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血中フィブリノゲン値の低下
フィブリノゲン値測定としては外因性のトロンビンを用いた凝固時間法(Clauss法)が最も多く使用されていますが、通常この方法では50 mg/dL程度のフィブリノゲン値が測定下限です(これ以下でも測定は可能ですが、その信頼性は落ちます)。このため、無フィブリノゲン血症では測定感度以下となることがあります。一方、低フィブリノゲン血症では測定値内であることが多いのですが、厳密な意味での無フィブリノゲン血症との鑑別は時に困難です。
フィブリノゲン測定で生成したフィブリンの検出法として、大別すると光学的方法と物理的方法の二つがあります。フィブリノゲン異常症では生成したフィブリンの性状が正常なフィブリンと異なるため、物理的方法では検出されるのもの光学的方法では検出されない場合もあります。このためフィブリノゲン異常症では測定原理(試薬ではなく測定機器の特性)によって値が異なる場合があります。
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FDP/D-ダイマー
フィブリノゲン異常症の中にはFDPやD-ダイマーの測定に用いる抗体に対する反応性が低下している場合があります(全ての症例ではありません)。このため、FDPとD-ダイマーに大きな乖離が認められたりする場合があります。
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フィブリノゲンはかなりの低い値にならないと、凝固時間延長に至らないため、特に低フィブリノゲン血症ではPTやAPTTは基準値内であることが多く経験されます。
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