2007年6月6日の日刊薬業が、オーストラリアはクイーンズランド州の臨床試験ネットワークの責任者らが、日本国内の製薬企業開発担当者を対象に、クイーンズランドでの治験誘致を呼びかけたと報じていた。
日本との時差がほとんどなく、英語が通じる、日本と同じ国民皆保険といった生活環境での優位性に加え、被験者1人あたりの費用は米国の半額、インドの次に安い上に、多様な人種の被験者が確保しやすいと、セールスポイントも心得ていらっしゃる。クイーンズランド州は、日本人に人気あるケアンズ、ゴールドコーストといった有名観光地を擁し、州都のブリスベーンにはアジア系移民が比較的多い。このような優位性を誇る地域が、治験誘致に乗り出せば、インドも中国もおちおちしていられない。オーストラリアでAsian studyなんて相談がPMDAに持ち込まれるのも、そう遠い日ではないだろう。
ところで、日本で、”地域興しのために治験誘致”という発想が出てこないのは、何らかの文化的背景ゆえだろうか。原発のように補助金がっぽりというわけにはいかないでしょうが、壊され、盗まれやすいアニメキャラの石膏像なんかよりも実利が稼げると思うのだが。