抗体医薬品はお先真っ暗?

バイオ医薬品(抗体医薬品)の研究開発動向調査 (JPMAニューズレター 2016年3月号)
をご覧になって、暗然とした方も多いのではないだろうか?開発品目の標的分子の報告年が、全て2004年あるいはそれ以前なのだ。つまり、2005年あるいはそれ以降に、数多報告されたであろう分子が、一個たりとも医薬品開発の標的分子になっていないのだ。

たしかに成功率は3万分の1と低い。そしてそれは年々低くなっている。しかし、標的分子の経過は医薬品全体の成功率の減少など比べものにならないぐらい激減し、2005年以降、10年間ゼロなのだ(右図)。

確かに標的分子が発見されてから開発に至るまでは年数がかかる。しかし疾患関連分子の報告数は膨大な数に上り、それも年々増えていることを考えると、右の図は、2005年以降は累々とした屍の山が築かれるだけになっていることの何よりの証明ではないか。今は雌伏の時であり、あと5年もすれば黄金時代がやってくる。誰がそんな楽観的な観測ができるだろうか。

上記のニューズレターとほぼ同時期に出たTufts CSDD Impact Reportは、Promise of Immuno-Oncology Therapies Is Boosting R&D Funding and Alliancesと題して、研究費の増加、産学連携の更なる促進を報じているが、それは決して明るい未来を約束するものではなく、逆に楽観的になれない人々が暗い現在を何とかしようと必死でもがいている姿の表出ではないのだろうか。

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