作為化試験のレビューの結果、敗血症で重症の成人の体液補充(fluid volume expansion)や蘇生でのアルブミン液使用の死亡抑制効果は認められませんでした。有害性の兆候は認められず、敗血症で重症の成人のアルブミン使用 は安全なようだが、今回の解析によるとその使用は勧められないと著者は言っています。
Randomised trials of human albumin for adults with sepsis: systematic review and meta-analysis with trial sequential analysis of all-cause mortality. BMJ 2014;349:g4561
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g4561


HDL上昇薬の有効性はたかが知れている
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HDL上昇薬でスタチン治療患者心血管転帰は改善せず/メタ解析 Biotoday 2014-7-23
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無作為化試験のメタ解析の結果、HDLコレステロールレベルを上げる効果が高い3つの薬剤・ナイアシン、フィブレート(fibrate)、 CETP阻害剤はいずれもスタチン治療患者の全死亡、冠動脈心疾患死、心筋梗塞、脳卒中の発現を抑制しませんでした。スタチン非使用患者にお いてはフィブレートは心筋梗塞、ナイアシンは脳卒中と心筋梗塞の発現を抑制しました。

スタチン服用不可能な患者においてはフィブレートやナイアシンの出番がまだあるようだし、HDLレベルが低くてトリグリセリドレベルが高いス タチン治療抵抗性患者のフィブレート治療の有益効果の有無を調べる試験が必要とエディトリアリストは言っています。

Effect on cardiovascular risk of high density lipoprotein targeted drug treatments niacin, fibrates, and CETP inhibitors: meta-analysis of randomised controlled trials including 117 411 patients. BMJ 2014;349:g4379
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g4379
Not so “good” cholesterol. BMJ 2014;349:g4664
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g4664


多々益々弁ずるわけではない
だからさ、栄養になるからよかろうってんで何でも入れればいいってもんじゃないのよ。ましてや配合剤をや。
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スタチン使用血管疾患患者へのナイアシン追加は無効で有害 BioTodayニュースレター 2014年7月18日
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血管疾患(心筋梗塞、脳血管疾患、末梢動脈疾患、症候性の冠疾患を伴う糖尿病)の経験がある高リスク患者が参加した試験の結果、スタチン治療 へのナイアシン治療追加は重大血管イベントリスク低下とは関連せず、重大有害事象リスク上昇と関連しました。ナイアシン治療は糖尿病治療の重 大な障害、糖尿病診断、消化器・筋骨格・皮膚・感染症・出血と関連する重篤有害事象の発現増加と関連しました。

Again, Niacin Proves Ineffective in Statin-Treated Patients with Vascular Disease
http://www.jwatch.org/na35071/2014/07/16/again-niacin-proves-ineffective-statin-treated-patients

Effects of Extended-Release Niacin with Laropiprant in High-Risk Patients. N Engl J Med 2014; 371:203-212July 17, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1300955
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1300955


作為vs無作為
そりゃそうだ。だって、たとえ試験は「無作為」でも、どんなサブグループ解析をするかは、作為そのものですからね。 ----------------------------------------------------------------------
無作為化試験サブグループ解析の計画と報告に大きな矛盾あり Biotoday 2014/7/17
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サブグループ解析が予め計画されたものであると記されている無作為化試験結果、論文に対応するプロトコールのおよそ1/3(34.6%)はサ ブグループ解析計画の説明がありませんでした。また、サブグループ効果を報告している86の論文に対応するプロトコールのうちサブグループ解 析規定があったのは36(41.9%)だけでした。プロトコールや試験登記簿にはサブグループ解析をするかどうかと、もしするならその解析方 法を明記すべきと著者は言っています。
Subgroup analyses in randomised controlled trials: cohort study on trial protocols and journal publications. BMJ 2014;349:g4539
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g4539


低侵襲手術の使用率は病院毎に大き く異なる/米国データ Biotoday 2014-7/9
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米国全域の入院患者データをレトロスペクティブ解析したところ、低侵襲手術は感染症が生じ難くて回復が早いにも関わらずその使用率は病院毎に大き く異なっていました。この試験では虫垂切除・部分結腸切除・腹式子宮摘出・肺葉切除の4つの治療の低侵襲手術の割合が評価されました。虫垂切除は 低侵襲手術の割合が最も高かったものの(71%)ばらつきは大きく、最も低い病院群では41%、最も高い病院群では93%でした。子宮摘出の低侵 襲手術の割合は平均13%で、その幅は0%から34%でした。低侵襲手術の使用率のばらつきは、その技術の訓練を受けてない指導者が後身のレジデ ントを教育していることが原因の一つかもしれないと著者は言っています。


Use of Minimally Invasive Surgery Varies Widely
http://www.jwatch.org/fw109035/2014/07/09/use-minimally-invasive-surgery-varies-widely

Hospital level under-utilization of minimally invasive surgery in the United States: retrospective review. BMJ 2014;349:g4198
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g4198


ハチ刺傷によるアナフィラキシーは予見不能
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ハチ刺されで全身反応を呈する人を皮膚検査では識別できない Biotoday  2014-07-07 - ハチに刺されて重度の全身反応(全身の蕁麻疹、血管浮腫、アナフィラキシー症状)を呈する人を皮膚検査で予想することはできないことを示した試験結果が発 表されました。 ハチ刺されに伴うハチ毒へのIgE抗体レベル上昇は全身反応への転換を示唆するものではないことも示されています。皮膚検査は以前に全身反応を呈した患者 に限って実施し、陽性ならハチ毒免疫療法を提供すべきとの現行ガイドラインを今回の試験結果は支持しています。

Don't Perform Hymenoptera Skin Tests on Patients Without Previous Systemic Reactions / NEJM JournalWatch
http://www.jwatch.org/na35041/2014/07/03/dont-perform-hymenoptera-skin-tests-patients-without

Diagnosis of Hymenoptera venom allergy. Allergy. Volume 60, Issue 11, pages 1339-1349, November 2005
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1398-9995.2005.00963.x/abstract

Sensitization to Hymenoptera venoms is common, but systemic sting reactions are rare. Journal of Allergy and Clinical Immunology Volume 133, Issue 6, Pages 1635-1643.e1, June 2014
http://www.jacionline.org/article/S0091-6749(13)01707-7/abstract


高かろう悪かろう

またまた値段が高い方が効きが悪いというお話。ちなみに、この試験のスポンサーには、ビバリルジンの会社である、The Medicines CompanyとAstraZenecaも名を連ねている。
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ヘパリンのPCI患者重大虚血イベント抑制はビバリルジンに勝る Biotoday 2014/7/7

一次経皮冠動脈インターベンション(PCI)実施を想定した緊急血管造影成人1829人が参加した単一施設での非盲検無作為化試験 (HEAT-PPCI試験)の結果、ヘパリンの重大虚血イベント(死亡、脳血管イベント、再梗塞、予定外の標的病変血行再建)抑制効果はヘパ リンより約400倍も高価で高所得国でよく使われているBivalirudin(ビバリルジン) を上回りました。ヘパリンは重大出血を増やすことなく28日間の重大虚血イベントをより減らしました。

The Lancet: New trial suggests cheaper drugs for common heart attack procedure could improve outcomes and save health budgets millions
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-07/tl-tln070314.php

HEAT-PPCI sheds light on consent in pragmatic trials. The Lancet, Early Online Publication, 5 July 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61040-0/fulltext
Unfractionated heparin versus bivalirudin in primary percutaneous coronary intervention (HEAT-PPCI): an open-label, single centre, randomised controlled trial. The Lancet, Early Online Publication, 5 July 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)60924-7/fulltext


査読者の仕事を査読する
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査読者は無作為化試験報告の重大欠陥をよく見落とす

2014-07-02 - 2012年にBioMed
Centralピアレビュー(査読)ジャーナル群に出版された93の無作為化試験を調べたたところ、査読者は方法や結果の報告の重大な欠陥を しばしば見落とし、方法や結果の報告の修正を求めることは比較的少ないことが示されました。大部分の修正依頼は良い効果をもたらしましたが、 悪い影響をもたらす修正依頼もありました。

Impact of peer review on reports of randomised trials published in open peer review journals: retrospective before and after study. BMJ 2014;349:g4145
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小児脳震盪ガイドライン
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小児脳震盪の初の包括的診断/治療ガイドラインが発行された Biotoday 2014-06-26 -

治療前の検診、急性症状管理、退院、経過観察、1か月後の追跡調査というタイムラインに沿った推奨がなされており、それぞれの時点での便利な 段階的対処法が記されています。

First Comprehensive Pediatric Concussion Guidelines Released /
Physcian'sFirstWatch
http://www.jwatch.org/fw108992/2014/06/26/first-comprehensive-pediatric-concussion-guidelines

Ontario Neurotrauma Foundation. Guidelines for Diagnosing and Managing
Pediatric Concussion - First edition, June 2014
http://onf.org/system/attachments/256/original/GUIDELINES_for_Diagnosing_and_Managing_Pediatric_Concussion_-_MASTER__June_19_FINAL.pdf


薬は減って有害事象が増えた

規制当局はいつも通り行動しているのだから,有害事象が増えた責任はメディア以外にない.
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FDAの抗うつ薬自殺リスク警告に伴って若者の自殺企図が増えた
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米国での試験の結果、若者の抗うつ薬使用と自殺リスク上昇が関連しうるとのFDA警告が2003年発せられてそれが幅広く報じられたことに伴 い、抗うつ薬使用が全年齢群で減るのと並行して思春期若者や若い成人における自殺の試み(自殺企図)が増えました。FDA警告やその報道の意 図せぬ影響を監視して排する必要があると著者は言っています。

Antidepressant Use Down, Suicide Attempts Up After FDA Warnings
http://www.jwatch.org/fw108964/2014/06/20/antidepressant-use-down-suicide-attempts-after-fda

Changes in antidepressant use by young people and suicidal behavior after FDA warnings and media coverage: quasi-experimental study. BMJ 2014;348:g3596
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g3596


貧乏人の味方
神経内科医の間では、「ドパミンアゴニストで始めた方が副作用が少ない」という、まことしやかな「デマ」(きっぱり!)が長年にわたって流布 していたのは、そんな製薬企業の口車に対して、はっきりと反証できるエビデンスがなかったからです(ただし下記注*)。これは、「より高価な 同種同 効薬が、その値段に見合ったリスク・ベネフィットバランスがあるかどうかを検証しない」という、「不作為による利益相反」がまかり通っていた からですが、ようやく、そのデマを否定する研究が出ました。
高価なドパミンアゴニストよりも安いレボドパから始めなさいってことです!たとえば、同じ最高維持用量で比較すると、イーシードパール
600mg/day = 196円ですが、レキップCR 16mg/day =1937円と10倍なのです。値段が1/10の方が優れているのです!
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レボドパでパーキンソン病治療を始める優越性が示された BioTodayニュースレター 2014年6月12日

新たにパーキンソン病と診断された患者が参加した無作為化試験の結果、患者による移動能評価はレボドパで治療を開始した群の方がレボドパ以外 のMAOB阻害剤やドパミンアゴニストで治療を開始した群より優れていました。MAOB阻害剤とドパミンアゴニストの比較ではMAOB阻害剤 の方が優れており、パーキンソン病の非レボドパ初期治療としてのMAOB阻害剤 の効果はドパミンアドニスと少なくとも同等と著者は言っています。

Reliable L-Dopa Tops for Early Parkinson's
http://www.medpagetoday.com/Neurology/ParkinsonsDisease/46260

Long-term effectiveness of dopamine agonists and monoamine oxidase B inhibitors compared with levodopa as initial treatment for Parkinson's disease (PD MED): a large, open-label, pragmatic randomised trial. The Lancet, Early Online Publication, 11 June 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)60683-8/fulltext
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*でも、ちょっと考えてみれば、このPDMED試験のように、承認された薬同士の優劣を市販後にランダム化試験で決めるなど、極めて実行可能 性の低い試験です。ですから、PDMED試験の結果が出る前でも、”「ドパミンアゴニストで始めた方が副作用が少ない」というエビデンスなど 地球上にはない”と断言して、ドパミンアゴニスト販売代理店契約を断るのは、実は簡単なことだったのです。


検診しても虚血性心疾患は減らない
これはデンマークでの結果であって,日本人には当てはまらないと言う人がいたら,それは,虚血性心疾患のイベント発生率が,デンマーク人と日 本人で,どちらがどのくらい高いかを,自分は知りもしなければ推測もできないと告白していることになる.
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検診して生活習慣改善を助言しても虚血性心疾患は減らない Biotoday 2014/6/11

デンマークでの無作為化試験の結果、虚血性心疾患(IHD)のリスク因子を検診(スクリーニング)して不健康な生活習慣の人には生活習慣アド バイスを施す介入のIHD予防効果やその他の心血管イベント抑制効果は認められませんでした。

一般人口の健康状態をチェックして生活習慣カウンセリングを施してもIHDの社会的負担は減らないことを今回の結果は示しており、そのような 介入は国の健康政策に含めるべきでないと著者は結論しています。

Routine Screening for Ischemic Heart Disease Risk Factors Doesn't Improve Clinical Outcomes
http://www.jwatch.org/fw108928/2014/06/11/routine-screening-ischemic-heart-disease-risk-factors

Effect of screening and lifestyle counselling on incidence of ischaemic heart disease in general population: Inter99 randomised trial. BMJ 2014;348:g3617
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g3617


これは使える!
原理は簡単で応用範囲(適用可能な薬剤)も範囲が広い.どこぞの「期待の新薬」なんかより,臨床開発の期間もはるかに短くて済む.
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発光分子と一般的デジカメで薬の血中濃度を測る方法ができた Biotoday 2014/6/10

薬の濃度に応じて色を変える発光分子と簡単なデジタルカメラを使い、薬物の血中濃度を患者のベッド脇や家などで素早く容易に測定しうる方法が 開発されました。6つの薬剤でその性能を確認した成果がNature Chemical Biology誌に報告されています。

New molecule enables quick drug monitoring
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-06/epfd-nme060414.php

Bioluminescent sensor proteins for point-of-care therapeutic drug monitoring. Nature Chemical Biology (2014) doi:10.1038/nchembio.1554
http://www.nature.com/nchembio/journal/vaop/ncurrent/abs/nchembio.1554.html


ラクダから人へ

ラクダから人へのMERSコロナウイルス感染を裏付ける症例報告
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ラクダから人への中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染を裏付ける症例報告がNEJM誌に掲載されました。ラクダとの密な 接触があってMERS-CoV感染で死亡した男性とそのラクダのMERS-CoVのゲノム配列が一致していました。MERS-CoVはヒトへ の感染が発生する前にラクダに広まっていたようです。

New Evidence Strengthens Case for Camel-to-Human MERS-CoV Transmission
http://www.jwatch.org/fw108906/2014/06/05/new-evidence-strengthens-case-camel-human-mers-cov

