遺伝性球状赤血球症 |
膜蛋白の異常により赤血球異常が引き起こされる疾患で、赤血球膜表面積が赤血球内容物に対して減少し、このため赤血球が円盤状ではなく球状の形態をります。原因となる蛋白質としてはαスペクトリン、βスペクトリン、Ankyrin、Band3,Protein4.2 など様々なものが知られています。この赤血球は脾臓の微小循環を通過するのに必要な柔軟性が損なわれ、その結果、脾臓で血管内での溶血が起こります。
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一般に常染色体優性遺伝形式をとります。
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赤血球溶血による貧血、並びに黄疸と脾腫が主な症状ですが、小児期から重度の貧血や黄疸で診断される症例から、ほとんど臨床症状を呈さず成人期まで診断されない症例まで、臨床症状には大きな差が認められます。溶血によるビリルビン産生が長期間持続するために、他の先天性溶血性疾患同様、ビリルビン結石による胆石症を合併する場合があります。感染などを契機に溶血発作(hemolytic crisis)が認められたり、ヒトパルボウイルスB19感染などによる無形成発作(aplastic crisis)を起こす場合もあります。
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軽度の貧血を認める場合は経過観察となりますが、重度の貧血を呈する場合は脾摘が考慮されます。脾摘と同時に胆嚢摘出も行われる場合があります。脾摘後に血栓塞栓症の合併例が認められる場合もあります。脾摘を施行した場合には莢膜をもつ細菌(肺炎球菌など)の重篤な感染症を引き起こすリスクが高いため、学齢期までは手術を控えた方が安全と考えられています。術前に肺炎球菌やインフルエンザ菌B型のに対するワクチン接種を行う必要があります。
代償性赤血球造血が亢進している場合は、葉酸を投与することが望ましいと考えられています。
合併症が認められない場合は予後は一般的に良好で、脾臓摘出後も一般的には予後良好です。
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