国際比較による3回目接種の有効性の検討
日本人向けの3回目接種はバングラデシュでの1回目、2回目に
AZだけ「供与」してすっとぼけてんじゃねえよ
要約
背景:新型コロナウイルス感染症に対する3回目(ブースター)接種の有効性を支持する確証はこれまで現実世界では得られていない。
方法:3回目接種の接種率(と感染状況(人口あたりの活動性患者%)を、西欧 (6)、北米 (2)、アジア太平洋 (5) 及びイスラエルの14ヶ国間で比較・検討した。
結果:2021年12月19日現在で3回目接種率の上位8ヶ国(イスラエル、英国、ドイツ、デンマーク、イタリア、フランス、韓国、スウェーデン)中、、活動性感染者が0.2%未満だったのはイスラエル1ヶ国だけだった。一方、活動性感染者が0.2%未満だったイスラエル以外の5ヶ国では、3回目接種の接種率が全て11%以下(カナダ 11%、オーストラリア 5%、ニュージーランド 5%、台湾 0.3% 、日本 0%)だった。3回目接種率の推移はイスラエルのみが2021年8月初旬より急激な上昇を示したが、西欧各国では英国が10月初旬から他の5ヶ国では11月初旬初旬から、韓国、カナダでは12月初旬から接種率が上昇し始めた。
結論:3回目接種がCOVID-19感染を抑制せず、逆に感染爆発誘発効果があるように見えたのは、実は因果関係を逆に解釈していた誤りで、検査陽性者数の急激な上昇に反応して生じた集団パニックが接種率の上昇を招いたに過ぎなかった。このように3回目接種の妥当性を支持するエビデンスが得られなかったことを踏まえると、日本人向けの3回目接種は、1回目・2回目接種率がそれぞれ26、27%にも満たないバングラデシュ(人口は日本の1.3倍)に振り替えることが、極東国際薬害裁判を招きかねなかったアビガン供与なんぞより、はるかに有意義な国際貢献になること請け合いである。

緒言:メディアは先進国と開発途上国の間にあるワクチン格差を叫んでいますが(ワクチン格差が拡大、厄介な変異を招く恐れも 日経新聞 2021年12月22日)、そもそも3回目(ブースター)接種の有効性は未だ現実世界で明確に示されてはいません。そこで私は誰もが検証可能な公開資料を使って3回目接種率とCOVID-19感染活動性の関係を検討しました。

方法:デザインは公開資料を用いた横断研究。OECD加盟国中でも2回目接種率が60%以上を条件に、欧州、北米、アジア太平洋各地域から12ヶ国、3回目接種率が世界最高のイスラエルに加え、日本と同様に2回目接種率が高いにも関わらず3回目接種がいまだに低い台湾を調査対象に加えた。各国の接種率はOur World in Dataで、活動性感染者数及び人口はWORLDOMETER COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMICで公開されているデータ(2021年12月19日付)を用いた。

結果:イスラエルを除き、3回目接種率が高ければ高いほど、単位人口あたりの活動性感染者数が高くなっていた。活動性感染者の比率が高い下位7ヶ国のうち6ヶ国までが欧州を占めていた。逆に接種率が低ければ低いほど活動性が低くなっており、活動性感染者の比率が低い上位7ヶ国のうち5ヶ国までがアジア・太平洋地域の国となっていた。3回目接種率の推移ではイスラエルが他の国々と異なり、最も早く21年8月初旬より急激な接種率の上昇を示した。この時期は同国で検査陽性者数の急激な増加(第5波)が生じていた。西欧各国では英国では10月他の5ヶ国では11月初旬より接種率の急激な上昇が見られたが(クリックして拡大)、これも各国での検査陽性者数の上昇とほぼ一致していた(ここで各国の検査陽性者数までは示さないので興味のある方はOur World in Dataで確認いただきたい)。

考察
泥縄接種は無効だった。この研究の結果、以下のことが判明した。
1)3回目接種率と単位人口あたりの活動性感染者数はほぼ逆相関の関係にある。
2)イスラエル(21年9月)にせよ、他の西欧各国(10-11月)にせよ、接種率の上昇は検査陽性者数の増加に伴って生じていた。
1)と2)を併せて考えると、一見3回目接種には(免疫力ではなく)COVID-19感染のブースター効果があるように見えるが、ワクチンの性質を考えれば、因果関係は逆で検査陽性者数の急激な上昇に反応して生じた集団パニックが接種率の上昇を招いたに過ぎないと考えられる。ブースター接種ならばより迅速な効果が得られるだろうとの無邪気な思い込みから、流行が始まってからの泥縄接種でコロナ退治と夢見たわけだが、そうは問屋が卸さなかった。それだけだ。
    日本、台湾、ニュージーランド、オーストラリアでは、ファイザーと契約はしていたものの(クリックして拡大図; 引用元は、FT Reporters. Covid vaccine development: The shots available and the doses administered. Finacial Times. JANUARY 26 2021)、イスラエルや欧州よりもワクチンの追加配給が後回しになったこともあって、未だ に3回目接種率が低いままに留まっている。この幸運を活かすのならば、第3回接種を季節性インフルエンザ並の扱いにしてやり過ごすのが理想だが、現実には本土決戦に突入しているので、かくなる上は各個人で自分の身を守る最上の策を採られたし。

結論:毎度おなじみ小学生の自由研究を誰もやろうとしないので、公開されているリアルワールドデータを検討したところ、3回目接種に否定的なエビデンスが得られた。3回目接種がOVID-19感染を抑制せず、逆にあたかも感染爆発を誘発したように見えたのは、実は因果関係を逆に解釈していたに過ぎなかった。すなわち、検査陽性者数の急激な上昇に対する集団パニックが発生し、そのパニックが接種率の上昇を招いたものだった。分科会の大先生方も随分とお暇を持てあましていらっしゃるようだから、お子様方へ冬休みの宿題として、この研究の追試をお勧めになってはいかがだろうか。お子様と一緒に答え合わせができるようにエクセル表もダウンロードできるようにしておいたので適宜活用されたし。

おまけ 3回目接種はバングラデシュの1-2回目に:
インドの新規検査陽性者数を御覧あれ。この人口13億の大国は、21年5月にピークを迎えたの第2波以降、7ヶ月にわたって新たな流行が生じていない。恐怖のデルタ株が全土を覆ったはずだが、人口100万あたりの死者数は342人。日本のわずか2.3倍、英国の1/6。そのインドでの接種率は2回目終了40%、1回目のみが20%。3回目はもちろんゼロ。国としても3回目なんてそんな余裕はない。
バングラデシュ(人口100万あたりのCOVID-19による死者数は168と日本の1.15倍)では、21年8月初めにピークを迎えた第4波以降、4ヶ月以上にわたって新たな大流行はない。バングラデシュにおける接種率は2回目終了27%、1回目のみが26%。3回目はもちろんゼロ。国としても3回目なんてそんな余裕はない。以上、日本人への3回目接種振り替え供与先は人口規模からいってインドよりもバングラデシュにすべきである。
AZだけ「供与」してすっとぼけてんじゃねえよ

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