Evidence for Camel-to-Human Transmission of MERS Coronavirus. NEJM. June 4, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1401505
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1401505


末期患者のスタチン中止は死を早め ず
いくつかの大切な示唆を与えてくれる。
●どんな薬でも対象患者によって、リスク・ベネフィットバランスは異なる
●一般に臨床試験では、担癌患者を除外する。これは担癌患者では試験薬のリスク・ベネフィットバランスが悪いであろうからという推測が前提となっ ているから
●上記はあくまで推測に過ぎないから、RCTで確認しようという「野心的な」試み。こんな研究は製薬企業では絶対にできない、やらない。
●薬を投与しないことが薬を投与するよりも有益であることを検証仮説とした試験
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末期患者のスタチン中止は死を早めず〜むしろ有益 Biotoday 2014-06-01
進行癌患者等の余命わずかな患者のスタチン治療を止めても死亡率は悪化せず、QOLがむしろ有意に改善することを示した無作為化試験結果が American Society of Clinical Oncology(ASCO)年次総会で発表されました。 一次または二次予防に使ってきたスタチンを止めても害が及ぶことはなさそうで、むしろ有益なようだと研究者は言っています。

ASCO: OK to Stop Statins in Terminal Illness / MedpageToday
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASCO/46070

Managing comorbidities in oncology: A multisite randomized controlled trial of continuing versus discontinuing statins in the setting of life-limiting illness. J Clin Oncol 32:5s, 2014 (suppl; abstr LBA9514)
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エビデンスなんか糞食らえ!
急性気管支炎への抗生剤処方は依然として高率で続いている:米国を代表するデータを調べたところ、急性気管支炎の抗生剤治療は無効なことが明確に 裏付けられ、その処方をゼロにする教育が15年以上も続けられているにも関わらず、1996-2010年に急性気管支炎のおよそ7割(71%)に 抗生剤が処方されていました。また、その処方率は上昇傾向を示しました。

Antibiotics Continue to Be Prescribed at High Rate for Bronchitis, Contrary to Recommended Guidelines
http://media.jamanetwork.com/news-item/antibiotics-continue-to-be-prescribed-at-high-rate-for-bronchitis-contrary-to-recommended-guidelines/
Antibiotic Prescriptions Continue for Bronchitis at High Rate
http://www.jwatch.org/fw108855/2014/05/21/antibiotic-prescriptions-continue-bronchitis-high-rate

Antibiotic Prescribing for Adults With Acute Bronchitis in the United States, 1996-2010. JAMA. 2014;311(19):2020-2022. doi:10.1001/jama.2013.286141.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1872806


ホルモン療法を廃したWHI試験で医療費 352億ドルを節約できた Biotoday 2014-05-09 -

2億6000万ドルを費やして実施され、米国女性におけるホルモン補充治療の大幅減少の引き金となった2002年出版のWomen's Health Initiative (WHI) estrogen plus progestin (E+P) 試験のおかげで352億ドルもの医療支出が節約できたと推定されました。 WHI E+P試験への公的資金投入は莫大な恩恵をもたらしたと著者は言っています。一方NEJM Journal Watchのコメンテーターは、ホルモン補充療法の低下が招いた負の側面について指摘しています。

How Much Have Women - and Society - Benefited from the Women's Health Initiative Findings? / NEJM Journal Watch
http://www.jwatch.org/na34528/2014/05/08/how-much-have-women-and-society-benefited-womens-health

Economic Return From the Women's Health Initiative Estrogen Plus Progestin Clinical Trial: A Modeling Study. Ann Intern Med. 2014;160(9):594-602. doi:10.7326/M13-2348
http://annals.org/article.aspx?articleid=1867051


大量喫煙者CT肺癌検診のメディケ ア負担に諮問委員が反対した BioTodayニュースレター 2014年5月5日

大量喫煙者の毎年の肺癌CT検診の費用をメディケアは負担すべきでないとその諮問委員会が判断しました。偽陽性に起因する精神的負担や本来不要な 手術のリスクを上回る有益作用があると確かに判断することはできないと諮問委員会は言っています。諮問委員会の判断は絶対ではなく、メディケアの 支払い対象に含めるかどうかの最終的な判断は来年早期に判明する見込みです。

Medicare Advisers Vote Against Paying for Lung Screening in High-Risk Patients
http://www.jwatch.org/fw108785/2014/05/02/medicare-advisers-vote-against-paying-lung-screening-high
CMS should not pay for regular CT screenings for heavy smokers, panel says
http://www.modernhealthcare.com/article/20140430/NEWS/304309938

笑いはコルチゾールレベルを下げて記憶を改 善しうる
動物実験ではなく(ネズミは笑わないですからね)ランダム化臨床試験です。
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笑いはコルチゾールレベルを下げて記憶を改善しうる Biotoday2014-04-30 -
 ストレスホルモン・コルチゾールは学習や記憶に悪い影響を及ぼしうることが示されていますが、新たな試験の結果、笑いはコルチゾール レベルを下げて記憶を改善しうることが示されました。 この試験では笑いを誘う面白いビデオを使ってコルチゾールレベルや記憶への笑いの影響が調べられました。

Fight Memory Loss with a Smile (or Chuckle) / Experimental Biology
http://experimentalbiology.org/getattachment/2014/About-EB/Press/Press-Releases/Bains-Laughter-and-Memory.pdf.aspx

電子タバコ使用と関連する傷害のFDA報告 が増えている Biotoday 2014-04-18 -

Reutersによると、電子タバコの普及を背景にして、その使用と関連する傷害のFDA報告が増えています。 2013年3月から2014年3月の間に、呼吸困難、頭痛、咳、めまい、のどの痛み、鼻血、胸痛、アレルギーなどの50を超える電子タバコ関連傷害の報告 がありました。この数はその前の5年間分の報告数に相当するとのことです。

Reports of e-cigarette injury jump amid rising popularity, U.S. data show / Reuters
http://news.yahoo.com/reports-e-cigarette-injury-jump-amid-rising-popularity-051246243--finance.html

E-Cigarette Injuries on the Rise / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108737/2014/04/18/e-cigarette-injuries-rise


英イングランドNHSが重症HCV患者にsofosbuvir治療を提供するBiotoday 2014-04-18 - 

英国イングランドの公的医療制度NHS Englandからの1870万ポンドの助成の下で、死に瀕していたり移植が必要なC型肝炎患者がGilead社の超高価なC型肝炎薬 sofosbuvir(ソホスブビル)治療を受けれることになりました。 急性肝不全や肝臓移植が必要な患者およそ500人にこの助成制度の恩恵が及ぶ見込みです。

NHS England agrees funding for life-saving hepatitis C drug / NHS England
http://www.england.nhs.uk/2014/04/16/hepatitis-c/

ちなみに英国における欧州域外からの医師の割合は:In the UK, in 2012, 37% of the doctors registered with the General Medical Council (GMC) qualified in other countries, with 27% obtaining
their medical degree from outside the European Economic Area (EEA).


欧州域外医師に科すテストの合格点を上げる必要あり/英国 Biotoday 2014-04-18 -
BMJ誌掲載の2つの解析によると、欧州経済地域(EEA)以外で医師免許を得た医師(国際医師)と英国で医師免許を得た医師の英国での仕事 ぶり(performance)の差を縮めるには英国で医師の仕事に就くために国際医師が受ける試験PLABの合格点を上げる必要がありま す。しかし英国公的医療NHSの英国外出身医師への依存度は大きく、合格最低点を上げることは大幅な人員計画の見直しが必要になりそうと著者 は示唆しています。

Experts call for higher exam pass marks to close performance gap
between international and UK medical graduates
http://www.bmj.com/press-releases/2014/04/17/experts-call-higher-exam-pass-marks-close-performance-gap-between-internat

Annual Review of Competence Progression (ARCP) performance of doctors who passed Professional and Linguistic Assessments Board (PLAB) tests
compared with UK medical graduates: national data linkage study. BMJ 2014;348:g2622
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g2622
PLAB and UK graduates’ performance on MRCP(UK) and MRCGP examinations:data linkage study. BMJ 2014;348:g2621
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g2621
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これこそ「降圧を超えた効果」
わずか8年間の間に、食塩摂取量と降圧と死亡率の低下が、きれいに並行して同時期に起こっているところが非常に面白い。食塩摂取量の低下→血 圧低下→動脈硬化の抑制→心血管イベントの減少という従来型の病態の理解では、説明不可能だろう。
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英イングランドの心血管死減少に減塩が大いに貢献したようだ Biotoday 2014-04-16 -
英国イングランドでは2003-2011年に脳卒中や虚血性心疾患(IHD)による死亡率が共に40%ほど低下し、その低下は食塩摂取の減少 によるところが大きいと示唆されました。ランダムに選んだイングランド成人において1日の食塩摂取量が15%低下しており、この食塩摂取減少 が血圧低下を介して脳卒中やIHDによる死亡率低下に大いに貢献したようだと著者は示唆しています。

Lower salt intake likely to have had key role in plummeting
cardiovascular disease deaths in past decade / Eurekalert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-04/bmj-lsi041014.php

Less Salt Likely Key Player in Drop in Stroke Deaths / MedPage Today
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Hypertension/45261

Salt reduction in England from 2003 to 2011: its relationship to blood
pressure, stroke and ischaemic heart disease mortality. BMJ Open
2014;4:e004549 doi:10.1136/bmjopen-2013-004549
http://bmjopen.bmj.com/content/4/4/e004549.full
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老人のベンゾジアゼピン使用中止を促す教育の効果が示 された 2014-04-15 BioToday
2014-04-15 - カナダのモントリオールの30の地域薬局のベンゾジアゼピン長期使用高齢患者およそ300人が参加した無作為化試験の結果、ベンゾジアゼピンの危険性やそ の使用を徐々にやめる方法を教える介入でより多くがその服薬を中止しました。 服薬中止率は介入群では27%、通常治療群では5%でした。

Direct Patient Education Helps Limit Benzodiazepine Use Among Elders / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108721/2014/04/15/direct-patient-education-helps-limit-benzodiazepine-use

Reduction of Inappropriate Benzodiazepine Prescriptions Among Older Adults Through Direct Patient Education: The EMPOWER Cluster Randomized Trial. JAMA Intern Med. Published online April 14, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.949
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1860498


タミフルやリレンザの効果 BioTodayニュースレター 2014年4月11日
一連のBMJ誌掲載論文によると、ノイラミニダーゼ阻害剤Tamiflu(タミフル;oseltamivir、オセルタミビ ル)やRelenza(リレンザ;ザナミビル(zanamivir)はインフルエンザ治療/予防にあまり役立たないようです。研究者等は規制 当局に提出された資料をレビューしました。タミフルは症状の持続をおよそ17時間ほど短縮しますが、入院や肺炎への効果は認められませんでし た。予防的使用では発症抑制効果が示されました。リレンザでも同様の結果が得られています。

Tamiflu, Relenza Data Show Little Clinical Benefit Against Flu
http://www.jwatch.org/fw108707/2014/04/10/tamiflu-relenza-data-show-little-clinical-benefit-against

Oseltamivir for influenza in adults and children: systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments. BMJ 2014;348:g2545
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g2545

Zanamivir for influenza in adults and children: systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments. BMJ 2014;348:g2547
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g2547

The Tamiflu trials. BMJ 2014;348:g2630
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g2630
Neuraminidase inhibitors for influenza. BMJ 2014;348:g2548
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g2548

ARBでなくACE阻害剤で糖尿病患者の死亡リスクが下がるBiotoday 2014-04-02 -
 無作為化試験のメタ解析の結果、糖尿病患者のACE阻害剤使用は死亡、心血管死、重大心血管イベントリスク低下と関連しました。 一方、アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)ではそのような関連は認められませんでした。ACE阻害剤は糖尿病患者の過剰な死亡や病気を 減らす1stライン治療とみなしうると著者は言っています。

ACE Inhibitors Linked to Better CV Outcomes Than ARBs in Patients with Diabetes / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108666/2014/04/01/ace-inhibitors-linked-better-cv-outcomes-arbs-patients
Effect of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers on All-Cause Mortality, Cardiovascular Deaths, and Cardiovascular Events in Patients With Diabetes Mellitus: A Meta-analysis. JAMA Intern Med. Published online March 31, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.348
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1847572


単なる思い込み
”薬なんかより,機械で「除神経」しちゃう治療の方が絶対によく効くはず”って「信仰」には何の根拠もなかったということです.「科学捜査は 科学的に行われている」なんて信仰も同様.
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腎除神経機器の治療抵抗性高血圧治療効果示せず/NEJM誌掲載
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最も重症の高血圧・治療抵抗性高血圧を治癒しうると吹聴されてきた腎臓除神経(Renal denervation: RDN)の降圧作用を証明できなかった米国ピボタル試験(
SYMPLICITY HTN-3試験)結果がNEJM誌に掲載されました。この結果はMedtronic社が今年1月に速報しています。

Renal Denervation for Resistant Hypertension? NEJM. March 29, 2014DOI: 10.1056/NEJMe1402388
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1402388
A Controlled Trial of Renal Denervation for Resistant Hypertension. NEJM. March 29, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1402670
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1402670


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HbA1cの臨床的に有意な心血管疾患リスク予想改善効果示せず BioToday ニュースレター 2014年3月26日
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73のプロスペクティブ試験データを解析したところ、糖尿病や心血管疾患(CVD)ではない人のCVDリスク予想はHbA1c値を含めても殆 ど改善しないことが示され
ました。HbA1cは臨床的に意義のあるCVDリスク評価の改善とは関連しないと著者は言っています。

Glucose Measurements Don't Improve Cardiovascular Risk Assessment
http://www.jwatch.org/fw108645/2014/03/26/glucose-measurements-dont-improve-cardiovascular-risk
Blood Glucose Measure Appears to Provide Little Benefit in Predicting Risk of Cardiovascular Disease
http://media.jamanetwork.com/news-item/blood-glucose-measure-appears-to-provide-little-benefit-in-predicting-risk-of-cardiovascular-disease/

Glycated Hemoglobin Measurement and Prediction of Cardiovascular Disease. JAMA. 2014;311(12):1225-1233. doi:10.1001/jama.2014.1873.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1852370


身近にあると困るもの

身近にテイクアウト料理店が多いと肥満になりやすい
家・職場・通勤で立ち寄りうるピザ・ハンバーガー・揚げ物等のテイクアウト(持ち帰り)料理店(takeaway food outlet)が多い人ほどテイクアウト料理の摂取量が多く、BMI値が高く、肥満になりやすことが示されました。
テイクアウト料理の利用を制限することで食事や体重を改善する政策は有効かもしれず、もしそのような政策をするならテイクアウト料理店がより 多い職場周囲に注力するのが最も効果的だろうと著者は言っています。
Higher exposure to takeaway food outlets could double the odds of being obese
http://www.bmj.com/press-releases/2014/03/13/higher-exposure-takeaway-food-outlets-could-double-odds-being-obese

