医学生とのメールのやりとりで,肺炎の治療指標をどうするかという話題での私の書き込みから.
検査所見ではなく、食欲とか、ベッドの上で起きあがっていられる時間とか、”よくなった”と患者さんも医者も実感できる指標はどうですか。実際に病棟で働いてみればわかることですが、いくらCRPが低下しても、患者さんの食欲が回復しなければ、笑顔を見せてくれなければ、どこかおかしいと思うでしょ。逆に、胸部レ線で影が残っていたって、患者さんがご飯をもりもり食べてくれれば、陰影の回復は遅れるものだという教科書の記載に納得できるものです。
感冒(インフルエンザだったかな?)治療の臨床試験で、主要評価指標を”職場復帰”にしていたNEJMの論文がありましたっけ。ホルモン補充療法では,コレステロールの値が下がるので,心臓血管死も減ると思い込んでいたのが,とんでもない間違いで,逆に心臓血管死が増えることがわかって大騒ぎになったのは記憶に新しいところです.私は、今は臨床試験の吟味を仕事にしていますが、どんな大規模な臨床試験であっても、患者さんの利益に直接結びつく指標を設定することが大切だと、現場を経験した人間として、つくづく感じます。