組織行動学Organizational Behaviorとレギュラトリーサイエンス

法務担当者からみた「リスクが最も高いのは規制法の順守」
喋りをそのまま文章にしているので極めて品質の悪いブログとなていますが,言わんとしていることはわかります.

個人に対して法人があるように,個人の行動科学があるのなら,組織の行動科学もあるわけです.その組織が利潤を目的とする一般の会社であっても,組織行動学Organizational Behaviorは非常に面白い学問です.ましてや,利潤だけではなく,社会的責任の重さが他の企業とは段違いの製薬企業や医療機器開発企業,そして規制当局の組織行動学となれば,こんなに面白い学問はありません.

レギュラトリーサイエンスの重要な側面の一つに,医薬品・医療機器を開発する組織,規制する組織,使う組織のそれぞれについての組織行動学があります.しかし,少なくとも,組織行動学の典型的な教科書と言われる「組織行動のマネジメント」旧版(ひどい翻訳でした.内容も通り一遍のアメリカ企業礼賛論に過ぎなかったので一度通読して捨てました)には,レギュラトリーサイエンスの概念のかけらも出てきませんでした.コンプライアンスの問題もほとんど書いてなかったと思います.アマゾンの中でも点数の低い評者の冷静な書評を読む限り,昨年出た新版も期待できません.

米国では,規制を悪者視しがちですから,レギュラトリーサイエンスやコンプライアンスの問題を学問の対象と捉える動きはなかなか活発にはならないのではないかと思っています.一方,日本,西欧・北欧には,レギュラトリーサイエンスが育つ土壌があります.

医薬品の分野はharmonizationの枠組みがあるので,レギュラトリーサイエンスの観点から組織行動学を論じて英文にすることができますが,まだまだプラットホームの確保(短期的には投稿先,中長期的には真の意味での(^^;)Society,アカデミアでのFaculty)に苦労します.

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