Associations between exposure to takeaway food outlets, takeaway food consumption, and body weight in Cambridgeshire, UK: population based, cross sectional study
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g1464


PediatricsそしてBMJへ
子供に与える影響(アウトカム)の重大性という点では、自家用車に子供を乗せてパチンコ屋に来る親の行動は、ファーストフード店に来た親の行 動よりもはるかに重要ですから、同じデザイン・サンプル数(たったの55人!)の臨床研究でも、Pediatricsは(2012インパクト ファクターは5.119)にアクセプトするでしょう。さらに、子供車内放置禁止ポスターの有効性を検証するためのクラスターランダム化試験に すれば、BMJに載せられます。
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子連れの外食時の携帯機器への没頭がよくある Biotoday 2014-03-11 -
幼い子(おそらく0-10歳ほど)を連れてファーストフード店に来た客55人を観察したところ、食事中に携帯機器をいじる人は多く(40 人)、その機器に没頭する姿がしばしば見受けられました(16人はほぼ使い続けた)。 彼らが携帯機器に没頭しているときに子はよく悪戯をし、保護者は最初はその振る舞いを無視し、次に叱るという行動をしばしばとりました。

Caregivers Often Absorbed in Mobile Devices During Meals Out with Kids / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108579/2014/03/11/caregivers-often-absorbed-mobile-devices-during-meals-out

Patterns of Mobile Device Use by Caregivers and Children During Meals in Fast Food Restaurants. Pediatrics. doi: 10.1542/peds.2013-3703
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2014/03/05/peds.2013-3703.full.pdf+html


激怒の後は心血管イベントを生じやすい

激怒の後は心血管イベントを生じやすい/メタ解析 Biotoday 2014-03-06
9つの試験をメタ解析したところ、激怒(outburst of anger)後2時間は心臓発作や脳卒中などの心血管イベントを生じやすいことが示されました。心疾患の既往などのリスク因子を有している人は特に危険と 著者は示唆しています。

Angry people 'risking heart attacks' / BBC
http://www.bbc.com/news/health-26416153

Outbursts of anger as a trigger of acute cardiovascular events: a systematic review and meta-analysis. Eur Heart J (2014) doi: 10.1093/eurheartj/ehu033
http://eurheartj.oxfordjournals.org/content/early/2014/03/03/eurheartj.ehu033.abstract


何を「緩和」するのか?
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末期癌患者の緩和化学療法は死にたい場所で死ぬことを妨げる BioTodayニュースレター 2014年3月7日

4か月(中央値)後に死ぬ末期癌患者386人のプロスペクティブコホート試験の結果、化学療法使用は生存には影響を与えず蘇生処置のリスク や集中治療室(ICU)で死ぬリスク上昇と関連しました。また、化学療法患者は死にたい場所で死ねないことが多いという結果も得られて
います。死が近づいている患者に緩和化学療法を続けることがもたらしうるリスクについてもっと自覚が必要と著者は言っています。

Chemotherapy in last months of life associated with increased risk of dying away from home
http://www.bmj.com/press-releases/2014/03/04/chemotherapy-last-months-life-associated-increased-risk-dying-away-home

Associations between palliative chemotherapy and adult cancer patients’ end of life care and place of death: prospective cohort study. BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g1219 (Published 4 March 2014)
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g1219


浜の真砂は尽きるとも
近藤某ネタの種は尽きまじ。これだから彼の本が売れちゃうし、オンブズパーソンもいつまでも元気でいられるのよ。 -----------------------------------------------------------------------
80歳以上の高齢者にスタチンや降圧剤が過剰処方されている Biotoday 2014-03-03
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80歳以上の健康な高齢者の多くに脳卒中予防のためのスタチンや降圧剤が処方されすぎているとの見解がEvidence-Based Medicine誌に発表されています。80歳以上の高齢者の降圧剤治療大規模試験(HYVET試験)では僅かな脳卒中予防効果しか認められていません。 また72-80歳の高齢者のプラバスタチン大規模試験(PROSPER試験)では脳卒中予防効果は認められませんでした。患者に積極的に情報 提供すべきであり、多くの患者は副作用や多剤服用の負担を下げることを好み、僅かな有益作用の可能性にかけることはないだろう著者は言ってい ます。

U.K. Geriatrician: Statins, Antihypertensives "Greatly" Overprescribed for Adults 80 and Older - See more at: http://www.jwatch.org/fw108535/2014/02/27/uk-geriatrician-statins-antihypertensives-greatly#sthash.Ur1u88pS.dpuf

Overenthusiastic stroke risk factor modification in the over-80s: Are we being disingenuous to ourselves, and to our oldest patients?
http://ebm.bmj.com/content/early/2014/01/15/eb-2013-101646
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年齢に基づく結腸直腸癌検診推奨は有害な検診を増やしうる Biotoday 2014-03-03
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米国でのレトロスペクティブ試験の結果、年齢に基づく結腸直腸癌検診の推奨は余命が恐らく短くて結腸直腸癌検診が有害になりやすい不健康な高 齢者の検診を促し、健康な高齢者の検診不足を招くと示唆されました。医療サービスの恩恵を受けうる患者の識別には、単に年齢で区切るのではな く、個々人のリスク/ベネフィットを重視した指標が必要と著者は示唆しています。

Role of quality measurement in inappropriate use of screening for colorectal cancer: retrospective cohort study. BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g1247 (Published 26 February 2014)
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g1247


やらずぶったくり

あなたは、安くてよく効く薬と、高くて効かない薬があった場合、どちらを選びまか?
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スルホニル尿素による2型糖尿病2ndライン治療は安くて効果的 Biotoday 2014-03-03

スルホニル尿素薬による2型糖尿病2ndライン治療は、DPP-IV阻害剤(Januvia、Onglyza、TRADJENTA)や GLP-1アゴニスト薬(Byetta、Victoza)と同等の血糖制御や質調整生存年(QALY)をより低価格でもたらしうることが示さ れました。また、HbA1c目標を7% (53 mmol/mol) とすると8%とした場合よりもQALYがより高まるという結果が得られています。

Newer diabetes drugs cost more, but may not work better
http://ns.umich.edu/new/releases/22014-newer-diabetes-drugs-cost-more-but-may-not-work-better

Second-line Agents for Glycemic Control for Type 2 Diabetes: Are Newer Agents Better? Diabetes Care February 26, 2014
http://care.diabetesjournals.org/content/early/2014/02/18/dc13-1901.abstract


カジノで健康に
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カジノ新設/拡張地域で小児の肥満/太りすぎリスクが低下した BioTodayニュースレター 2014年3月6日
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米国カリフォルニアのアメリカ先住民小児を含む試験の結果、地域の経済力を高めることが一部の地域で示されていたカジノ(賭博場)の新設や拡 大は家計収入
を増やし、貧困率を下げ、子供の肥満や太りすぎリスク低下と関連しました。この関連の仕組みを調べる必要があると著者は言っています。

Opening or Expanding a Casino Associated With Lower Rate of Overweight Children in that Community
http://media.jamanetwork.com/news-item/opening-or-expanding-a-casino-associated-with-lower-rate-of-overweight-children-in-that-community/

Association Between Casino Opening or Expansion and Risk of Childhood Overweight and Obesity. JAMA. 2014;311(9):929-936. doi:10.1001/jama.2014.604.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1835503


打ち出の小槌
こういうどうでもいいネタを扱った論文が出ると、「女性のうつ病の病前性格として、猫好きがある」、「うつ症状は猫の攻撃性を誘発するのではない か?」、「抑うつ傾向のある女性は、猫を飼わない方がいい・飼い猫を始末した方がいい」・・・またまたどうでもいいことを言う人がぞろぞろ出てく る。

Data miningは、どうでもいい論文を大量生産する打ち出の小槌であることがよくわかる。

ネコに噛まれた人-特に女性-のうつ病の割合は高い BioToday 2014-02-23
ネコに噛まれた人-特に女性-にうつ病が多いことを示した電子医療記録解析結果が発表されました。 ネコに噛まれて受診した女性が生涯にうつ病と診断される確率は47%という結果が得られています(男性は24.2%)。

Describing the Relationship between Cat Bites and Human Depression Using Data from an Electronic Health Record. PLoS ONE 8(8): e70585. doi:10.1371/journal.pone.0070585


テレビ、車、パソコンの所有と肥満や2型糖尿病が関連する BioToday 2014-02-14 -
17の低〜高所得国から募った成人およそ154,000人の試験の結果、テレビ、車、コンピューターを所有すると肥満や2型糖尿病になりやす くなることが示されました。この関連は低所得国や中所得国でより明確であり、運動・座位時間・食事が関与することが示されました。

Cars, computers, TVs spark obesity in developing countries / EurekAlert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-02/sfu-cct021014.php

The association between ownership of common household devices and obesity and diabetes in high, middle and low income countries. CMAJ February 10, 2014 First published February 10, 2014, doi: 10.1503/cmaj.131090
http://www.cmaj.ca/content/early/2014/02/10/cmaj.131090


サッカーのヘディングに伴う脳震盪の頻度、原因、転帰 BioToday2014-02-11 -
7つのデータベースを検索して選んだ49文献をレビューし、サッカーのヘディングに伴う脳震盪について考察した結果が脳損傷専門誌に掲載され ています。 脳震盪の発生頻度は1000ゲーム/練習あたり0.1-2件であり、男性より女性選手に生じやすいことが示されています。また、ヘディングによる脳震盪の 多くは選手同士の衝突によることが確認されています。

ヘディングの認知機能への悪影響も示唆されており、ヘディングをよくするプロ選手は記憶や注意の検査成績が悪いことやより高齢または引退した サッカー選手は認知機能が不良という結果も得られています。著者は怪我を防ぐ手立てをより重視する必要があると言っています。

Researchers call for more study into impact of repetitive heading in soccer / EurekAlert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-02/smh-rcf020514.php
Unwise to Use Your Head in Soccer? / MedPage Today
http://www.medpagetoday.com/Neurology/HeadTrauma/44231

Concussions and heading in soccer: A review of the evidence of incidence, mechanisms, biomarkers and neurocognitive outcomes. Brain Injury 2014; doi: 10.3109/02699052.2013.865269.
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.3109/02699052.2013.865269


スコットランドの冠疾患死が大幅減少
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スコットランドの冠疾患死が大幅減少〜血圧低下が大いに貢献 Biotoday 2014-02-10 -
英国スコットランドでは冠動脈心疾患(CHD)による死亡率が2000-2010年に43%も低下し、この低下に最も貢献したリスク因子改善 は人口レベルでの血圧低下でした(CHD死亡率低下の37%に寄与)。 治療普及(treatment uptake)改善によるCHD死亡率低下は富める人にも貧しい人にも一様に認められており、スコットランド公的医療は公平に提供されているようです。

Explaining trends in Scottish coronary heart disease mortality between 2000 and 2010 using IMPACTSEC model: retrospective analysis using routine data. BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g1088 (Published 6 February 2014)


ジャンボジェットも月には行けない
けだし名言。今後使わせていただきます。

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「レー シックは危ない?」に眼科医ら異議- 「不具合4割」発表に「安全性は確立」 キャリアブレイン 2014/2/4

 消費者庁が昨年12月、「レーシック手術を受けた人の4割以上に不具合があった」とするアンケート結果を発表したのを受け、大学病院などの 眼科医らでつくる「安心LASIKネットワーク」は3日、東京都内で記者会見を開き、「眼科医が受けるほど、安全性については確立している」 と強調。消費者庁の調査を、「科学的裏付けの評価を得られないデータだ」と批判した。【烏美紀子】

レーシック手術の安全性を訴える坪田氏
 自身の家族や知人もレーシック手術を受けているというネットワーク代表の坪田一男慶大医学部教授は、「ジャンボジェットも月には行けない し、台風のときは飛べない。ある安全(な条件)の中で、初めて技術は生かされる」とし、レーシック手術は、最新の機器と熟練した専門医の技 術、しっかりした適応の判断の下で行われることが大切だと説明。さらに、論文データなどを引用しながら、「選択的手術として全世界で最も多く 行われており、安全で満足度も高い。NASA(米航空宇宙局)も宇宙飛行士に認めているほどだ」と話した。
 一方で、集団感染が起きた銀座眼科事件のように、一部施設で治療の質に問題があることも指摘。手術前の説明と検査がしっかり行われ、それを 患者自身もきちんと理解する必要性を強調し、「万が一、問題が起きたときでも、最後まで面倒を見てくれる施設を選ぶことが重要だ」と述べた。
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老化脳はゴミ屋敷

老化した脳は部屋にたくさんのものを貯めこんだゴミ屋敷みたいなもので、どこに何があるのかわからなくなった状態なわけです。ですから脳の 老化を 防ぐためには、常日頃から優先順位の高いこと、つまり目に見えない大切なことや自分と他者の両方が幸せになることに集中する必要があるという ことです。言い換えれば、やれ日本の政治どうだとか、隣国の行動がけしからんとか、自分が神であるかのごとく振る舞う暴走老人にはなるなとい うことです。

老化による認知作業の遅れは脳の機能低下ではなく、処理する情報増加に起因するようだ Biotoday 2014-01-22 -
老化に伴う認知作業の遅れは認知機能の低下によるのではなく蓄積情報の増加に伴ってその処理により時間を要するようになるためであることを示 唆する試験結果が発表されました。この試験結果を紹介しているテュービンゲン大学のニュースでは、老化による認知プロセスの遅れはコンピュー ターの処理がデータ量増加に伴って遅くなるようなものだと説明されています。
Forget about forgetting – The elderly know more and use it better

The Myth of Cognitive Decline: Non-Linear Dynamics of Lifelong Learning


バルサルタンとは大違い
不正試験に基づく推奨が欧州で80万人を殺したかもしれない BioTodayニュースレター 2014年1月20日
2014-01-17 - 信頼性が損なわれた試験結果を主な根拠とする非心臓手術時βブロッカー投与推奨のせいで英国で毎年1万人もが死んでいるかもしれないとの報告が昨夏に発表 されましたが(2013-08-01 Biotoday)、このたび欧州全体での影響を推定した結果が発表されました。 この結果を紹介しているForbesのニュースによると、過去5年間に欧州で80万人もの死をもたらしたかもしれないとのことです。
http://www.forbes.com/sites/larryhusten/2014/01/15/medicine-or-mass-murder-guideline-based-on-discredited-research-may-have-caused-800000-deaths-in-europe-over-the-last-5-years/


