アステラス除名
ーその背景にあるものは?ー
アステラス製薬が重大なコンプライアンス違反で英国製薬協会から1年間除名の処分を受けました.同社製品であるエンザルタミド(enzalutamide 効能効果は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)(*)。承認はFDA2012年8月、欧州2013年6月、日本2014年3月)のプロモーションに関するスキャンダルがその原因です。以下,2016.6.30現在の私の見解を交えての解説です.
問題となったのは2014年2月に、ミラノ(!)にUKのお医者さんを100人も集めて行われた「勉強会」です。この勉強会については、まず、参加したお医者さんから「UKの医者を100人もミラノに集めて適用外使用(*)のプロモーションやってる」という匿名通報があり、ABPIの担当委員会PMCPA:Prescription Medicines Code of Practice Authorityが調査して、この時は、アステラス(Astellas Pharma EMEA Headquarters or Astellas UKのどちらか?)がごめんなさいと言って一旦は丸く収まったかのように見えたのですが、その後、今度はアステラス内部から告発が寄せられたのです。その内容は以下の通り。
●幹部が社内でPMCPAの調査と処分を強く非難した.
●ミラノの勉強会に集めた100人の医者は、専門家を学術的な基準で選んだと結果だいうのは真っ赤な嘘で、「医師免許を持った営業社員」という基準で選んだ.
この2回目の通報内容がABPI/PMPCAの逆鱗に触れたようです。
* 以下,私の個人的な見解:日米欧間にある効能効果の違いがこれほどまでに無理なプロモーションと嘘につながったのではないかと思われます。できれば日米欧の審査報告書を読み比べてみたいところですが、さすがにそこまでは時間がありませんので後日。
●日本は効能効果は「去勢抵抗性前立腺癌」と非常にあっさりしています(用法及び用量に関連する使用上の注意には外科的又は内科的去勢術と併用しない場合の有効性及び安全性は確立していないと書いてはありますが)
●FDAの効能効果もほぼ日本と同様.metastatic castration-resistant prostate cancer (CRPC)と、転移性との接頭語がついていますが、去勢以外の既存治療との関係は明記されていません。つまり日本もFDAも化学療法ではファーストラインとして使えることになります。
●一方英国の添文では、私のような素人が混乱するほどの縛りがついて、ファーストラインとして。
4.1 Therapeutic indications
Xtandi is indicated for:
• the treatment of adult men with metastatic castration-resistant prostate cancer who are asymptomatic or mildly symptomatic after failure of androgen deprivation therapy in whom chemotherapy is not yet clinically indicated (see section 5.1)
• the treatment of adult men with metastatic castration-resistant prostate cancer whose disease has progressed on or after docetaxel therapy.
以上は私池田の見解(2016.6.30現在)
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大層な嘘をついたアステラス製薬を英国製薬協会が1年間除名 BioTodayニュースレター 2016年6月28日
医師向けの会議の目的を偽り、その説明を求めた時に重要な情報を隠すという大層な嘘(deception on a grand
scale)をついたアステラス製薬を6月24日から1年間除名すると英国製薬協会ABPIが発表しました。アステラス製薬はこの処分を受け入れ、再発防
止対策を講じるとABPIは言っています。
Astellas suspended from UK pharma trade group for ‘deception on a grand scale
Astellas UK: Suspended from membership of the ABPI
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アステラス社、大層な欺瞞によって英国製薬工業協会(ABPI)を1年間除名処分
