教育・子供に関する話題:
<リストへ戻る>
更新日: 2000年10月1日
- 閑話休題(英語の習得):意欲と能力と努力の量 (朝日新聞;'00/3/12)
1月に,小渕恵三首相の「21世紀日本の構想」懇談会報告書が出た。なかでも波紋の大きいのが英語の第二公用語化である。
もっとも,よく読むと,そうしろとは言い切っていない。国際共通語としての英語を「長期的には第二公用語とすることも視野に
入ってくるが,国民的論議を必要とする」と書いてある。別のところには,「第二公用語にはしないまでも,第二の実用語の地位を与えて日常的に併用するべきである」とある。
民間企業の間からは役員会が英語のなった」とか,「実用英語の検定試験で一定の点数に達しないと昇進はできない」とか,
先駆的な例がいくつか出てきた。確かに公用語化論には抵抗を覚える。とはいえ,この報告書が指摘する「国際共通語としての英語」の重要性は否定のしようがない。
そうである以上,これを公用語にするくらいの荒業を使ってでも習得を迫らないことには,過半の日本人が英語を使えるようにはならない
,という考え方も,半分くらいうなずける。
そんなことを考えながら,日本の同時通訳者の草分けの1人である,國弘正雄さんを訪ねた。
今年,古希を迎える。そこでこんな話を聞いた。
いまや,英語は必要悪と考えるしかない。世界のインターネット情報量の82%が英語になっている。全世界に三千以上ある言語のうち
,英語だけが1人勝ちしている。それが米国という「一強」の言葉でもあるから,日本人としてはとかく向米志向と嫌米の複雑な思いを英語
に重ねてしまいがちだ。
しかし,英語はいろんな言葉の影響を受けて,脱英米化している。「地球語としての英語」というのは,そういう意味を帯びている。だから
,英語はイギリス,アメリカの言葉だ,とは思わない方がよい。米国だって,外国語の習得に励んでいる。全米の3割近くの小学校で外国語の授業をやっている。
中学時代,戦時下に敵性語とされた英語の教科書を,ひたすら音読したのが土台という。そのあたりを最近「英語の話しかた」(立花出版)
と言う本に書いた。三十年前に出版して75万部のロングセラーとなった同名の本の全面改訂版である。
音読によって,九九並に表現の習熟度を高める。文法にこだわるから話せないのではない。文法の訓練が足りないから話せないのだ。
そういわれると,われながら自分の英語がその通りであることを知る。
國弘さんでも同時通訳の作業室は「トーチャールーム(拷問べや)」だったそうだ。そう聞いて少し安心する。「はっきり言おう。逆立ちだって練習を要する。苦労せずに英語がうまくなるはずがない。これをものにしてやろう,という意欲と,能力と
,努力の量。それらが合わさってはじめて,成果が表れる。自分以外のものを頼るのをやめなさい。刻苦勉励を死語にしてはいけない」
厳しい言葉を聞いて,暗くなった道を帰った。 (岩村 立郎 :朝日新聞論説委員) 抄録
<ホーム>
- 沖縄・屋久島探検 ネットで参加できるよ (朝日小学生新聞;'00/3)
「アイランド・クエスト IN 沖縄&屋久島」
沖縄と世界自然遺産の鹿児島県屋久島を舞台にしたインターネット交流イベント「アイランド・
クエスト IN 沖縄&屋久島」が開かれます。2001年度に約4万の公立学校でインターネットに
接続できる環境が整うことから,インターネットについて楽しみながら理解してもらおうと,大学の先生
をはじめ,郵政省,NTT東日本などが協力して行う参加型の学習プログラムです。
プログラムの内容は,アメリカの探検家や生物学者らでつくる日本・アメリカ合同の探検チームが,
5月25日から6月2日まで屋久島の原生林や沖縄の海中などを探検し,発見や疑問をホームページで子供たちに
発信します。探訪チームにふりかかった問題の解決策を子供たちから電子メールで提案してもらったり,
次はどう進むかコースを投票で決めてもらったりと,子供たちが探訪に参加できるよう工夫されています。
「インターネット先進国」のアメリカでは,南アメリカのマヤ,ガラパゴス島,アフリカなどを舞台に
同じようなプログラムが行われて人気を呼んでいます。シルクロードを訪ねたアジア・クエストには,世界百カ国
から約百万人が参加したそうです。
参加の条件は,こども(高校生以下)が1人以上と,大人1人以上のグループであること。子供の人数の上限は