待てば海路の日和あり
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思春期の精神症状の多くは成人への移行につれて解消する BioTodayニュースレター 2014年1月20日
オーストラリアのビクトリア州のセカンダリースクールから無作為抽出した思春期小児(平均年齢15.5歳)の追跡調査の結果、家庭医が気に掛 けうるレベルの思春期精神症状の多く-特に短期間の症状-は10代に限定され、20歳代後半までにはさらに解消しうることが示されました。思 春期の精神症状を短期間に抑える治療によって将来の病気負担抑制を期待できそうだと著者は言っています。

The prognosis of common mental disorders in adolescents: a 14-year prospective cohort study. The Lancet, Early Online Publication, 16 January 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)62116-9/fulltext
Common adolescent mental disorders: transition to adulthood. The Lancet, Early Online Publication, 16 January 2014
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)62633-1/fulltext
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小児の抗菌薬にかかる費用 米国は英国の5倍 美容健康Expo 2014/1/18
http://news.e-expo.net/world/2014/01/post-108.html

 米国の民間保険会社が払った小児に対する抗菌薬の費用は英国の5倍であることが、米ボストン大学ボストン共同医薬品調査プログラムの Hershel
Jick氏らの研究でわかった。英国では国の健康保険で費用が賄われる。研究論文は、「Pharmacotherapy」オンライン版に12 月18日掲載された。
 この研究結果は、2009年に1つ以上の薬剤を処方された10歳未満の米国と英国の小児16万人のデータを検討して得られたもの。抗菌薬は 米国の小児の75%、英国の小児の50%に投与されていた。
 米国では民間保険会社が賄う抗菌薬の費用は推定240万ドル(約2億5,000万円)を超え、英国では48万ドル(約5,040万円)未満 だった。また、一般に処方される抗菌薬は米国のほうが高価であり、服用期間も長かった。Jick氏によれば、小児に対する抗菌薬は英国よりも 米国のほうがはるかに高価だという。
 Jick氏らは、「処方薬の費用は米国経済の大きな負担になっている。この種の比較試験は、効率の向上と大幅な経費削減につながる新たな政 策に結びつく可能性がある」と述べている。
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家の作りやうは、夏をむねとすべし
ラドン濃度が高まるのなら、当然受動喫煙リスクも高まるでしょうね。
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家の気密性を高める介入で肺癌リスクが上昇しうる (BioTodayニュースレター 2014年1月15日)

家屋の気密性を高めるエネルギー効率改善介入は屋内ラドン濃度を高め、肺癌リスクを高めうることが示されました。20130年までに温室効果 ガス排出を60%削減するという英国の目標達成に向けた換気抑制は肺癌による5000生存年近い損失という健康負担を毎年余分にもたらしうる と推定されました。

Home energy efficiency and radon related risk of lung cancer: modelling study. BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f7493
http://www.bmj.com/content/348/bmj.f7493
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Googleでお気楽疫学研究
Google インフル トレンド

http://www.google.org/flutrends/intl/ja/about/how.html
はつとに有名ですが、こんな疫学研究が紹介されていました。
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不景気で健康の心配が増すようだ/Google検索データ解析  Biotoday 2014-01-10
Google検索データ解析によると、不景気になると人々はより健康を心 配するようになるようです。
健康状態の推移は通常は直接的な調査や診察数などで調べるが、Google検索データの解析はよ りタイムリーで正確だと著者は言っています。

Hard Times and Headaches / NewYorkTimes
http://well.blogs.nytimes.com/2014/01/08/hard-times-and-headaches/?_r=0

Population Health Concerns During the United States’ Great Recession.
Am J Prev Med 2014;46(2):166■170
http://www.ajpmonline.org/webfiles/images/journals/amepre/AMEPRE_3936-stamped-010714.pdf



制酸剤使用とビタミンB12欠乏

2年以上の制酸剤・プロトンポンプ阻害剤(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬使用とビタミンB12欠乏の関連が示されました。今回の結 果を受けて制酸剤使用を控える必要ないが、医師は警戒を怠ってはならないと著者は言っています。BioTodayニュースレター 2013年12月12日

Acid Inhibition Associated with B12 Deficiency
http://www.jwatch.org/fw108249/2013/12/11/acid-inhibition-associated-with-b12-deficiency

Proton Pump Inhibitor and Histamine 2 Receptor Antagonist Use and Vitamin B12 Deficiency. JAMA. 2013;310(22):2435-2442. doi:10.1001/jama.2013.28
0490.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1788456
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うまい話なし

健康的な肥満などない/メタ解析 Biotoday2013-12-04 -
肥満の人は、血圧・トリグリセリド・血糖等の指標が正常で代謝的に健康でも依然として心血管イベントや死亡リスクが高いことを示したメタ解析 結果が発表されました。

健康的な肥満化などないようだと著者は言っています。

'Healthy Obesity' Is a Myth, Report Says / WebMD
http://www.webmd.com/diet/news/20131202/healthy-obesity-is-a-myth-report-says
Meta-Analysis Dispels Myth of Healthy Obese / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108212/2013/12/03/meta-analysis-dispels-myth-healthy-obese

Are Metabolically Healthy Overweight and Obesity Benign Conditions?: A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Intern Med. 2013;159(11):758-769. doi:10.7326/0003-4819-159-11-201312030-00008
http://annals.org/article.aspx?articleid=1784291


厄介な対戦相手
ワールドカップの厄介な対戦相手は「デング熱」
http://www.huffingtonpost.jp/2013/12/06/dengue-world-cup-brazil_n_4396570.html

検査すればいいってもんじゃな い

個別化医療の一環として、ワーファリンの用量設定に際して、バイオマーカー(CYP2C9、VKORC1)を調べることの意義を検討したけ れども、大した役には立たなかった。
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現時点では遺伝子型利用ワーファリン用量調節の価値は低そう
 BioTodayニュースレター 2013年11月21日
3つの試験の結果、心房細動や静脈血栓塞栓症(VTE)等の治療でのワーファリンやワーファリン類似薬の用量を遺伝子型に基づいて調節するこ との優越性が1試験では示されたものの残り2試験では示されませんでした。遺伝検査で得られる情報は診療に大いに役立つとは思えないし、検査 に伴いうる困難や費用に見合う価値はなさそうと著者の一人は言っています。

AHA: Mixed Data for Warfarin Dosing By Genotype
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AHA/43021

..>関連文献
Do Pharmacogenetics Have a Role in the Dosing of Vitamin K Antagonists?November 19, 2013DOI: 10.1056/NEJMe1313682
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1313682
A randomized trial of genotype-guided dosing of acenocoumarol and phenprocoumon. N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMoa1311388.
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1311388
A pharmacogenetic versus a clinical algorithm for warfarin dosing. N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMoa1310669.
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1310669
A randomized trial of genotype-guided dosing of warfarin. N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMoa1311386.
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1311386


脳梗塞急性期には降圧するな!:一体何回言ったらわかるん だ!

私が医者になってから32年。脳梗塞急性期に降圧した方がいいというエビデンスはこれっぽっちも出ていない。
Antihypertensive Drugs Immediately After Stroke Admission Don't Improve Short-Term Survival Physician's First Watch 2013-11-18
By Kelly Young

Reducing blood pressure during the hospital stays of patients admitted for ischemic stroke fails to improve clinical outcomes, according to a study published in JAMA and presented at the American Heart Association's annual meeting in Dallas.

Roughly 4000 patients in China who were admitted for acute ischemic stroke with a systolic BP of 140-220 mm Hg (and diastolic below 120 mm Hg) were randomized to receive or not receive antihypertensive therapy immediately after hospitalization. All patients discontinued their home BP medications during their hospital stays.

By day 14, mean systolic BP was lower in the antihypertensive group than the control group (135.2 vs. 143.7 mm Hg). However, the primary outcome, a composite of death and major disability, did not differ between the two groups at day 14.

The authors conclude: "These findings suggest that unless a patient's systolic blood pressure is 220 mm Hg or more or diastolic pressure is 120 mm Hg or more, the decision to lower blood pressure with antihypertensive treatment in patients with acute ischemic stroke does not improve or worsen outcome and therefore should be based on individual clinical judgment."


利益相反は論文以外にも

何も論文だけではありません。そもそもKey Opinion Leaderなるもの自体が、利益代表なのです。
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製薬会社支援科学者の疾患流行予想は過大になりがちなようだ (Biotoday 2013-11-15)
 2009年4-7月の豚インフルエンザに関する英国ニュースを解析したところ、製薬会社等との繋がりがある学者は繋がりがない学 者に比べてその危険性を過大予想しがちでした。 製薬会社と繋がりがある科学者は豚インフルエンザが数百万人もの人に影響を及ぼしうるとよく主張していました。

Scientists Backed by Big Pharma Will Try to Scare You During Outbreaks / Vice Media
http://motherboard.vice.com/blog/scientists-backed-by-big-pharma-will-try-to-scare-you-during-outbreaks
Academics and competing interests in H1N1 influenza media reporting. J Epidemiol Community Health doi:10.1136/jech-2013-203128


イカサマだ!
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ビタミンやミネラルの癌や心血管疾患予防効果の裏付けはない Biotoday 2013-11-13 -
U.S. Preventive Services Task Force(USPSTF)によると、癌や心血管疾患予防を目的とした使用を支持または否定するに足る十分な裏付けがあるビタミンやミネラルサプリメント は殆どありません。さらにUSPSTFはβカロテンとビタミンEサプリメントは摂取すべきでないとしています。ビタミンEは無益で、βカロテ ンは喫煙者の肺癌リスクを高めます。

USPSTF: No Evidence That Vitamins Prevent Cancer or Cardiovascular Disease - See more at: http://www.jwatch.org/fw108139/2013/11/12/uspstf-no-evidence-vitamins-prevent-cancer-or#sthash.LW5n2fev.dpuf / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108139/2013/11/12/uspstf-no-evidence-vitamins-prevent-cancer-or

USPSTF draft recommendation
Vitamin and Mineral Supplements in the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer: An Updated Systematic Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force. Ann Intern Med. Published online 12 November 2013 doi:10.7326/0003-4819-159-12-201312170-00729


今は昔の物語-Dual RAS blockade今昔-
この研究、エビデンスとしては決して強くはないのですが、COOPERATE研究
http://intmed.exblog.jp/9280125/
から隔世の感があります。それこそ日本から、より頑健なデータを出したい。COOPERATE研究を出した国の医者として、責任があると思う のですよ。 -----------------------------------------------------------------------
糖尿病性腎症患者のACE阻害剤とARB併用は有害(2013-11-14 Biotoday)

糖尿病性腎症患者のACE阻害剤(リシノプリル)とアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)(ロサルタン)併用によるレニン-アンジオテン シン系二重阻害は死
亡や心血管イベントに対する相加/相乗効果をもたらすことなく高カリウム血症や急性腎障害(AKI)リスクを高めることを示した試験(VA NEPHRON-D試験)結果が論文発表されました。今年初めに発表されたメタ解析でもレニン-アンジオテンシン系二重阻害の有害作用が示さ れています(2013-01-29 Biotoday)。

ACE-Inhibitor/ARB Combination to Curtail Diabetic Nephropathy Seen as Risky
http://www.jwatch.org/fw108141/2013/11/12/ace-inhibitor-arb-combination-curtail-diabetic

The End of Dual Therapy with Renin-Angiotensin-Aldosterone  System Blockade? NEJM. November 9, 2013DOI: 10.1056/NEJMe1312286
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMe1312286
Combined Angiotensin Inhibition for the Treatment of Diabetic Nephropathy. NEJM. November 9, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1303154
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1303154
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腎障害入院増加の一部はACE阻害剤/ARB処方増加に起因しうる Biotoday 2013-11-12

ここ数年のACE阻害剤やアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)処方増加が急性腎障害(AKI)による入院増加に寄与しているようだと の4年間(2007-2011年)の英国データ解析結果が発表されました。 AKI入院増加のおよそ15%がACE阻害剤やARB処方増加に起因しうると推定されています。

ACE Inhibitors, Angiotensin-Receptor Blockers Tied to Increase in Kidney Admissions / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108124/2013/11/07/ace-inhibitors-angiotensin-receptor-blockers-tied

ACE Inhibitor and Angiotensin Receptor-II Antagonist Prescribing and Hospital Admissions with Acute Kidney Injury: A Longitudinal Ecological Study. PLoS ONE 8(11): e78465. doi:10.1371/journal.pone.0078465
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0078465


クラリスロマイ シンとカルシウム拮抗薬の組み合わせが急性腎障害のリスクに

両方ともに頻用される薬ですから、注意しておきたいと思いますが、私にとって意外だったのは、不整脈の副作用で有名なアジスロマイシン
http://www.fda.gov/drugs/drugsafety/ucm341822.htm
よりも、クラリスロマイシンの方が問題視されていることです。確かにCYP3A4に対するin vitroでの阻害作用はクラリスロマイシンの方が強いので、
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2015000/
少なくとも急性腎障害の場合にはCYP3A4の阻害の強さが関連しているのかもしれませんが、そうするとアジスロマイシンによる不整脈の発症機序 は何なのだろうと思います。simvastatinとの併用で横紋筋融解が起こった症例報告では
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3516014/
CYP3A4の遺伝子多型の影響などが考えられるようです。

Physician's First Watch

Clarithromycin Plus Calcium Channel Blockers Linked to Acute Kidney Injury By Kelly Young

For older adults prescribed a calcium-channel blocker, co-prescription with clarithromycin is associated with a doubling of risk for acute kidney injury, compared with azithromycin, according to a JAMA study.

Using Canadian healthcare databases, researchers studied outcomes in nearly 200,000 older adults who were taking calcium-channel blockers (metabolized by the CYP3A4 enzyme) and then prescribed either clarithromycin (a CYP3A4 inhibitor) or azithromycin. The FDA has warned of the hypotension risk for co-prescription of clarithromycin and calcium-channel blockers.

Thirty-day hospitalization rates with acute kidney injury were higher with clarithromycin compared with azithromycin (0.44% vs. 0.22%). The authors estimate that 464 patients would need to receive clarithromycin for one patient to be harmed. Clarithromycin was also associated with elevated risks for hypotension and all-cause mortality.

The authors suggest that physicians temporarily discontinue calcium-channel blockers during clarithromycin treatment or choose an antibiotic that doesn't inhibit CYP3A4.

