動脈硬化性疾患の国際共同試験でしばしば問題となる民族差に関する論文。
Differences in risk factors, atherosclerosis, and cardiovascular disease between ethnic groups in Canada: the Study of Health Assessment and Risk in Ethnic groups (SHARE).Lancet 2000; 356:279-284
しばしば問題になる頸動脈狭窄の民族差の基礎になるデータが載っている.The European group had the greatest mean maximum IMT (0.75 [0.16] mm), the Chinese had the lowest (0.69 [0.16]; p=0.0001)
一見あまり差はなさそうに見えるけど、個人差が少ない測定値で、これだけの人数で測定して、p=0?0001という数字が出てくるのだから、非常に頑健なデータで、民族差があるのは議論の余地がない。
もう一つの添付図は、この号のCommentary searching for answers to ethnic disparities in cardiovascular riskから拝借してきたもので、よく言われる心臓イベントの民族差をよく表している図だと思ったので、おまけにつけておいた。これからの時代、心血管イベントをハードエンドポイントにして臨床試験をやるなら北欧よりも東欧かな。
この図を見ると、改めて、国際共同治験って、そもそもイベントが起こる比率がけた違いに違う集団に対して、同じ用法・用量で試験して、一体何のためにやってるんだかって気になるわな。承認後も、国民によって、受けるベネフィットの大きさが違うことになるし。
動脈硬化性疾患の民族差に関しては,The Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA)から出ている多くの論文も大いに参考になる.→MESA publication list