ご挨拶
現在、世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大している折、被患された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、皆様の早期回復と感染の早期終息を心よりお祈りいたします。
さて、このたび、第37回和漢医薬学会学術大会を2020年8月29日(土)〜30日(日)の2日間にわたり、京都薬科大学におきまして開催する運びとなりました。
和漢医薬学会の目的は、和漢薬の資源、品質管理、作用機序、臨床研究などについて科学的視点から最新の知見を討議し、基礎と臨床の橋渡しをすることにより、人類の健康と福祉の増進に貢献することであります。本学術大会では、和漢薬を様々な形で研究の対象とする薬学者、医学者、医師、薬剤師などが一堂に会して研究情報の交換を行うことにより、新たな治療学体系を構築し、その成果を社会に還元することを目的としています。
厚生労働省の調査によると、2025年には我が国の65歳以上の人口の割合が30.3%、75歳以上は18.1%になると報告されています。このような超高齢社会に直面した状況において、国民の切なる願いは老後の経済的な負担の少ない健康寿命の延伸であります。高齢者はいくつもの疾患を患っている場合が多いことが知られています。和漢薬や漢方薬はひとつだけではなく、同時にいくつもの薬効を示すことから、高齢者に多い疾患に応用されてきました。最近では、フレイル、すなわち加齢により心身が老い衰えた状態を予防、改善することにより、健康寿命を延伸することが期待されています。和漢薬や漢方薬は多数の分子から成る複合薬物であり、それらの薬効に関わる分子や作用機序には不明な点が多い反面、新たな薬理作用の発見とそれに続く臨床応用が期待されています。
本学術大会のテーマは「高齢者疾患と和漢薬 -基礎と臨床-」とさせて頂き、高齢者が罹患しやすい疾患に有効な和漢薬の基礎と臨床応用について、ご参加の皆様による熱い討議を通じて、健康寿命の延伸における和漢医薬学研究の役割を発信できればと考えております。
私ども、実りある学術大会を開催すべく、新型コロナウイルス感染予防を徹底した上で、鋭意準備を進めております。
多くの皆様に京都の地でお目にかかれますことを楽しみにいたしております。
2020年3月吉日
第37回和漢医薬学会学術大会
大会長 松田 久司
京都薬科大学生薬学分野 教授