Link(s):
JAMA article (Free) http://click.jwatch.org/cts/click?q=227%3B67916864%3BFX6S5o5gYXSG%2F2NXBEbZ7vg6xgH6wpTmx6My6IWIwY8%3D


強迫観念

心疾患への飽和脂肪の関与の誤解を解かねばならない Biotoday 2013-10-24 -
心血管疾患リスクを下げるために飽和脂肪を控えるべきという主張に反する試験結果を提示しつつ、心疾患への飽和脂肪の関与の誤解を解かねばな らないとの主張がBMJ誌に発表されました。

また、コレステロールに関する強迫観念がスタチンの過剰使用をもたらしたが、スタチンの有益効果はコレステロールへの作用とは独立したもので あることを支持する結果が得られていることを著者は示しています。

Saturated fat heart disease 'myth' / BBC
http://www.bbc.co.uk/news/health-24625808
Cardiologist Decries the 'Myth of the Role of Saturated Fat in Heart Disease' / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw108056/2013/10/23/cardiologist-decries-myth-role-saturated-fat-heart

Saturated fat is not the major issue. BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6340 (Published 22 October 2013)


やっぱり勝てないARB

糖尿病患者の降圧治療ではACE阻害剤を第一選択薬とすべき(BioTodayニュースレター 2013年10月28日)

追跡調査期間が12か月以上の糖尿病患者対象無作為化試験をメタ解析してACE阻害剤・アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)・α遮断 薬・β遮断薬・カルシウムチャネル遮断薬・利尿薬・それらの併用の効果を比較した結果、ACE阻害剤
のみプラセボに比べて有意な血清クレアチニン倍加抑制効果を有し、ACE阻害剤は他の降圧剤より有益であり、ACE阻害剤を上回るARBの効 果は示されず、糖尿病
患者の降圧剤治療ではACE阻害剤を第一選択薬とすべきと結論されました。

また、もしACE阻害剤単独治療で血圧を十分に制御できなかったらカルシウムチャネル遮断薬の併用を優先すべきようです。

Comparative effectiveness of renin-angiotensin system blockers and other antihypertensive drugs in patients with diabetes: systematic review and bayesian network meta-analysis. BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6008 (Published 24 October 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f6008


結核の迅速検査で治療即日開 始が増えるが結核疾患は減らず (Biotoday 2013/10/31)

アフリカの5つのプライマリーケアが参加した無作為化試験の結果、Xpert MTB/RIF迅速検査は検査即日の結核治療開始患者を増やしたり治療開始までの期間を短縮しましたが結核関連疾患の低下とは関連 しませんでした。Xpert MTB/RIF検査はプライマリーケアの看護師が正確に実施しうることも確認されていま す。

Point-of-care diagnostics for tuberculosis elimination? The Lancet, Early Online Publication, 28 October 2013 doi:10.1016/S0140-6736(13)62003-6
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)62003-6/fulltext
Feasibility, accuracy, and clinical effect of point-of-care Xpert MTB/RIF testing for tuberculosis in primary-care settings in Africa: a multicentre, randomised, controlled trial. The Lancet, Early Online Publication, 28 October 2013 doi:10.1016/S0140-6736(13)62073-5
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)62073-5/fulltext


大規模試験の3割近くは結果が未出版 (Biotoday 2013/11/1)
ClinicalTrials.govに事前登録されて2009年1月までに完了した被験者500人以上の大規模臨床試験のうち29% (585試験中171試験)の結果は試験完了から5年(中央値)時点で未出版のままでした。それらの未出版試験の大部分(78%:133試 験)はClinicalTrials.govへの結果掲載もありませんでした。
未出版でClinicalTrials.govへの結果登録もない大規模試験の割合は23%となります。

Unpublished trial data “violates an ethical obligation” to study participants, say researchers
http://www.bmj.com/press-releases/2013/10/29/unpublished-trial-data-%E2%80%9Cviolates-ethical-obligation%E2%80%9D-study-participants-sa

Non-publication of large randomized clinical trials: cross sectional analysis. BMJ 2013; 347 (Published 29 October 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f6104


2000人に1人がvCJD保因者

と言われてもねえ、と保因者の可能性がある私自身でも思ってしまいます。
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英国人は2000人に1人の割合で異常(vCJD)プリオンを有しうる Biotoday 2013/10/17
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英国イングランドの41病院で切除された32,441の虫垂サンプル解析の結果、英国人はおよそ2000人に1人の割合で変異型クロイツフェ ルト・ヤコブ病(vCJD)誘発プリオン蛋白質(vCJDプリオン)を有しうると推定されました。

vCJDの発病は依然として稀であるものの、vCJDプリオン感染は比較的一般的かもしれず、今回の結果を考慮して血液/血液製品や手術器具 を管理する必要があるあと著者は言っています。

Researchers estimate one in 2,000 people in the UK carry variant CJD proteins
http://www.bmj.com/press-releases/2013/10/14/researchers-estimate-one-2000-people-uk-carry-variant-cjd-proteins

How widespread is variant Creutzfeldt-Jakob disease? BMJ 2013; 347 doi:
http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5994 (Published 15 October 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f5994
Prevalent abnormal prion protein in human appendixes after bovine spongi
form encephalopathy epizootic: large scale survey. BMJ 2013; 347 doi: ht
tp://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5675 (Published 15 October 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f5675


熱を下げるな

頭部外傷や脳虚血に対する低体温と同じ発想でやったのですが、感染症患者の熱を下げちゃいかんのよね、やっぱり。 ----------------------------------------------------------------------
重度髄膜炎の低体温処理で転帰改善せず〜むしろ有害なようだ

フランスの49の集中治療室(ICU)での無作為化試験の結果、昏睡状態の重度細菌性髄膜炎成人に低体温を誘導しても転帰は改善しませんで した。対照群より低体温誘導群の方が死亡率が高い傾向(31% vs 51%)が認められたこと受けてこの試験は早期打ち切りされています。

Hypothermia Has No Benefit in Meningitis
http://www.medpagetoday.com/CriticalCare/GeneralCriticalCare/42145
Use of Hypothermia Does Not Improve Outcomes for Adults With Severe Meningitis; May Be Harmful
http://media.jamanetwork.com/news-item/use-hypothermia-improve-outcomes-adults-severe-meningitis-may-harmful/

Induced Hypothermia in Severe Bacterial Meningitis. A Randomized Clinical Trial. JAMA. Published online October 08, 2013. doi:10.1001/jama.2013.280506
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1748835


過ぎたるは
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摂取すべきでないビタミン5種〜ビタミン補助摂取は大抵無益 Biotoday 2013-10-08

よほど不足していない限り、ビタミンの補助摂取は大抵無益であり、大量摂取はむしろ健康を損ねます。Forbesの記事に、医師に勧められ ていない限り摂取すべきでないビタミン5種-ビタミンC、ビタミンAとβカロテン、ビタミンE、ビタミンB6、マルチビタミン-が、摂取すべ きでない理由と共に列挙されています。米国アメリカ疾病管理センター(CDC)によるとアメリカ人の半数近くがビタミンを服用しています。

The Top Five Vitamins You Should Not Take / Forbes
http://www.forbes.com/sites/stevensalzberg/2013/10/07/the-top-five-vitamins-you-should-not-take/


捨てるのも拾うのも人間

驚くべきはその有効性の高さです。
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便を精製して作った細菌カプセルでCDI感染再発を100%防げた
Biotoday 2013-10-07 -
27人が参加した試験の結果、他人(多くの場合は家族)の便から精製した細菌を詰めたカプセル剤の服用により、重度の下痢を誘発しうるクロス トリジウムディフィシル(CDI)感染の再発を完全に防ぐことができました。過去に少なくとも4回のCDI感染経験を有する患者がこの試験に 参加しました。
Fecal transplant pill knocks out recurrent C. diff infection, study shows / EurekAlert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-10/idso-ftp100313.php

Fecal Transplant, Now in Pill Form / MedPage Today
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/IDWeek/42044

NEJMに論文が載った時は、「でも、どうするんだろう」と思ったものですが:
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健常人の便を注入する治療で16人中15人(94%)のCDI関連下痢が治癒 Biotoday 2013-01-17 -
 十分な抗生物質治療を受けたにも関わらずクロストリジウムディフィシル(CDI)関連下痢を再発した成人患者が参加した無作為化 試験の結果、健常人便を十二指腸に注入する治療の治癒/再発抑制効果はバンコマイシン治療を有意に上回りました。健常人の便を注入する治療で 16人中15人(94%)のCDI関連下痢が治癒(10週間再発することなく下痢が解消)しました。2種類のバンコマイシン治療の治癒率は 31%と23%でした。便注入によって患者の便中バクテリア多様性が向上しました。

Fecal Transplantation Effective for Recurrent C. difficile Infection / Physician's First Watch
http://www.jwatch.org/fw201301170000005/2013/01/17/fecal-transplantation-effective-recurrent-c

Duodenal Infusion of Donor Feces for Recurrent Clostridium difficile. NEJM. January 16, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1205037
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1205037#t=article


ため息・・
これでも「成功した」って言うんでしょうね。やっぱり
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成功したramucirumab胃癌治療第3相試験結果が論文掲載された  BioTodayニュースレター 2013年10月7日

2013年10月3日、Eli Lilly(イーライリリー)社は、初めての化学療法後に疾患進行を呈した進行胃癌患者の抗VEGFR-2抗体薬ramucirumab (ラムシルマブ)治療で生存や無増悪生存(PFS)が改善することを証明した第3相試験(REGARD試験)結果がThe Lancet誌に掲載されたと発表しました。
生存期間中央値はramucirumab群では5.2か月、プラセボ群では3.8か月でした(p=0.047)。

Single-Agent Ramucirumab Significantly Improves Overall Survival In Advanced Gastric Cancer Patients
http://newsroom.lilly.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=794705

Angiogenesis in gastric cancer: hitting the target? The Lancet, Early Online Publication, 3 October 2013
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)61892-9/fulltext
Ramucirumab monotherapy for previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (REGARD): an international, random
ised, multicentre, placebo-controlled, phase 3 trial. The Lancet, EarlyOnline Publication, 3 October 2013
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)61719-5/fulltext
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Ottawa SAH Rule

くも膜下出血の急性頭痛患者同定に役立ちうるルールができた BioTodayニュースレター 2013年9月26日

くも膜下出血を患う救急科受診急性頭痛患者の同定に役立ちうる意思決定ツールOttawa SAH Ruleが開発されました。Ottawa SAH Ruleは、頭痛の強度が1時間以内に最も高まり、神経学的異常が認められない非外傷性急性頭痛患者のくも膜下出血を高感度に検出します。

Decision-making tool may help rule out brain hemorrhage for patients in emergency department
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-09/tjnj-dtm091913.php

Clinical Decision Rules to Rule Out Subarachnoid Hemorrhage for Acute Headache. JAMA. 2013;310(12):1248-1255. doi:10.1001/jama.2013.278018.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1741823


検診の副作用
医薬品の承認申請だったら、副作用に触れないなんて考えられないんですが、検診はいいのね。
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癌検診の害を定量化している無作為化試験は殆どない Biotoday 2013-09-20
無作為化試験レビューの結果、癌検診の害を定量化している無作為化試験は殆どありませんでした。57の癌検診試験のうち、検 診の最も重大な害である過剰診断と偽陽性が定量化されていた試験はそれぞれ僅か7%と4%のみでした。
Quantification of harms in cancer screening trials: literature review. BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5334 (Published 16 September 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f5334


私だったら飲みません!
喫煙者では25%のリスク低減(相対危険度0.75 95%信頼区間0.67 to 0.83)ですが、非喫煙者ではわずか8%です(同0.92, 0.87 to 0.98)。日本人では、クロピドグレルのベネ フィットは白人よりも小さいでしょうから、日本人非喫煙者としては、もし、心血管疾患を発症したとしても、消化管出血、 脳出血、白血球減少、肝障害、そして希ながら血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症といった副作用を覚悟してまで飲むか というと・・・・
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クロピドグレルは主に喫煙者の心血管転帰を抑制する Biotoday 2013-09-20
メタ解析の結果、クロピドグレル(clopidogrel)は主に喫煙者の心血管転帰(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)を 抑制し、非喫煙者にはあまり有益ではないことが示されました。また、クロピドグレルに比したEffient(prasugrel、 プラスグレル)やBRILIQUE(ticagrelor、チカグレロル)の優越性も喫煙者でより大きいという結果が得 られています。

Effect of smoking on comparative efficacy of antiplatelet agents: systematic review, meta-analysis, and indirect comparison. BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5307 (Published 17 September 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f5307


エビデンスを凌駕するもの:その名は信仰
人は自分が信じるところにしか聞く耳を持たない動物です。少なくともこの場合、publication biasを支える力は、特定の企業の経営判断ではなく、一般市民の純朴な信仰です。NHKの朝ドラ、小津映画、大草原の小さな家といった伝統的な信仰が、 いとも簡単にEBMを凌駕してしまうのは、こんなところを読んでいるあなたにとっては、自明の理でありましょう。
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朝食抜きは体重を増やすという主張の十分な裏付けはない Biotoday 2013-09-17
細心の注意を払って厳密に実施された朝食と体重の関連に関する試験は一握りであり、概ねそれらの試験では朝食抜きの体重増加への寄与は殆どあ るいは全く認められておらず、朝食を食べる人は朝食を抜く人よりも1日あたりのカロリー摂取量が結果的により多くなるという結果が得られてい ます。しかしそのような試験は殆ど無視されており、多数の大規模観察試験の中に埋もれてしまっています。 

Myths Surround Breakfast and Weight / NewYorkTimes
Belief beyond the evidence: using the proposed effect of breakfast on obesity to show 2 practices that distort scientific evidence. Am J Clin Nutr. 2013 Sep 4. [Epub ahead of print]


これを英語で
「労多くして功少なし」を英語ではなんと言いますか?という設問の回答になりますね。
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試験登録を出版要件としている医学誌は3割に満たない
コクランデータベースに含まれる試験掲載医学雑誌(200誌)のうち試験登録(trial registration)を 出版要件としていたのは3割以下の55誌だけでした。主要医学誌の多くは登録試験のみ掲載すると宣言しているものの、より小規模の 医学誌の多くはそのような方針を採用していません。
“Hardly worth the effort”? Medical journals’ policies and their editors’ and publishers’ views on trial registration and publication bias:quantitative and qualitative study. BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5248 (Published 6 September 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f5248

当社比
「降圧を超えた効果」どころか、「降圧による効果」も得られなかったってことで・・・
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アリスキレンで冠動脈硬化進行は防げない(Biotoday 2013-09-04)

前高血圧症と冠動脈疾患を有する患者613人が参加したプラセボ対照無作為化試験(AQUARIUS試験)の結果、レニン阻害剤アリスキレン (Aliskiren、Tekturna/Rasilez)の冠動脈硬化改善/進行抑制効果は認められませんでした。冠動脈硬化の抑制や改善 を目的としたアリスキレン使用を今回の結果は支持していないと著者は言っています。

Cleveland Clinic research finds blood pressure drug tends to slow coronary disease / EurekAlert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-09/cc-ccr_1090313.php

ESC: No Plaque Regression With Aliskiren / MedPage Today
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ESC/41337

