重症心身障害児（者）施設という，サービスを受ける側が特に弱い立場になりがちな事業では，特に顧客満足には特別の配慮がなされなければなりません．しかし現状はそうではありません．例えば，入所一つとっても，児童相談所/福祉事務所が，”判定”して入所，退所を決定する権限を持っており，利用者ならびにその保護者がその決定に対して不服を述べることができません．入れてやるんだ，気に入らないなら出ていってくれ，そういうことです．

厚生省の諮問機関”社会福祉事業等の在り方に関する検討会”からは，すでに次のような方針が打ち出されています．

• 具体的なサービスの提供に当たっては，利用者の選択を尊重する．
• 利用者とサービス提供者との対等な関係
• 行政機関からの措置委託に関わるサービスの提供だけでなく，幅広い事業実施が望まれる
• 措置制度（行政がサービスの享受者を割り振ること）を見直し，個人が自ら選択したサービスを提供者との契約により利用する制度を基本とする必要がある
• 自己決定能力が低下している者については，その権利を擁護し，本人の意向を尊重したサービスの利用が可能となる制度が必要である．

何もむずかしいことではないのです．ごく普通の，お客と店の関係を作るということですね．