謎の能天気

藤原さんの指摘を待つまでもなく,以下のような現実は誰の目にも明らかである.

●そもそも臨床研究とは研究者の責任においてなされるべきものであって,役人が責任を持つわけではない.
●臨床研究法とは,あくまで臨床研究の質の向上を目指したものであって,薬機法の対象となる治験とは全く別物.
●(医師主導も含めた)治験は,役人がコミットする薬機法で定められている.「特定臨床研究のデータを医薬品の承認申請資料として利活用する」と厚労省の誰かが言ったとしても,その言葉一つで薬機法が変わるわけではない.
●実際に,特定臨床研究の申請手続きが=治験届けになったわけではない.
●治験についてはPMDAが積極的に相談に乗るし,GMP/GCPなど,各国の規制当局が共有する国際規制の対象になる.
●一方,臨床研究については,PMDAが相談に乗ることもないし,国際規制もない.

そんないい加減な臨床研究の結果が,もしも承認申請の添付資料になるのだとしたら,製薬企業は「アホらしくてやってられない」と激怒するはずなんだが,なんでまた,「われわれにとってもありがたいことだ」なんて能天気な発言ができるのだろうか???不思議なもんだ.
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 特定臨床研究の承認申請活用、見解さまざま RS学会シンポ 日刊薬業 2018/9/7
臨床研究法に基づいて行われる特定臨床研究のデータを医薬品の承認申請資料として利活用する仕組みについて、厚生労働省が検討に乗り出したとの日刊薬業の報道に対し、日本製薬工業協会の国忠聡医薬品評価委員会委員長は7日のレギュラトリーサイエンス学会学術大会のシンポジウムで「われわれにとってもありがたいことだ」と述べ、検討を歓迎した。ただ、他のパネリストからは、ハードルは高いとして実現性を疑問視する意見もあった。
国忠氏は「最初の適応は企業が治験を実施するが、次の適応や一変申請にからむものを臨床研究でやっていただく方が早く患者が使えるようになる」と述べ、企業と医療機関が共同で行うことで省略できる部分が生じ開発の時間短縮につながると指摘した。
一方、国立がん研究センターの藤原康弘企画戦略局長は実現に否定的な立場。「信頼性などさまざまな基準に従わないと薬事承認の添付資料には使えないという記載が、薬機法にある。これを改定しない限り、厚労省は添付資料としては認めませんと言い続ける」と述べ、法改正のハードルがあると指摘した。
 続けて発言した厚労省医政局の伯野春彦研究開発振興課長は「すぐに薬事に結び付くというのは現時点ではないが、質の高いデータをしっかり集めていく体制や、いろいろな取り組みを合わせることで結果として薬事で使われていくことにつながる可能性がある」と述べ、厚労省として環境整備を進めていく考えを示した。
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特定研究の申請資料活用、現時点で否定的見解多く‐RS学会で議論  薬事日報 2018年9月12日
 第8回レギュラトリーサイエンス学会学術大会が7日、都内で開かれ、4月に施行された臨床研究法をめぐって議論した。製薬企業側からは、法に規定された特定臨床研究の成果を一部変更承認申請などの資料として活用することに期待感が示されたが、医療機関関係者からは「薬機法の改正を行わない限り、申請資料として認められないのではないか」との見方が示され、厚生労働省からも「現時点ですぐには難しい」との感触が述べられ、現時点では否定的な見解が多かった。
 4月に臨床研究法が施行され約半年が過ぎたが、医療現場では少しずつ影響が明らかになってきている。藤原康弘氏(国立がん研究センター企画戦略局長)は、「特定臨床研究を解釈するのがなかなか難しい」とした上で、抗癌剤治療における適応外使用が対象になっている問題点を指摘。具体的に、食道癌に対するシスプラチン+5FU併用療法でシスプラチンの用量が添付文書の記載用量より多い現状を挙げ、こうした抗癌剤を用いる多くの臨床試験が特定臨床研究扱いになることに危惧を示した。
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一方で,黄熱ワクチンの欠品カバーのような,巧い使い方もある.→手段としての特定臨床研究

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