Renin-Angiotensin System Inhibition and Secondary Cardiovascular Prevention. JAMA. Published online September 03, 2013. doi:10.1001/jama.2013.277170
Effect of Aliskiren on Progression of Coronary Disease in Patients With Prehypertension. The AQUARIUS Randomized Clinical Trial. JAMA. Published online September 03, 2013. doi:10.1001/jama.2013.277169


ticagrelorと呼吸困難
Astraの抗血小板薬BRILINTA服薬を中止する患者は多いようだ(Biotoday 2013-09-06)
実臨床環境に即した小規模試験の結果、しばしば呼吸困難を理由にしてAstraZeneca(アストラゼネカ)社の抗血小板薬 BRILINTA(ブリリンタ;ticagrelor、チカグレロル)の服用を中止する患者は多いことが示されました。
このEuropean Society of Cardiology発表試験によると、およそ14%の患者がBRILINTA服薬をやめたり他剤へ切り替えたりしました。 

Study finds patients often stop using new AstraZeneca heart drug
http://www.reuters.com/article/2013/09/03/heart-astrazeneca-idUSL6N0GY2AS20130903



雇用不安の自覚と冠動脈 心疾患リスク(Biotoday 2013-8-12)
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メタ解析の結果、雇用不安(job insecurity)の自覚と冠動脈心疾患(CHD)発現リスク上昇が関連しました。社会経済的状態が低いことやCHDリスク因子がこの関連に寄与して いるという結果が得られています。

Perceived job insecurity as a risk factor for incident coronary heart disease: systematic review and meta-analysis. BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4746 (Published 8 August 2013)
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f4746

手術は月明かりで?
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 満月期の大動脈解離手術は死亡リスクが低く、入院期間が短いBiotoday 2013-07-24)

月の満ち欠けと急性大動脈解離修復手術転帰の良し悪しが関連することを示した試験結果が発表されました。満月期は死 亡リ スクが低く、入院期間がより短いという結果が得られています。

RI Hospital study: Lunar cycle affects cardiac patients undergoing acute aortic dissection / Eurekalert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-07/l-rhs071513.php

The influence of seasons and lunar cycle on hospital outcomes following ascending aortic dissection repair. Interact CardioVasc Thorac Surg (2013) doi: 10.1093/icvts/ivt299
http://icvts.oxfordjournals.org/content/early/2013/07/08/icvts.ivt299.full.pdf+html
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脅 迫よりも説明を
企業に対してデータを出せと要求する時は、ただ闇雲に「隠すのはけしからん」と責めるのは決して賢い方法とは言えません。データを提供す ることによって、「おたくの大切な商品のリスク・ベネフィットバランスが、より適確に把握できる」というように、企業にとって、どんな 「いいこと」があるかを示す方が、はるかに企業の同意を得やすいはずです。
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企業の内部報告利用で試験結果をより正確/確実に評価しうる (Biotoday 2013/6/24)
出版データ(論文と学会アブストラクト)と企業(Medtronic社)から提供された完全な患者レベルデータや社外秘報告を 比較したところ、脊椎固定術におけるヒト組み換え骨形成タンパク質2(rhBMP-2)の有効性報告に偏りは認めら れませんでした。
一方、有害事象の報告は不十分であり、出版データのみに基づくメタ解析ではrhBMP-2の適切な安全性評価は不可能でした。 患者レベルデータの入手が理想的ではあるものの、企業の内部報告を利用することでより正確で信頼性の高い評価が可能になると著 者は示唆しています。
Reporting of industry funded study outcome data: comparison of confidential and published data on the safety and effectiveness of rhBMP-2 for spinal fusion. BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3981 (Published 20 June 2013)
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f3981

体重低下の介入試験
この研究結果が示すメッセージは何か?それは「リスクが無い生活習慣介入でさえハードエンドポイントを達成できなかったのだから、薬や手術に よる体重減少がリスクを上回るベネフィットを提供する可能性は皆無に近い」ということだ。
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体重低下を促す生活習慣介入の心血管イベント抑制効果示せず (Biotoday 2013/6/25)
肥満や太り過ぎの2型糖尿病患者5145人が参加した無作為化試験(Look AHEAD試験)の結果、体重低下7%を 目標とする生活習慣介入は持続的な体重低下をもたらしたものの心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、狭心症による入 院)の有意低下とは関連しませんでした。無益性解析結果に基づいてこの試験は追跡調査期間中央値およそ10年時点で早期中止さ れています。
ADA: Lifestyle Changes Don't Protect Diabetic Heart
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ADA/40079
Cardiovascular Effects of Intensive Lifestyle Intervention in Type 2 Diabetes. NEJM. June 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1212914
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1212914

やればできるじゃない の、ランセット
やればできるじゃないの。しょーもない大規模試験なんか、他の三流誌に任せておいて、こういう仕事を載せていきましょうや。
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新生児の鼻や口を拭くだけで吸引と同等の効果を得うる

妊娠35週以後に生まれた新生児の顔・口・鼻をタオルで優しく拭くことで口鼻咽頭吸引(Oronasopharyngeal suction)と同等の効果を得うることを示した無作為化試験結果が発表されました。出産後24時間の1分間あたりの呼吸数は両群で差 はありませんでした。

Oronasopharyngeal suction versus wiping of the mouth and nose at birth:a randomised equivalency trial. The Lancet, Early Online Publication, 3June 2013
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)60775-8/fulltext


夢か幻か
あの、「生物製剤万歳」「これでリウマチ患者の未来は明るい」のかけ声って、一体何だったのでしょうかね。
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MTX抵抗性RAの非生物製剤併用治療はTNF阻害剤に劣らない

メトトレキサート(MTX)治療にも関わらず活動性の関節リウマチ(RA)のより安価な非生物製剤併用治療はより高価なTNF阻害剤治 療に劣らないことを示した無作為化試験結果が発表されました。

48週時点での疾患活動スコア(DAS28)変化量はMTX+スルファサラジン+ヒドロキシクロロキン群とTNF阻害剤+MTX群で有 意差はありませんでした。関節損傷のX線検査所見も両群で差はありませんでした。

More Evidence that Nonbiological Regimen Reduces Arthritis Activity After Methotrexate Failure
http://firstwatch.jwatch.org/cgi/content/full/2013/612/5

Making Rational Treatment Decisions in Rheumatoid Arthritis When Methotrexate Fails. NEJM. June 11, 2013DOI: 10.1056/NEJMe1306381
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1306381
Therapies for Active Rheumatoid Arthritis after Methotrexate Failure. NEJM. June 11, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1303006
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1303006


やっぱり召集には応じざるを得ないか・・
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飛行中の医学的緊急事態の大部分が医療従事者の助けを得られた(Biotoday 2013-5-31)
飛行中旅客機内での11,920の医学的緊急事態例をレビューした結果がNEJM誌に掲載されています。

およそ半数(48.1%)は乗り合わせていた医師からの助けが得られ、20.1%は看護師の助けを得られました。EMSやパラメディク ス等も含めると全体で75%が何らかの医療従事者の助けを得られていました。7.3%は飛行機の進路変更をもたらしました。

MDs, RNs Tackle In-Flight Health Crises
http://www.medpagetoday.com/EmergencyMedicine/EmergencyMedicine/39461

Outcomes of Medical Emergencies on Commercial Airline Flights. N Engl J
Med 2013; 368:2075-2083May 30, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1212052
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1212052


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重症インフルエンザのタミフル倍量治療の有益効果示せず(Biotoday 2013-6-3)
東南アジアでの無作為化試験の結果、重症インフルエンザ入院成人/小児患者へのTamiflu(タミフ ル;oseltamivir、オセルタミビル)倍量投与の有益作用は認められませんでした。重症インフルエンザへのTamiflu 倍量投与常用を今回の結果 は支持していないと著者は言っています。

No benefit of double dose antiviral drug for severe influenza
http://www.bmj.com/press-releases/2013/05/30/no-benefit-double-dose-antiviral- drug-severe-influenza

Effect of double dose oseltamivir on clinical and virological outcomes in children and adults admitted to hospital with severe influenza: double blind randomised controlled trial. BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f3039 (Published 30 May 2013)
http://www.bmj.com/content/ 346/bmj.f3039


たかが37%
たかが37%ぐらいでぐたぐた文句を言うな!有効性も安全性も変わらないのに、ACE阻害薬より何倍も高いARBみたいな阿漕な商売よりずっ と良心的だろうが。とは、AbbVie社社長は言っていないと思います。別に言ってもいいんだけど・・・・
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無益データとは裏腹にNIASPANはこの2年間で37%も値上げされた
Bloombergによると、AbbVie社のナイアシン持続放出コレステロール薬NIASPANの1錠あたりの値段は、ここ2年間に発表さ れた2つの試験で有益効果が示されず、思わぬ有害事象・脳卒中リスク上昇が示唆されたにも関わらず、同期間に3.5ドルから4.78ドルへと 37%も値上げされています。
ボストンのBrigham and Women’s Hospitalの心臓医・Robert Giugliano氏は「ナイアシンの役割が殆どあるいは全くないというデータを考慮すると、(この値上げは)理解し難い」と言っています。

..>関連ニュース
AbbVie Price Boost of Drug Slammed in Studies Criticized
http://www.bloomberg.com/news/2013-05-23/abbvie-price-boost-of-drug-slammed-in-studies-criticized.html
How Much?! AbbVie Raises Niaspan Price Despite Study Failures
http://www.pharmalive.com/how-much-abbvie-raises-niaspan-price-despite-study-failures


Reporting Biasとは何か?
「そりゃそうでしょうよ」ということを、敢えて、実 際のところはどうなんだ!」というツッコミに対して、 それに応えられる登録システムを持っているところが、あの国 の凄いところです。

医療者であろうと、患者本人であろうと、イベントを認知し→報告し→それを記録に残すのはあくまで人。そして 人は忘れる動物ですからね。 臨床試験でさえ記載漏れがあるのに、あの忙しい現場で全ての既往歴をもれなく チェックするなんてこと、やってる わけ・できるわけがない。 もちろん日本だってそうです。まして況んや英国においておや。

特に電子カルテが氾濫するようになってから、診療現場では「網羅幻想」が生じやすくなっています。

●患者は「心臓発作」と一度診断されれば、死ぬまでそのことを覚えている「はずだ」
●そして医者に「心筋梗塞になったことがありますか?」と訊かれれば、必ず「はいあります」と答える「はずだ」
●たとえその患者が認知症になろうと、意識障害であろうと、付添人が患者本人に代わって「正しい答え」を医者に与える「は ずだ」
●医者は何時如何なる時でも、患者あるいは付添人に「心筋梗塞になったことがありますか?」と尋ねる「はずだ」
●そしてその医者は回答結果を診療録に必ず記載する「はずだ」

正に「おとぎの国」です

紙カルテを手作業でめくる仕事では、それぞれのポイントでの抜けが目に見えるのですが、電子カルテからデータ を抽出するだけだと、それが見えない。

今の時代、電子カルテnativeのお医者さん達が、この「網羅幻想」に囚われたまま、reporting
biasを全く考慮しない「臨床研究」をやって論文を書いてきます。数だけは1000を超えるデータがすぐに集 まるので、 それだけで何か凄い研究ができたみたいな気になってしまうことも 、幻想強化要因となっています。ただの横断研究に過ぎないのに、retrospective
cohort studyなんて、わざわざ間違った題名をつけてきたりもします
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 関連データベースを網羅しないと罹患率推定に偏りが生じうる Biotoday 2013-05-23 -
つながりがある複数の医療データベースを網羅せずに一部だけに頼

ると急性心筋梗塞等の疾患発現率が実 際よりも低く推定される恐れ があることを示した試験結果が発表されました。この試験では、1つのデータベース だけに頼ると3つのデータベース全てを 使った場合に比べて急性心筋梗塞発現率を25-50% 低く推定してしまうという結果が得られています。

Failure to use linked health records may lead to biased disease estimates / BMJ

Completeness and diagnostic validity of recording acute myocardial
infarction events in primary care, hospital care, disease registry, and national mortality records: cohort study . BMJ 2013; 346 doi:
http://dx.doi.org/10.1136/bmj. f2350 (Published 21 May 2013)


医者の費用対効果も検証
パーキンソンの法則は役人だけに当てはまるものではないと、かねがね思っていたのだが、医者にも当てはまることが証明されたわけだ。
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ICU医師が夜勤しても患者転帰は改善せず/SUNSET-ICU試験

無作為化試験(SUNSET-ICU試験)の結果、裏付けのないまま広まっている集中治療室(ICU)医師夜勤と 患者転帰改善の関連は認められませんでした。潤沢なリソースを有する病院でのICU夜勤はリソースが少ない病 院から医師を奪っているかもしれず、今回の試験以外の環境での夜勤の妥当性の検討が必要と著者は言っています。

A Randomized Trial of Nighttime Physician Staffing in an Intensive Care Unit.
NEJM. May 20, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1302854
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1302854


検査も費用対効果を検証
合 衆国予防医療タスクフォース(USPSTF)による検証 は、アウトカム評価はしていますが、費用対効果まではやっていなかったような・・・
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英国NHS乳癌検診は無作為化試験による裏付けが必要

英国NICEの標準2万ポンド/QALYを基準とした場合NHSの乳癌検診プログラムが費用対効果的と判断されうる可能性は僅か45%とい う解析結果が発表されました。NHS乳癌検診プログラムを確固たる裏付けに基づくものとするには無作為化試験が早急に必要と著者は言っていま す。

Cost effectiveness of the NHS breast screening programme: life table model. BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f2618 (Published 9 May 2013)
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f2618


感度を落とさず特異度を改善する
なんてうまい話は、必ず眉唾と相場が決まっているのですが、どうやら例外もあるようです。代用エンドポイントの有用性向上という点でも、年齢 補正というのはすてきなアイディアのように思えます。
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年齢補正Dダイマー閾値で高齢成人VTE除外精度が改善しうる

年齢補正D-ダイマー閾値(age adjusted D-dimer cut-off value)を利用することで50歳以上高齢成人の静脈血栓塞栓症(VTE) 診断特異度が有意に改善しうることを示したメタ解析結果が発表されました。感度に影響を及ぼすことなく特異度が改善するという結果が得ら れ ています。

Diagnostic accuracy of conventional or age adjusted D-dimer cut-off valu
es in older patients with suspected venous thromboembolism: systematic r
eview and meta-analysis. BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bm
j.f2492 (Published 3 May 2013)
http://www.bmj.com/content/ 346/bmj.f2492


夢のある臨床試験
こういう試験こそ、やってみたいと思いませんか?
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アニメを使った教育的介入で小児蠕虫感染が減少/中国での試験
中国の38校の9-10歳小児が参加したクラスター無作為化試験の結果、アニメを利用した教育的介入で土壌介在蠕(Soil- transmitted helminth)感染がおよそ半減しました。蠕虫感染率は介入群では4.1%、対照群では8.4%でした(P<0.001)。
Health-Education Package to Prevent Worm Infections in Chinese Schoolchildren. N Engl J Med 2013; 368:1603-1612April 25, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1204885
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1204885