ありません。ただし,インターネットを利用できる環境が必要です。
参加したい人は,「アイランド・クエスト IN 沖縄&屋久島」
の公式ホームページ http://www.wnn.or.jp/wnn~s/quest/ 上で申し込みます。事前に申し込んだグループに,イベントが始まる直前に
探訪チームのメールアドレスが知らされます。
受付は5月上旬。問い合わせは,アイランド・クエスト実行委員会事務局(電話:03-5561-7566)へ。
<ホーム>
- 平成の金の卵ーからだに困難刻むように生きる子 (朝日新聞; '00/1/30)
テレビに目をやると、調理場で白い作業着の女の手がひどくしかられている場面が映っていた。
店長から声が小さい、と言われてているのだ。でも、何度言われても声が出ない。なかなか出ない。
しまいに泣き出した。さらにまた強くしかられている。
ナレーションによると、彼女は中学を出て就職した料理店で修業中の身らしい。小柄で内気そうなその子
にはまだ幼さが残っている。泣いているその姿に胸がえぐられる思いがし、画面からとうとう目が離せなく
なってしまった。
それは一月二十三日の「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ)。「平成の金の卵たち2000感涙の結末」
と題するドキュメンタリーで、調理師を目指した手どもたちの三年後を描いていた。
彼らの多くは、修業の厳しさに耐えられなかったり、もっと華やかな仕事にあこがれたり、
安い給料では家に仕送りができなかったりで、次々と最初の就職先をやめて、別の人生を選んでいく。
残ったのは二人。泣いていた女の子もその一人。義理の母親にしかられつづけ、大きな声を出せな
上くなったとかで、帰る家もない。内気でもあり、たぶん、つらくても頑張って修業を続ける道しか選
べない状況にあったのだろう。
だから「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」と、独りぼっちの夜に、懸命に人きな声を川す練習
をしている。その子のけなげな姿をしんとした思いで見つめているうちに、突然、宮沢賢治の、とある詩を
思い出した。
「これからの本当の勉強はねえ
テニスをしながら商売の先生から
義理で教はることでないんだ
きみの
やうにさ
吹雪やわずかの仕事のひまで
泣きながら
からだに刻んで行く勉強が
まもなくぐんぐん強い芽を
噴いて
どこまでのぴるかわからない:・-」(詩集「春と修羅」から)
今の十代は、豊かな時代の中でフワフワと浮遊するように生きている。そんな印象ばかりを抱いていた
けれど、中にはこんなふうに困難をからだに刻むようにして泣きながら働き、一人で生きる道を探している
子どもたちもいる。なんだか、このドキュメンタリーを見て、こういう子どもたちがいることを私たちは忘れ
ていたんじゃないのかと、ほおを打たれる思いがしてしまった。賢治の詩にあるように、困難に耕された土壌に
ぐんぐん強い身が噴いて、彼らがどこまでも伸びていくことを祈る思いだ。
(久田恵/ノンフィクション作家)
<ホーム>
- 今春から導入の新教科ー「総合学習」悩む先生ー (朝日新聞; '00/1/26)
「総合的な学習の時間」
文部省の新しい学習指導要領で新設される授業。小学3年生から週3時間程度実施され
各教科で得た知識を総合的に結びつける授業を目指す。
小中学校では2002年度,高校では2003年度から導入されるが,移行措置により,
今春から各校の判断で前倒しして実施できる。
<ホーム>
- 親の会,働く父母へエール。小学校生活のノウハウも (朝日新聞; '00/1/20)
約600人の働く親たちが作る「保育園を考える親の会」が,「初めての小学校
&学童保育」(学陽書房,本体価格1500円)をまとめた。会員たちが自らの
体験を元に企画し,取材したノウハウが紹介されている。
入学手続きや学童保育の申し込み方法から始まって,越境入学の
対処法まで説明する「入学準備編」。「小学校生活入門編」では,給食や
勉強など子供が直面することだけでなく,授業参観に行けないとき,PTAの
役員を頼まれたときなど,親が直面する問題も紹介する。「学童保育入門編」
「小学校・学童保育Q&A」では,そんな時期を乗り越えたエピソードが盛り込まれている。
<ホーム>
<ホーム>
<リストへ戻る>