これがほんとのreal world
−診断用機器・検査にこそ,real world data/evidenceを!!−

プロカルシトニンの実臨床におけるRCT誤用に「喝!」の観察研究

RCT/メタアナリシスによる頑健なエビデンス→ガイドラインも推奨→不適正使用(プロカルシトニンの場合には濫用と言っていい)→「リアルワールド」ではRCTで見られたベネフィットが消失して患者はリスクだけを被る.

上記記事を読むと、特に敗血症のバイオマーカーとしてのプロカルシトニンの有用性を検証したRCTは、いずれもプロカルシトニン(1回の測定で310点=3100円)を毎日測定するなど、外的妥当性が欠如した=実行可能性がきわめて低い=リアルワールドでは非現実的なプロトコールとなっていることがわかる。これでは、不適正使用によって有用性を失わせるだけでなく、患者に健康被害を与える可能性すらある。

治療用医薬品の場合には,直接の副作用として健康被害を検出できる.一方,診断機器・検査の場合には,検査結果とアウトカムの間に,医師の判断が介在する.「リアルワールド」で当該検査を行う医師の多くは,特に身体侵襲性の少ない検査に対して肯定的な「印象」を持っている.そのような医師が,偽陽性を真の陽性と誤認すれば→誤診→誤った治療→健康被害に直結する.例えば,MRI上の陳旧性の脳梗塞を昏睡の原因と誤認して低血糖を見逃すとか.

診断用機器・検査にこそ,real world data/evidenceが必要な所以である.

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