食べさせるべきか否か

重症児施設では,嚥下障害を持っている人が多い.嚥下に問題ない人の方が少ないだろう.当然,誤嚥による肺炎や窒息の危険性も高い.しかし,口から物を食べるというのは最も基本的な生活活動だ.移動や会話がまったくできない人に唯一残された人間らしい活動が食べること,そういう場合が多い.スタッフは日常様々な工夫をしながら食べさせている.

しかし,どんなに注意してもリスクはゼロにはできない.誤嚥性肺炎が起きることがある.こんな患者に何で食べさせるんだと非難するのはやさしい.でも,もし,嚥下障害のあるすべての人に経鼻胃管を入れてしまったら,重症児施設はチューブだらけの経管栄養消費牧場になる.そのような悪夢を避けるために,スタッフは今日も悪戦苦闘している.

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