わかっ ちゃいるけど(というより、わかりたくない)
人は、自分の行動を正当化する情報しか受け取らないという好例です。検査を受けられるだけのお金と時間の余裕がある人にとっては、エビデンスなん て二の次で、それよりも、自分の不安を解消するために検査を受けるわけですよ。何千人・何万人もの人を集めたデータなんかより、自分の気持ちの方 がよっぽ と大切って思うでしょ、あなたも。
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USPSTFの推奨をよそに乳癌マンモグラフィー検診率は下がらず (Biotoday 2013-04-22)
 40歳以上の米国女性およそ28,000人を調べたところ、乳癌マンモグラフィー検診使用抑制を求める米国予防医療特別委員会 (USPSTF)ガイドライン発表後も検診率に有意な変化は認められていません。むしろ、マンモグラフィー検診率はすべての年代で非有意に僅かに 上昇して いました。

Mammography Rates Haven't Declined, Despite USPSTF Recommendations / Physican's First Watch
http://firstwatch.jwatch.org/cgi/content/full/2013/422/1

Trends in mammography screening rates after publication of the 2009 US Preventive Services Task Force recommendations. Cancer. Early View
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cncr.28105/abstract


生活習慣病対策としての不景気 (Biotoday 2013-04-11)
- 1980-2010年のキューバのデータによると、国民全体の体重変化と糖尿病や心血管疾患による死亡リスクが強く関連するようです。 国民全体の少しばかりの体重低下や体重増加の予防は糖尿病や心血管疾患などの非伝染病の予防に不可欠なようだと著者は言っています。
Population-wide weight loss and regain in relation to diabetes burden and cardiovascular mortality in Cuba 1980-2010: repeated cross sectional surveys and ecological comparison of secular trends. BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f1515 (Published 9 April 2013)

パーキンソン病におけるギャンブル依存症の説明
症例報告では、ドパミンアゴニストでの報告が多い印象がある。海外ではネット上のギャンブルが多いようだが、日本ではパチンコ依存症の報告が圧倒 的に多い。これは日本人パーキンソン病患者にとっては、パチンコが一番アクセスしやすいギャンブルだからだろう。
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レボドパで高齢者の報酬予想意思決定が改善しうる Biotoday 2013-03-26 -
パーキンソン病の治療に広く使用されているドパミン前駆体レボドパ(L-DOPA)で高齢者の老化に伴う報酬予想意思決定障害が解消しうることが 示されました。

報酬予想に寄与する脳領域の機能的磁気共鳴画像(fMRI)解析の結果、賭けゲームに強い高齢者はドパミン経路がより完全なのに対し、弱い 高齢者は 報酬予想シグナルを十分に発せれないという欠点を有していました。しかしそのような欠点がL-DOPAで解消しうることが示されています。

Parkinson's drug helps older people to make decisions / Eurekalert
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-03/wt-pdh032213.php

Dopamine restores reward prediction errors in old age. Nature Neuroscience (2013) doi:10.1038/nn.3364


症例数設定根拠
臨床研究教育の中で決定的に欠けているのが、この症例数設定根拠に関する議論である。
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大部分のプロトコールは症例数妥当性評価に必須の情報がない Biotoday 2013-3-26
英国の研究倫理委員会に提出された無作為化試験プロトコールを検討したところ、症例数決定(sample size determination)に関する情報はしばしば不十分で
あり、多くの場合、試験の仮定や症例数決定の妥当性は判断することができません。倫理レビュー段階で試験デザインをより重点的に評価することで試 験計画の欠陥をより早い段階で解消しうると著者は言っています。

Sample size determinations in original research protocols for randomised clinical trials submitted to UK research ethics committees: review. BMJ 2013;346doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f1135(Published 21 March 2013)
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f1135
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EBMの教材に:あなたならどう使いますか?
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居眠り防止にカフェイン製品を摂るトラック運転手は事故が少ない Biotoday 2013-3-20
コーヒー、エネルギードリンク、カフェインタブレットなどのカフェイン入り製品を眠くならないように摂取している長距離トラック運転手はそうして いない運転手に比べて事故を起こしにくいことがオーストラリアでの試験で示されました。包括的な疲労管理対策が重要なことはいうまでもないが、カ フェイン 入り製品は運転中の居眠り防止に役立ちそうだと著者は言っています。

Caffeine “can significantly protect against crash risk” for long distance heavy vehicle drivers
http://www.bmj.com/press-releases/2013/03/18/caffeine-%E2%80%9Ccan-significantly-protect-against-crash-risk%E2%80%9D-long-distance-heav
Truckers Plus Coffee Equals Safer Roads
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/DietNutrition/37968

Use of caffeinated substances and risk of crashes in long distance drivers of commercial vehicles: case-control study. BMJ2013;346doi:http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f1140(Published 19 March 2013)
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f1140
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「コンビニ受診」認定の難しさ
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救急科を出るときの診断に基づく非緊急患者同定は不可能なようだ (Biotoday 2013-3-20)

アメリカ疾病管理センター(CDC)のデータベースNHAMCSを解析したところ、救急科(ED)に来たときの主訴とEDを出るときの診断 (出ED 時診断)はあまり関連しておらず、EDに来たものの実際は緊急を要さなかった患者を出ED時診断に基づいて正確に同定することはできないよう です。

出ED時診断に基づいて非緊急とされた治療には保険支払いを制限/拒否することで救急科使用を抑制しようとする方針は問題だと著者はいって います。

..>関連ニュース
Presenting Health Complaints in Emergency Departments Often Similar
Between Cases Requiring Immediate Care or Deemed Non-Urgent
http://media.jamanetwork.com/news-item/presenting-health-complaints-in-emergency-departments-often-similar-between-cases-requiring-immediate-care-or-deemed-non-urgent/

..>関連文献
Comparison of Presenting Complaint vs Discharge Diagnosis for
Identifying “ Nonemergency” Emergency Department Visits. JAMA.
2013;309(11):1145-1153. doi:10.1001/jama.2013.1948.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1669818
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ステロイド注射はテニス肘の転帰悪化をもたらす 理学療法は無益 Biotoday 2013-02-06
無作為化試験の結果、外側上顆痛(lateral epicondylalgia;テニス肘)のステロイド注射治療は、短期的には痛み改善や関節機能改善をもたらしましたが、長期的には転帰悪化と関連しま した。また理学療法の有益効果も認められませんでした。

'Tennis Elbow' Therapies Fail in Trial / Medpagetoday

Effect of Corticosteroid Injection, Physiotherapy, or Both on Clinical Outcomes in Patients With Unilateral Lateral Epicondylalgia. A Randomized Controlled Trial. JAMA. 2013;309(5):461-469. doi:10.1001/jama.2013.129 .


まして況んやアミロイドをや
これだけよくわかっているmTOでさえこの体たらくです。まして、はるかにたくさんの未知の経路が関与しているアミロイドをや。 Escalation of Commitmentの典型例でしょう。
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mTOR経路活性化癌がmTOR経路に依存しているとは限らない Biotoday 2013-02-01

PI3K/AKT/mTOR経路の暴走が多くの癌で認められますが、そのような暴走を示している癌の生存や増殖はPI3K/AKT /mTOR経路に 必ず依存しているというわけではないことを示した試験結果が発表されました。この経路を阻害しても効かない癌では複数の経路が増殖や生存を支 持しており、 これらの経路が治療抵抗性に寄与しうると示唆されました。

Common Genetic Alteration Found in Head and Neck Cancers May Not be Key to Effective Treatment / American Association for Cancer Research
http://www.aacr.org/home/public--media/aacr-in-the-news.aspx?d=3017
Inhibition of Rapamycin-Induced AKT Activation Elicits Differential Antitumor Response in Head and Neck Cancers. Cancer Research.
Published OnlineFirst January 29, 2013; doi: 10.1158/0008-5472.CAN-12-2545


本物よりも偉い代用品
「代用」というと、一般社会では軽視されがちなのに、臨床試験の社会ではどういうわけか、しばしば本物よりも重要視される。
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代用エンドポイントが主要転帰の試験は治療効果が過大になりがち(Biotoday 2013-1-31)

代用エンドポイントを主要転帰としている試験は患者にとって重要なイベントを主要転帰としている試験に比べて治療効果が大きくなりがちであ ることを 示したメタ解析結果が発表されました。政策立案者は代理エンドポイントの有益効果や有害作用の予測能を疑ってかかる必要があると著者は言って います。

Comparison of treatment effect sizes associated with surrogate and final patient relevant outcomes in randomised controlled trials:
meta-epidemiological study. BMJ 2013; 346 doi:
http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f457 (Published 29 January 2013)
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f457
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喫煙の害:米国でもまだまだ
まして況んやわが国に於いておやですが、こういう話題の場合にも「グローバルスタンダード」の掛け声は、とんと聞かれません。どこかの知事さん も、率先してヘビースモーカーを止めて、オリンピックにふさわしい健康な都市としての東京をアピールしないと、誘致は難しいんじゃないでしょう か。
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喫煙は米国人の健康を依然として大いに蝕んでいる(Biotoday 2013-1-25)

米国人を代表する男女およそ20万人のサーベイによると、喫煙者は非喫煙者に比べて少なくとも10年寿命が短いが、40歳までに禁煙すれば 喫煙継続 した場合の過剰死亡リスクのおよそ90%が解消します。また、もう一つの米国試験によると、女性における喫煙関連疾患死リスクは1960年代 から上昇して おり、もはやそのリスクは男性と殆ど変わらなくなっています。
米国人の多くは喫煙を消え去り行くものと考えているかもしれないが、上記2試験によると、実際には喫煙は依然として米国人の健康に多大な負担 を強いているとエディトリアリストは言っています。

Smoking Deaths Now Equal in Women and Men

New Evidence That Cigarette Smoking Remains the Most Important Health Hazard. N Engl J Med 2013; 368:389-390January 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMe1213751

50-Year Trends in Smoking-Related Mortality in the United States. N Engl J Med 2013; 368:351-364January 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMsa1211127

21st-Century Hazards of Smoking and Benefits of Cessation in the United States. N Engl J Med 2013; 368:341-350January 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMsa1211128
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Not So Smart

黒色腫診断スマートフォンアプリに頼ると診断が遅れて害を被りうる (Biotoday 2013-01-22)

写真に基づいて皮膚病変の黒色腫リスクを評価するスマートフォンアプリ4種類の性能を調べた試験結果が発表されました。 試験の結果、検出感度は6.8?98.1%、特異度は30.4?93.7%でした。写真の自動解析ではなく皮膚科医による評価に基づいて結果 を知らせるアプリ(Application 4)の検出感度が最も優れていました。結論として、診療に代わる方法としてこれらのアプリケーションに頼ると黒色腫診断が遅れうると著者は 言っています。

関連ニュース
Smartphone Apps for Melanoma Detection Not So Smart / Physician's First Watch
参考文献
Diagnostic Inaccuracy of Smartphone Applications for Melanoma Detection. JAMA Dermatol. 2013;():1-4. doi:10.1001/jamadermatol.2013.2382


モニタリングの意義を検証する

治療介入でもなく、検査でもなく、モニタリングという介入の意義を検証するランダム化試験の、いいお手本になるのでは?
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経腸栄養患者の胃内液体量を測っても人工呼吸関連肺炎は防げず Biotoday 2013-01-16 -
挿管から36時間以内の経腸栄養人工呼吸患者449人が参加した無作為化試験の結果、胃内液体量(Residual Gastric Volume;胃残量)監視の人工呼吸器関連肺炎(VAP)抑制効果は認められませんでした。VAP発現率は胃残量監視群では16.7%、非監視群では 15.8%でした。

Absence of Monitoring of Stomach Fluid Volume for Patients on Ventilator and Feeding Tube Does Not Increase Risk of Pneumonia; May Improve Feeding / JAMA

Effect of Not Monitoring Residual Gastric Volume on Risk of Ventilator-Associated Pneumonia in Adults Receiving Mechanical Ventilation and Early Enteral Feeding. A Randomized Controlled Trial. JAMA. 2013;309(3):249-256. doi:10.1001/jama.2012.196377.
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退屈な仕事は創造性を高めうる(Biotoday 2013-01-10)
退屈な仕事は創造性を高めうることを示した試験結果が発表されました。読むだけとかミーティングに出席する等のより受身の退屈な仕事ほど創造性を より高めうるようです。
Being bored at work can make us more creative
http://www.alphagalileo.org/ViewItem.aspx?ItemId=127365&CultureCode=en
さもありなん。そもそも「創造性」は暇人の特権だから。 
まばたきの神経科学:自閉症・パーキ ンソン病・抗精神病薬との関連で」(2013/1/1)

Blink patterns may be a window into autistic mind
http://usatoday30.usatoday.com/news/health/medical/health/medical/pediatrics/story/2011-12-18/Blink-patterns-may-be-a-window-into-autistic-mind/52013730/1
↓(上記記事の元論文)
Inhibition of eye blinking reveals subjective perceptions of stimulus salience
http://www.pnas.org/content/early/2011/12/07/1109304108.full.pdf

↓(というのは,メルマガでこんな記事が載っていたからです)
瞬きはデフォルトモードネットワーク活性化して注意解放を促しうる Biotoday 2012-12-31 -
 まばたき(瞬き、瞬目)はつかの間のデフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode
Network;DMN)活性化によって注意の解放に能動的に寄与しうることを示した研究成果が発表されました。ビデオ閲覧時の瞬きは背側注 意ネットワークを不活性化、DMNを活性化しうるという結果が得られています。
Blink-related momentary activation of the default mode network while viewing videos
http://www.pnas.org/content/early/2012/12/19/1214804110.abstract.html

成人の場合では,パーキンソン病や抗精神病薬投与時に検討してみるということになるでしょう.