Astellas suspended from UK pharma trade group for ‘deception on a grand scale’ / statnews JUNE 24, 2016 By ED SILVERMAN @Pharmalot
アステラス社が医師のために会合を開いた理由を説明するように求められた際に、本当の理由を隠蔽して、重役たちが真の目的を偽装して、重要な情報の発表を控えたことが発覚したため、通常と異なる手順で、英国製薬産業協会(ABPI)は、アステラス社を1年間の会員除名処分とすることにしました。
「この制度には欠陥がありました」と英国製薬工業協会(ABPI)の監視部門は41ページにわたる報告書にて厳しい論調で結論付けました。
「今回のケースは、これまで委員会が検討しなければならなかった事案の中で最悪の事態であり、アステラスヨーロッパの上位の管理職たちがついていた嘘と偽装の内容は途方もないものでショッキングなものでした」
今回の除名処分は、イギリスにあるアステラス社の部門がミラノで2014年2月に100人以上の医師を集めた会議に原因があります。
アステラス社は前立腺癌についてアドバイスを得るために教育イベントを開催したとして計上していましたが、実際はよりプロモーションの内容を含むもので、より一層Xtandiを多く処方してくれる医師になってもらうように医師に言い寄るような内容でした。
参加した医師の一名が、匿名で業界の活動のガイドラインを自発的に監視している英国製薬工業協会(ABPI)の英国製薬工業協会マーケティングコード監視機構(PMCPA:Prrescription Medicines Code of Practice Authority)に匿名で、その会合ではPMCPAによって承認されていないXtandiの適応について討論したものであったと申し立てを行いました。この医師はアステラスにも「アステラスはこの会議に呼ばれた理由に誠実(truthful)ではない」とクレームをつけました。
この申し立てはPMCPAを調査に駆り立てました。PMCPAは後日、医師たちが合法的なアドバイザリーボードミーティングに参加すると信じて参加していたこと、また参加人数が報告書に記載されていなかったにもかかわらず支払いを受けていたことを調査によって発見しました。
この初期の調査結果を元に、PMCPAはアステラスの調査にかかりました。アステラス社は後悔しておりこういった行いについて改善を行うと誓約しました。
しかし、別の形で問題が再燃しました。(But then, another shoe dropped.)
アステラス社の社員が匿名で、後日、この件についての会議に出席したところ、アステラスの幹部社員が「非常に軽蔑的なふるまい」でこの事件について討論していたことを申し立てをしました。
この申し立てはPMCPAをさらに新たな調査に駆り立てました。PMCPAに対しての最初の申し開きで、その場においてどのような情報が提供され、どのようなことが起きていたか関連する情報を、重役たちがすべて説明しなかったということがさらに発覚したのでした。
「PMCPAに行った説明には故意によるミスを多く含んでおり、まぎらわしいものでした」とPMCPAは報告書に述べていました。「この事件を検討していたPMCPAの会議は、アステラス・ヨーロッパの幹部社員がこの件について欺くような試みをしたことによって驚愕と嫌悪感がもたらされました。これは本当にショッキングな状況でした」
「PMCPAの委員会は、アステラスヨーロッパ社とアステラスUK社の行為についてひどく懸念をもち、失望をしました。自己規制の誠実性は製薬企業による正確で完璧な情報の提供に依存しています。提出された情報の紛らわしさとかかわるすべての情報提供に対する怠慢が、、、高い標準を保たれていなかったことを意味します。この状況は、製薬業界への不信と信頼性の低下をもたらしました。
この調査報告書は、まさに製薬企業とプロモーション活動(一部の製薬企業に自主的なガイドラインの制定を促した問題)についての詳細な調査が進行中の中で出てきました。
しかし、ABPIが会員企業の除名処分をしたことはきわめてまれなことです。2006年から2008年の間にロッシュ社、メルク社、アボット社が違反のために短期の間、行われていました。
アステラス広報担当者はABPIの主張に対して、「アステラスは、英国製薬工業協会(ABPI)の英国製薬工業協会マーケティングコード監視機構(PMCPA)からの書簡と精神を非常に深刻に受け止めており、これを支持する責務を負います。また、ABPIのマネジメント委員会の決定を完全に受け入れます」「アステラス社は、ABPIの会員に復帰するためのAPLに必要なコンプライアンスの基準を達成することを約束します」と述べました。
この結果、PMCPAは、ロンドンに本社をおくアステラスヨーロッパにおいて、自社の監査の結果、幹部社員の数人が入れ替えられた点について言及しました。
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