ヘキソキナーゼ欠乏症
【ヘキソキナーゼ欠損症とは】
赤血球はミトコンドリアがないため、エネルギー産生(ATP産生)は解糖系(Embden-Meyerhof(エムデン-マイヤーホフ)経路)に依存しています。ヘキソキナーゼはグルコースをグルコース-6リン酸に変換する酵素で、Embden-Meyerhof経路の最初の段階に位置しています。ヘキソキナーゼ欠乏症では、ATP供給が低下し、赤血球は機能を維持することができなくなり、早期の崩壊(すなわち溶血反応)が起こります。基本的には形態維持などできなくなった赤血球が脾臓などの網内系に取り込まれるので血管外溶血です。

【遺伝形式】
常染色体潜性(劣性)遺伝をとります。

【臨床症状】
溶血性貧血が認められますが、貧血の程度は様々です。Embden-Meyerhof経路の最上流部が阻害されるため、下流に存在する2,3-Diphospoglycerate(2,3-DPG)の濃度は低下し、ボーア効果によってヘモグロビンの酸素解離曲線が左に移動します。このため、ヘモグロビンは酸素と結合しやすくなるものの遊離しにくくなりますので、ヘモグロビンの値に対して、貧血による臨床症状は強く出現します。

【検査所見】
溶血性貧血の検査結果を呈します。

【治療】
輸血が基本となりますが、鉄過剰状態になる場合もあり、除鉄剤が必要な場合もあり注意が必要です。