「高度でない先進医療」は,エビデンスが確立した治療よりもはるかにリスク・ベネフィットの判断が難しいはずだ.”先進医療専門家会議”とやらが,そのような難しい判断ができるのであれば,海外ではエビデンスが確立している未承認薬のリスク・ベネフィットの判断なんか朝飯前でしょう.わざわざ”頑迷で審査がのろい”総合機構が出しゃばる幕ではありますまい.
下記の記事が意味するところは次のとおりである.
保険適応なしで自分で好んでお金を払って治療を受けて事故が起こっても,そこはそれ,診療側と患者側がそれぞれ自己責任を負えばいいことで,その治療法のリスク・ベネフィットの判断は”先進医療専門家会議”にお任せする.そこにチーム審査による治療法の科学的吟味なんか入り込む余地はない.だから,PMDAの判断も一切不用.
一方,いかがわしい「高度でない先進医療」と違って,未承認薬の場合には,どんなにエビデンスが確立しているものでも,公的資金を投入して(保険適応にして)おおっぴらにやるものには言い訳が要求されるから,PMDAにその言い訳を書類を作らせて,承認後ヤバイ事が起こった場合にもPMDAに責任を負わせようというドライブが働く.
本来なら,PMDAの使命は,「高度でない先進医療」のような,リスク・ベネフィットの判断が難しい品目の審査である.一方,未承認薬に保険料を使うかどうかの説明は,海外のエビデンスをよくご存知の”専門家の先生方”(ただコクランの検索と日本語訳をつくるだけなんだから,別に医学生のバイトでもいいんだが)がやればよろしい.なのに現実は,全く逆であり,科学的審査名の下に,PMDAが銭勘定の下請けをやらされている.完全な本末転倒,ミスマッチ,人的資源の無駄遣いもいいところだ.
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2005年06月27日(月) 情報提供:(株)じほう
厚労省「先進医療専門家会議」
「高度でない先進医療」の届け出要件まとまる
高度でない先進医療(自由診療)と保険診療を併用する場合の実施要件などを検討してきた厚生労働省の「先進医療専門家会議」(座長=猿田享男・慶應義塾大名誉教授)は23日、実施する際の届け出様式や技術に対する評価基準をまとめた。6月末までに公表し、7月から地方社会保険事務局を通じて受け付けを開始する。申請書類の基本項目を省内で精査したうえで、8月から専門家による個別案件の審査を行う予定。
同日の会議でまとまったのは、
(1)届け出のあった先進医療に対する評価基準(先進技術としての適格性、実施医療機関としての適格性)
(2)先進医療の届け出様式(新規・既存)
― など。評価基準には、既存技術を上回る先進性や有効性だけでなく、期待される効果と危険性のバランス、保険診療としての有効性について検討を加える必要性
― など7つの要件が盛り込まれた。
一方、医療機関の施設要件では、医療従事者の配置状況、緊急手術の実施体制や倫理委員会による審査体制、医療安全管理委員会の設置などの項目を設けたほか、患者容態急変時などに対応できる他の医療機関との連携体制の必要性も盛り込んだ。また、実質的にその技術の責任を担う医師の要件として、専門医資格の必要性の有無や先進医療技術の経験年数、経験症例数などを項目に入れた。
新規技術の届け出については、技術の説明書類やこれまでの実施実績、有効性とその有効性を判断するための文献リスト、当該医療にかかる概算費用とその積算根拠、技術を実施する上で必要になる人員、設備--など11種類の書類を提出する。
これらの届け出書類がすべてそろっているかなど、厚労省保険局医療課が確認し、その後、先進医療専門家会議の各診療科委員による事前の書類審査が行われる。先進医療専門家会議が有効性や安全性の確認、医療技術ごとの要件設定といった科学的評価を行い、その結果をもとに、最終的に尾辻秀久厚生労働相が実施の可否や、実施する場合の施設基準を判断する。
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