元審査員としては、こんな「ドラッグ・ラグ」もあったのかと、勝手に感慨深くなっての御紹介です。
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Baxter社 多巣性運動ニューロパチーGAMMAGARD治療がFDA承認獲得(Biotoday
2012/6/26)
2012年6月25日、Baxter International社は、免疫グロブリン製品GAMMAGARD(ガンマガード)
LIQUID
10%による多巣性運動ニューロパチー(MMN)治療がアメリカFDA(米国食品医薬品局)に承認されたと発表しました。欧州では昨年既に承認されています。
Baxter Announces FDA Approval for GAMMAGARD LIQUID as a Treatment for
Multifocal Motor Neuropathy
http://www.businesswire.com/news/home/20120625005471/en/Baxter-Announces-FDA-Approval-GAMMAGARD-LIQUID-Treatment
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BaxterがThis is the first immunoglobulin treatment approved for MMN
patients in the United States.
と誇り高く報道発表しているMMNに対するIvIgが日本で承認されたのは、今を遡る13年前です。この時の申請データパッケージは、「動物モデルなし(*1)+前期第II相試験:CIDP10症例対象のオープン試験+後期第II相試験:50mg群20例、200mg群18例、400mg群20例(プラセボ群なし)の、これもオープン試験(*2)」です。これで追加臨床試験無しで承認されています。
また、日本での申請では、MMNはあくまでCIDPに含まれる亜群として扱われ、包括的な承認を取得しています。一方、FDAも欧州も、GAMMAGARDに対するCIDPの効能効果を未だ承認しておらず、GBSのみに留まっているようです。
(下記は調査報告書からの抜粋→結構豪快に判断しています)
*1薬効を裏付ける試験に関しては、CIDPの発症機序が明らかにされておらず、また、対応する動物モデルも存在しないこと等からその実施は困難と判断されている。よって、参考資料として、急性の末梢性脱髄性神経炎であるギラン・バレー症候群のモデルと考えられている実験的アレルギー性神経炎ラットモデルを用いた試験結果が提出されている。
調査会では、この参考資料は本薬の薬効を裏付けた成績とは認められないことについて指摘したところ、現時点において基礎的研究面からの裏付けは困難であるが、今後とも適切なモデルの発見に努め基礎的研究面からの効果の裏付けに努力する旨の回答が提出されたので、これを了承した。
*2調査会では二重盲検試験を実施しなかった理由を問うたところ、識別不能な製剤の製造が困難との回答を得て了承した。
審査報告書(当時は調査報告書)は下記で読めます。
http://www.shinsahoukokusho.jp/dar_us/dar/search/usDarShowPDF.jsp?darId=82