私はかつて一酸化窒素(NO)の研究をしていた。NOに関する研究論文も英文だけで7本ある。あの頃は、脳卒中や敗血症の治療薬候補として、NO合成酵素(NOS)阻害薬が有望と考えられていて、世界中で競争して研究していたものだ。しかし、今や誰もいなくなった。

廃線となった鉄道を訪ねる人がいるのなら、オシャカになった新薬候補の開発の歴史を丹念に調べるのは、さらに意義のある話ではないのだろうか。仕事の独創性は自動的に担保されている。誰もそんなことはやらないだろうから。

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