HAMにポテリジオは効くか?
探索的試験の段階での、代用エンドポイントに対する有効性の報告である。ATLに対するよりも、用量がはるかに少なくなっているのは(*)、Infusion
reactionやStevens-Johnsonの発現を懸念しているからと思われるが、検証的試験に進むに当たっての最大の懸念は、果たしてこの用量で臨床的有効性が発揮できるのか?という点だろう。
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HTLV-1感染による脊髄症患者に抗CCR4抗体mogamulizumabが有効/Ph1-2a試験 2018/2/13
研究者主導のPh1-2a試験の結果、CCR4+T細胞に主に感染するヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)によって生じ、多発性硬化症(MS)に似た進行性の骨髄症状や慢性脊髄炎症を呈する脊髄症(HAM-TSP)患者の神経機能が協和発酵キリンの抗CCR4抗体mogamulizumabで有意に改善しました。また、mogamulizumabでHTLV-1感染細胞が減少し、脳脊髄液(CSF)の炎症指標のレベルが低下しました。主な副作用として軽度の発疹が認められました。
Mogamulizumab (Anti-CCR4) in HTLV-1-Associated Myelopathy. N Engl J Med 2018; 378:529-538
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*論文要約は下記のような投与プロトコールとなっている。一方、ATLに対する用量は、1回量1mg/kgを1週間間隔で8回点滴静注だから、少なくともこの探索的試験でのHAMに対する用量はATLの場合に比べて桁違いに低いことになる。
In the phase 1 dose-escalation study, 21 patients received a single infusion of mogamulizumab (at doses of 0.003 mg per kilogram of body weight, 0.01 mg per kilogram, 0.03 mg per kilogram, 0.1 mg per kilogram, or 0.3 mg per kilogram) and were observed for 85 days. Of those patients, 19 continued on to the phase 2a study and received infusions, over a period of 24 weeks, of 0.003 mg per kilogram, 0.01 mg per kilogram, or 0.03 mg per kilogram at 8-week intervals or infusions of 0.1 mg per kilogram or 0.3 mg per kilogram at 12-week intervals.
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抗がん剤、薄めて使うと…神経難病「HAM」にも治療効果 読売新聞 2018年2月21日
ウイルス感染が原因の血液がん「成人T細胞白血病(ATL)」用の抗がん剤が、同じウイルスが引き起こす神経難病にも大きな治療効果を示した、と聖マリアンナ医科大学教授の山野嘉久さん(神経内科)らの研究グループが発表した。論文は米医学誌に掲載された。
このウイルスは「ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV―1)」で、母乳などから感染する。国内の感染者は推計100万人以上おり、5%がATL、0・3%が神経難病「HTLV―1関連脊髄症(HAM)」になるとされる。HAMは、ウイルスが脊髄で炎症を起こして神経を傷つけ、両足まひ、頻尿などが起きる病気。
ATLに対し、ウイルスに感染したがん細胞を攻撃する分子標的薬「ポテリジオ」(商品名)が2012年に登場し、研究グループはHAMへの応用を検討。安全性を考えて、がん治療時の1000分の3~10分の3に薄めて、21人に点滴する臨床試験(治験)を行った。
その結果、重い副作用はなく、高濃度なほど血中のウイルス量が減り、脊髄の炎症を抑えられた。血液の感染の程度が症状に関わっていることが分かった。
また、ATLになる前段階のウイルス感染細胞を減らす効果も確認された。山野さんは「HAMの画期的治療法の発見だけでなく、ATLの予防にもつながるかもしれない」と話す。ATLに詳しい今村総合病院長の宇都宮 與あたえ さん(血液内科)の話「HAMの仕組みを明らかにし、治療の切り口を切り開いた点が非常に画期的。この成果をベースにATLの発病予防についても血液、神経、ウイルスの専門家が連携して研究を進めていくべきだ」
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→参考:ポテリジオ添付文書
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