やっぱり墓石

実は、アミロイドが神経細胞死に伴う非特異的なゴミに過ぎない ことを支持する研究結果です。研究者本人達もそれがわかっていながらも、報道発表としてはこう言わざるを得ない。賢明な読者はそれを察してい るのです。
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「レヴィ小体病」脳萎縮の関連物質を特定- 放医研、認知症治療に可能性
キャリアブレイン 2012/12/10
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38772.html
 放射線医学総合研究所分子イメージング研究センターの島田斉研究員らの研究グループは、三大認知症の一つである「レヴィ小体病」の脳萎縮 に、ア ルツハイマー病発症の原因とみられる「アミロイド」と呼ばれるタンパク質の蓄積が関連していることを解明した。アルツハイマー病に対する新規 治療薬が、レ ヴィ小体病にも有効とみられることから、治療への寄与が期待できるという。
 認知症は、後天的な脳の障害で、知能の働きが低下し、物忘れや幻視などによって日常生活に支障を来す症状。65歳以上の高齢者の13人に1 人 が発症するとされている。レヴィ小体病は、認知症とパーキンソン病のような運動障害の両方が現れ、寝たきりになる可能性が高く、日本国内では 約60万人の 患者がいるという。アルツハイマー病は、アミロイドが蓄積することで、神経細胞が死んで脳が萎縮し、物忘れなどの症状が出ると考えられている が、レヴィ小 体病とアミロイドの関係は、これまでの研究では解明されていなかった。
 島田研究員と千葉大大学院医学研究院の桑原聡教授らの研究グループは、脳内のアミロイドの蓄積に着目。認知症を伴うレヴィ小体病患者15人 と アルツハイマー病患者13人、健常者17人を対象に、アミロイドと特異的に吸着する性質を持つPIBと呼ばれる薬剤を使ってPET(陽電子放 出断層画像 法)検査を行い、アミロイドの脳内蓄積を測定して各群を比較した。
 その結果、レヴィ小体病患者の40%と、すべてのアルツハイマー病患者で、脳内へのアミロイドの蓄積を確認。レヴィ小体病患者の蓄積群で は、 脳内のアミロイド分布はアルツハイマー病の分布と類似していた。また、健常者と比べると、アルツハイマー病とアミロイド蓄積が認められる認知 症を伴うレ ヴィ小体病患者では、側頭葉や頭頂葉に脳萎縮が確認された一方、アミロイド蓄積を認めない群では、脳萎縮が認められなかったという。
 アルツハイマー病に対するアミロイドを取り除く新規治療薬が、認知症を伴うレヴィ小体病でも有効であり得ることを、今回の研究結果が示して い ることから、研究グループは「近い将来、分子イメージング技術による病態の詳細な評価が、個々の患者の治療戦略を左右するテーラーメード治療 (個々人に対 する最も効果的な治療)の実現に寄与する可能性もある」としている。


自分自身を騙すのは難しいことではない
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赤ちゃんが道徳観を持つことを示唆した研究成果は疑わしい Biotoday2012-08-17
人の善悪を判断しうる道徳観を生後6ヶ月もの幼い時から身に着けうることを示した2007年のNature報告の信憑性を揺るがす研究成果が発表 されました。新たな研究によると、2007年発表の結果は他人との関わりに基づく人物評価能によるものではなく、単に幼子の好みに由来しているよ うです。
Babies may not have a 'moral compass' after all
Social Evaluation or Simple Association? Simple Associations May Explain Moral Reasoning in Infants
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Natureに論文を発表したYale大学の研究者達も、マタタビを仕込んだ紙に書いた手紙と普通の紙に書いた手紙をはっきり区別する猫を 見せられ ても、「この猫は字が読める」とは思わないだろうが、ウルトラマンのビデオを見せられた赤ん坊が、常にレッドキングではなく、ウルトラマンを 選んだ実験結 果を見て、「赤ん坊でも正義は理解できる」と、大喜びでNatureに投稿して、こともあろうに、レフェリーも興奮してしまって、それがアク セプトされて しまったわけだ。ウルトラマンだけでなく、ゴジラ対モスラも見せればよかったのにと思うのは後知恵かもしれない。科学なんて、同じような喜劇 の繰り返しの 積み重ねに過ぎないのだから。


HDLコレステロール再考
Plasma HDL cholesterol and risk of myocardial infarction: a mendelian randomisation study. Lancet 2012; 380: 572-80
HDLコレステロールを上げる薬の開発の根拠は,HDLコレステロールが高い人は心血管イベントが少ないという観察研究だが,その観察研究のエビ デンスはどのくらい頑健なのだろうか?この論文では,mendilian randomisationの手法を用いて,少なくともHDLコレステロールが遺伝的に高いことは心血管イベントの減少とは関係ないことを示している. (一方でポジティブコントロールとしてLDLコレステロールが遺伝的に高いことは心血管イベントの上昇につながることもしっかり示してい る) 

認知行動療法の公衆衛生学的意義

全死亡のリスク上昇は自殺に引っ張られているわけではなく、心血管死や癌による死亡にも影響が明確に出ています。介入のリスク・ベネフィッ トバランスを考えれば、認知行動療法の公衆衛生学的意義・エビデンスは、(抗うつ薬とは異なり)、検証の必要がないくらい明らかです。

不安やうつ症状を有する人は死亡リスクが高い/英国での試験(Biotoday 2012-08-02)
英国イングランドの35歳以上の一般人68,000人超の試験の結果、不安・うつ・社交機能不全・自信喪失症状を把握する評価スケール GHQ-12に基づく精神的苦痛(psychological distress)の程度が高いことと死亡リスク上昇が関連しました。精神的苦痛の治療によって死亡リスクが低下しうるかどうかを調べる必要 があると著者は言っています。

Mild mental health problems linked to increased risk of death

Association between psychological distress and mortality: individual participant pooled analysis of 10 prospective cohort studies. BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e4933 (Published 31 July 2012)
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95%は「適応外」
私がこの報告を見て思ったのは,薬の素晴らしさではなく,現実世界の厳しさでした.なぜなら,試験組み入れ可能性が検討された2768人中, ラン ダム化試験に組み入れ可能と判断されたのは127人(4.6%)つまり20人に1人だったからです.(ちなみに実際にランダム化試験に組み入 れられたのは たったの75人(2.7%)でした.後の52人はランダム化試験の手前でアルテプラーゼないしは血管内治療を受けました)
20人に1人というのは,虚血性脳卒中の中でアルテプラーゼの適応となる割合と同じなので,決して荒唐無稽な数字ではなく,極めて「現実的 な」 数字です.つまり虚血性脳卒中の患者の95%は血栓溶解療法の適応がない=リスク・ベネフィットバランスがプラセボより悪い可能性が高い(何 しろアルテプ ラーゼはプラセボ対照試験でしたから)という現実は,未だ行われていない検証的試験が目出度く終わってこの「新薬」が承認されたところで,何 ら変わること はありません.
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虚血性脳卒中のテネクテプラーゼ治療がtPAに勝利/後期第2相試験(Bio-today 2012-03-26)

急性虚血性脳卒中患者75人が参加した後期第2相試験の結果、遺伝的加工を施した組織プラスミノーゲンアクチベーター血栓溶解剤 TNKase(テネクテプラーゼ、tenecteplase)の血流再開や臨床転帰改善効果がtAP(alteplase、アルテプラーゼ) を有意に上回 りました。頭蓋内出血やその他の重大有害事象は両群で有意差ありませんでした。

TNKase Tops Activase for Ischemic Stroke
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Strokes/31759

A Randomized Trial of Tenecteplase versus Alteplase for Acute Ischemic Stroke. N Engl J Med 2012; 366:1099-1107March 22, 2012
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1109842
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信じる者は救われる?
これだけはっきりした数字が出ているということは、その人の健康関連行動の結果が、自己の健康状態の認知となって表現され、しかもそれが一時 的なものではなくて、将来にわたって継続することを示しているのでしょう。
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健康状態の自己評価が良い人ほど長生きし、悪い人ほど早死にする(Bio-today 2012-02-13)
自己評価健康状態(self-rated health)がその程度に応じて死亡リスクの上昇または低下と関連することを示した試験結果が発表されました。
健康状態を非常に悪い(very
poor)と申告した男性と女性は、最高(excellent)と申告した男性と女性に比べて死亡リスクがそれぞれ3.3倍と1.9倍高いと いう結果が得られています。

関連ニュース
Tell me how you are -- and I know how long you will live / Eurekalert

参考文献
Health Risk or Resource? Gradual and Independent Association between Self-Rated Health and Mortality Persists Over 30 Years. PLoS ONE 7(2):
e30795. doi:10.1371/journal.pone.0030795
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2011/8/23:常識
肺癌検診の診断法の吟味の際に,対象者に肺癌患者を組み入れることはない.常識で考えればの話だが.問題は同じ常識がうつ病検診ツールの試験 で通 用するかどうかだ.うつ病検診ツールの診断精度について報告している17の系統的レビュー/メタ解析で評価された197試験を調査したとこ ろ、既にうつ病 と診断されている患者やうつ病治療を受けている患者を除外していた試験は僅か8つ(4%)のみだったという.
Risk of bias from inclusion of patients who already have diagnosis of or are undergoing treatment for depression in diagnostic accuracy studies of screening tools for depression: systematic review. BMJ 2011; 343:d4825 doi: 10.1136/bmj.d4825 (Published 18 August 2011)

2011/8/1
Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death, and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials BMJ 2011;343:d4169 doi: 10.1136/bmj.d4169
結論は「わからない」。結局、血糖を下げすぎることのリスクと、糖尿病による死亡や合併症を減らすベネフィットとのバランスの最適化点が不明 だっ てことです。だから「さらなる研究の積み重ねが必要だ」って、いつもの結論なんですが、誰の目にもあきらかなのは、「これだけ散々やって、差 が出ないのだ から、御利益があるとしても極めて小さい。だから、あんまりしゃかりきにやってもしょーがない」ってことです。

Sensitivity of computed tomography performed within six hours of onset of headache for diagnosis of subarachnoid haemorrhage: prospective cohort study. BMJ 2011;343:d4277 doi: 10.1136/bmj.d4277
Conclusion Modern third generation computed tomography is extremely sensitive in identifying subarachnoid haemorrhage when it is carried out within six hours of headache onset and interpreted by a qualified radiologist.
わかりますけど、この6時間以内に、interpreted by a qualified radiologistってのが、すんなり実現できれば苦労はないんでして。あと、「最悪の頭痛」で感度7.7%というのを低いと取るか高いと取るかは? あなたはどちらでしょうか?

2011/2/28
The angiotensin-receptor blocker candesartan for treatment of acute stroke (SCAST): a randomised, placebo-controlled, double-blind trial. Lancet 2011; 377: 741-50
There was no indication that careful blood-pressure lowering treatment with the angiotensin-receptor
blocker candesartan is benefi cial in patients with acute stroke and raised blood pressure. If anything, the evidence
suggested a harmful eff ect.
性懲りもなく、脳卒中の急性期に降圧剤のランダム化試験です。いい加減やめときゃいいのに。それも、脳梗塞と脳出血を混ぜてやっちまってい る。こ んな馬鹿げた試験の被験者になんか、私は絶対なりたくないです。案の定、カンデサルタンを使った方が悪い結果が出ている。一つだけ興味を惹い たのは、カン デサルタンによる悪化が、脳梗塞よりも脳出血の方に、より強く出ていること。

2011/2/7
vCJDの血液診断
Detection of prion infection in variant Creutzfeldt-Jakob disease: a blood-based assay Lancet 2011; 377: 487-93
(髄液ではなく)全血サンプルを使い、上記の暫定的な検討では、感度71.4%、特異度100%だそうです。

CRPやっぱり当てにならない
C-reactive protein concentration and the vascular benefi ts of statin therapy: an analysis of 20 536 patients in the Heart Protection Study. Lancet 2011; 377: 469-76
以前から、眉唾だと思っていましたが、やはりという感じ。Evidence from this large-scale randomised trial does not lend support to the hypothesis that baseline
CRP concentration modifi es the vascular benefi ts of statin therapy materially.

2011/1/31
Effects of vitamin D supplementation on bone density in healthy children: systematic review and meta-analysis. BMJ 2011;342:c7254
医薬品としてのビタミンDの有効性が立証されなかったとなると、「骨を丈夫にするためにカルシウムを多く含む食品を」なんてキャンペーンも子 どもにはエビデンスがないってことか・・
It is unlikely that vitamin D supplements are beneficial in children and adolescents with normalvitamin D levels.

Monitoring adherence to drug treatment by using change in cholesterol concentration: secondary analysis of trial data. BMJ 2011;342:d12
スタチンの臨床試験をやる時にLDLコレステロールをモニタリングしていれば盲検が破れてしまうことがしばしば問題になって、だからこそ PROBE法によるアウトカム評価の正当化の根拠になったりするのですが、皮肉なことにあんまり当てにならないようですね。
Results of monitoring should be considered as no more than an adjunct to careful discussion with patients about adherence.

Use of non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of Parkinson’s disease: nested case-control study.BMJ 2011;342:d198
NSAIDsがパーキンソン病の予防薬となる可能性は今回の検討では見いだせず、交絡因子の存在が示唆された。エビデンスこそないけれでも、 パー キンソン病の患者さんは、発症前から不定愁訴の多い傾向があるというのが、神経内科医の間の共通認識である。アルツハイマー病の予防に NSAIDsなんて のも、同じことなんじゃないだろうか。
The positive associations observed between NSAID use and Parkinson’s disease might have been due to confounding by indication as the use was clustered in the few yearsbefore disease diagnosis.

2011/1/24
Non-invasive prenatal assessment of trisomy 21 by multiplexed maternal plasma DNA sequencing: large scale validity study. BMJ 2011;342:c7401
羊水穿刺とか絨毛採取とか、侵襲性の高い検査を98%避けられるとしたら大変な進歩ですが、trisomy 21に対する人間の行動を変容させることにもなりますので、倫理的な論議の呼び水ともなるでしょう。about 98% of the invasive diagnostic procedures could be avoided.

Aliskiren and the calcium channel blocker amlodipine combination as an initial treatment strategy for hypertension control (ACCELERATE): a randomised, parallel-group trial. Lancet 2011; 377: 312-320
今に始まったことではありませんが、ランセットは完全に製薬企業の宣伝ビラと化しています。降圧剤の単剤と配合剤を比べたら、配合剤の方が血 圧が よく下がった という、小学生にもよくわかるデザインと結果が載っているだけです。今時、日本の商業誌にも恥ずかしくて載せられないような内 容の論文で す。こんな宣伝ビラばかり載せる雑誌のインパクトファクターがなぜ馬鹿高いまま(30.76と自慢しています)なのか?実はトムソン・ロイ ターはインパク トファクターの具体的な算出方法について明らかにしていません。
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20100701/1278015869
それだけ後ろめたい数字だということです。このようなイカサマが長続きするかどうかはインパクトファクターの信者の行動如何にかかっていま す。

2011/1/17
Cardiovascular safety of non-steroidal anti-inflammatory drugs: network meta-analysis BMJ 2011;342:c7086
特に今までと変わった結論が得られたわけではありません。要はNSAIDsが大腸癌予防やアルツハイマー予防に効くなんて馬鹿げた妄想にとら われて飲み続けるようなアホなことはやらないようにというだけです。Although uncertainty remains, little evidence exists to suggest that any of the investigated drugs are safe in cardiovascular terms.

Frequency and reasons for outcome reporting bias in clinical trials: interviews with trialists. BMJ 2010;341:c7153
研究者への電話インタビュー(論文読んでないけど(^^;)、構造化面接に準じたものでしょう)という方法を採用した論文というのもなかなか いいものですね。結果ばかりではなくて、プロトコールの変更まで踏み込んだ点も評価したいところ。